【最高の求心力を手に入れるには?】
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本日ご紹介する一冊は、スタンフォード大学「ハートフルネス・ラボ」の創設者であり、現在はスタンフォード大学でリーダーシップ
を教えるほか、企業や大学、医療施設などでリーダーシップ・トレーニングを行っている著者が、その知識をまとめた一冊。
規模の代償を問わず、組織のリーダーはみな、不完全な自分と成し遂げなければならない任務のはざまでもがき苦しんでいると思いますが、本書は、そんな方にこそ読んで欲しい一冊です。
本書の冒頭は、副操縦士の声に耳を貸さず、12名が死亡、3名が重傷を負う大惨事となった「ファーストエア6560」便の事故の話から始まります。
部下がリーダーを恐れ、間違いを指摘しなかったとき、事故が起こるということがよくわかるエピソードです。
著者はこのエピソードを受けて、こうまとめています。
「本当に強いリーダーは、強すぎない。率直に自分の弱さを認めることができる」
著者は、<「強すぎるリーダー」「偉大な指導者」は年功序列の影響もある古い時代のものだ>とした上で、以下の4つの要素を踏まえたリーダーシップを推奨しています。
(1)積極的なリーダーに必要な「個人としての土台」
Authentic Leadership(本質的なリーダーシップ)
(2)部下を前に出す「謙虚さ」
Servant Leadership(支援するリーダーシップ)
(3)「自分の力で変えられるもの」を変えてゆく勇気
Transformative Leadership(変容をもたらすリーダーシップ)
(4)人、もの、価値観など、様々な「違い」を理解するための知恵
Cross-Border Leadership(壁を超えるリーダーシップ)
この4つのリーダシップを身につけることで、「最高のリーダー」になれるというのが、本書の主張です。
さっそく、いくつかポイントをピックアップしてみましょう。
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人を率いる以上、リーダーは強くなくてはいけないが、「強すぎては」いけない
リーダーにありがちなのが、優秀な自分を見せることに固執してしまうこと
リーダーとは、自分のメリットだけを確保するのではなく、全体のメリットについて心配りができる人
陽気でテンションが高いサクラが最初のプレゼントをすると、そのチーム全体のプレゼンも陽気でテンションが高いものになる
「ポジティブ心理学」の研究では、複雑な問題を解決したり、論理的に仮説を組み立てたりするといった「頭を使った認知的な能力」は、ポジティブな感情によって高まることがわかっている
人は新しい選択肢を回避する傾向がある
現状維持バイアスは二択でも働くが、面白いことに選択肢が増えれば増えるほど、このバイアスは強くなる
ひとたびチームがリーダーに対して嫌悪感を抱くと、その評価は「集団心理」と「現状維持バイアス」が掛け合わさってなかなか覆らない
アサーティブ・リーダー:自分自身を尊重し、人を否定することなく、自分とチームの利益のために行動できるリーダー
「地位」が人格を歪める
リーダーにとって、持つべき共感は、強さがある「コンパッション」だ。一緒に泣いていたら、共倒れになる
◆オーセンティック・リーダーシップを磨く「5つの方法」
(1)「弱さ(vulnerability)」を認める
(2)「役割性格」を越える
(3)「人」と比べない
(4)自分の「生涯の大きな目的」を見つける
(5)「超・集中状態」になる
目標ややるべきことをわかっているメンバーは、リーダーが思っているよりはるかに少ない
◆良くない報告をためらう理由
(1)「ミスがある」と報告したら、自分の責任にされてしまう
(2)「ミスがある」と報告しても、どうせ聞いてくれない
(3)「問題がある」と報告しても、改善されることはなく、何も変わらない
失敗の責任をとるときばかりは積極的に力強く前に出なくてはいけない
高レベルのトランスフォーマティブ・リーダーシップを持つリーダーが率いるチームは、ほかのタイプのリーダーが率いるチームよりも業績がよく、メンバーの満足度も高いことが明らかになった
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読者は、本書を読むことで自分の弱さと向き合うのですが、不思議なことに、読んでいるうちに、「私たち一人ひとりにリーダーになる能力があるし、そうなるべきなのだ」という意識に変わってきます。
歳を重ねたことの効用なのか、本書の魔法なのか、よくわかりませんが、何だか自分も「最高のリーダー」になれると思い込ませてくれる、そんな本です。
学術理論を並べただけの無機質な部分もありますが、全体的には心に入ってくる内容です。
ぜひ、読んでみてください。
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『スタンフォード式最高のリーダーシップ』スティーヴン・マーフィ重松・著 サンマーク出版
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◆目次◆
プロローグ リーダーシップの原則「We are the Leaders」
0章 残酷な集団──なぜ組織に「境界線」があるのか?
リーダーを取り巻く現実
1章 Assertive Leaderが人を動かす──求心力ある先導者
2章 Authentic Leadership──人心を掴む「土台」を築く
3章 Servant Leadership──本物の「信頼」をたぐり寄せる
4章 Transformative Leadership──チームに「変容」をもたらす
5章 Cross-Border Leadership──持続的な「最良の関係」を確立する
エピローグ リーダーの特権と責任
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