【『嫌われる勇気』ライターの文章術】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4061385100
素材が一流であればあるほど、料理人の腕が問われる。
同じことが、今、ビジネス書の世界でも起こっています。
アドラー心理学を書いてベストセラーとなった、『嫌われる勇気』、名著を漫画化して大ヒットとなった、『君たちはどう生きるか』。
編集者が腕を振るうことで、古い知恵が再評価され、空前の大ヒットとなっているのです。
本日ご紹介する一冊は、このうちの一冊『嫌われる勇気』のライターを務めた古賀史健氏が、その文章術を公開した一冊。
既に、2012年に初版が出ているのですが、『嫌われる勇気』の大ヒットを受け、ここに来て、また売れ始めています。
文章術の本は数多くありますが、本書の特徴は、これらの文章本の「スキマ」をきちんと埋めてくれることにあります。
「起承転結」を心掛けているのに、文章が面白くならないのはなぜなのか、「話すように」書けないのはなぜなのか、どうして主語や「です・ます調」「だ・である調」をコントロールするだけでは、魅力的な文体にならないのか、その謎に明解に答えています。
句読点の打ち方や、構成の方法など、細かなテクニックもきちんと押さえられており、これは読み応えのある内容です。
さっそく、内容をチェックして行きましょう。
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文体とはリズムである
「1行の間に必ず句読点をひとつは入れる」
カメラは、
(1)導入……客観のカメラ(遠景)
(2)本編……主観のカメラ(近景)
(3)結末……客観のカメラ(遠景)
と視点を切り替えることで観客・視聴者の理解を促している
自分の文章のなかに“主張”“理由”“事実”の3つがあるか、そしてその3つはしっかりと連動しているか、いつも意識するようにしよう
文章は“面倒くさい細部”を描いてこそ、リアリティを獲得する
映画に置き換えていうなら、文章は脚本や俳優の演技であり、構成はカメラ割りと編集である
論理展開におかしなところがある場合は、矢印がうまくつながってくれない
結局、われわれが本当の意味でその「椅子」に座れる読者は、世の中に2人しかいないとぼくは思っている。次の2人だ。
(1)10年前の自分
(2)特定の“あの人”
専門性に溺れた文章は、往々にして“遠景”を描かず、いきなり対象にクローズアップする
真剣に読んでもらうにはどうすればいいのだろうか? ぼくの答えはひとつ、「読者の“姿勢”を変えること」だ
主張のどこかに「これは他人事じゃない!」と思わせる要素が含まれていないと、われわれの心は動かない。当事者意識を芽生えさせ、他人事を「自分事」に変換してくれる、なんらかの仕掛けが必要なのである
文章の「起“転”承結」を成立させるためには、冒頭に「自らの主張と真逆の一般論」を持ってくる必要がある。なぜなら、そうしないとあなたの主張が“転”の役目を果たさないからだ
「目からウロコが落ちる」要素は、全体の3割で十分
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これまでにいろんな文章を読んできましたが、長い文章を書く人にとって、これほど役に立つ本はないかもしれません。
一冊本を書いていると、つい構成がぐちゃぐちゃになってしまうものですが、きちんと整理するための具体的テクニックが書かれており、じつに勉強になりました。
タイトルは「20歳の自分に」となっていますが、年齢は関係なく、書く仕事の人にこそオススメの内容です。
ぜひ読んでみてください。
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『20歳の自分に受けさせたい文章講義』古賀史健・著 星海社
<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4061385100/
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◆目次◆
はじめに 定年後うまくいく人、いかない人はどこが違うのか
第1章 「働かない老後」から「働く老後」へ
第2章 定年前後の「やってはいけない」
第3章 いますぐはじめる暮らしの見直し方
第4章 人生100年時代を生きるヒント
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