【残業なしで儲かる中小企業】
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昔、『成功読書術』というビジネス書のガイド本を書き、ニューコアのカリスマ的経営者、ケン・アイバーソンの『真実が人を動かす』という絶版本をご紹介したことがあります。(今は、『逆境を生き抜くリーダーシップ』という書名で復刊)
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当時のニューコアには、いくつかの神話がありました。
・ニューコアの社員7000人は、鉄鋼業界でいちばんの高給取り。にもかかわらず、生産された鋼材1トン当たりの人件費は最低
・本社勤務の社員はたった22人
・レイオフなし、工場閉鎖なし。30年以上、すべての営業四半期において黒字決算
・業界最高水準の給与を支払っており、人材に不足したことがない
会社というのは、社員のことを考え、合理性を突き詰めると、極限まで筋肉質になるものです。
そんな筋肉質な会社の試みを紹介したのが、本日ご紹介する一冊、『町工場の全社員が年収600万円以上もらえる理由』です。
著者は、NHK「クローズアップ現代+」、『おはよう日本』、「2016年度厚生労働省働き方改革パンフレット」でも紹介された、株式会社吉原精工の会長、吉原博氏。
もともとブラック企業だったという町工場が、どうやって全社員残業ゼロ、年収600万円を達成したのか。
興味深い事例が当事者の声で語られます。
さっそく、内容をチェックしてみましょう。
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私は社員を2つのグループに分け、それぞれのグループについて、週に2日ずつ「22時まで残業」「19時まで残業」「定時で退勤」の日を決めることにしました。当時はどの会社も月曜日から土曜日まで週6日勤務でしたから、たとえば「グループAに所属する社員は月曜日と水曜日が22時まで、火曜日と金曜日が19時まで、木曜日と土曜日が定時まで」というように決めました。グループAとグループBが残業する曜日をずらすことで、週4日、工場は22時まで稼働させることができます。一方で、社員は定時で退勤できる日が事前にわかるので、プライベートの予定を立てやすくなる
「社員の働きやすさを変えずに、何とか工場の稼働時間を増やして、受けられる仕事を増やせないか」そう考えた私が次に導入したのは、「夜間専門社員」です。つまりグループA、グループBのほかに夜間専門のグループCを作って3グループ制とし、グループCの社員が22時から朝まで機械を稼働させられるようにしたわけです。こうして、工場の機械はほぼ24時間フル稼働できるようになりました
週休2日制の中身を見直し、「土・日」または「日・月」に社員が休めるようにしました
吉原精工ではプライベートには一切タッチせず、社員同士の親睦を図るイベントなどはありません。「楽しいことは会社の外で自由にやってほしい」という方針です
大事なのは、「残業代込み」の給料にすること
「利益が上がればボーナスが出る」という仕組みを導入した結果、面白い効果も生まれました。会社の利益を社員が優先して考えるようになり、ベテラン社員が若手社員の能力を引き上げようとサポートする姿勢が見られるようになった
壁に張り出す紙には、今の借金の額も載せています
もし残業のある会社で社員に業績の推移を開示する場合は、残業代も公開すべきだ
吉原精工では、入社1年目から年間20日の有給休暇を設けています。20日間の有給休暇のうち、14日間は私が割り振ります。社員は、残り6日間は自由にとることができる仕組みです(中略)有給休暇のうち14日間を私が割り振るのは、ゴールデンウィーク、お盆、年末年始にそれぞれ10連休をつくるためです
社員全員に「部長」という肩書のついた名刺を持たせています。ただし、「部長」の名前はプライベート用です
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残業ゼロの試みはもちろん、同社がどうやって自社の強みを磨き、ムダを省き、顧客、従業員双方に貢献しているか、その詳細がよくわかりました。
なかでも、利益を生み出すための「吉原精工流・9つのごめんなさい」は、筋肉質な企業を創りたいと願う起業家にぜひ読んでいただきたい内容です。
いかに本業に専念するか。いかに価値に専念するか。
同社の経営の真髄を見せていただいた気がします。
中小企業経営者、起業家はぜひ読んでみてください。
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『町工場の全社員が年収600万円以上もらえる理由』
吉原博・著 ポプラ社
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◆目次◆
序 章 吉原精工はなぜ生まれたのか
第1章 その昔、吉原精工は「ブラック企業」だった
第2章 3度の倒産危機を乗り越え「残業ゼロ」へ
第3章 年3回の10連休とボーナス手取り100万円
第4章 吉原流「経営改革とリストラ」
第5章 「自分が嫌なことは、社員にもさせない」吉原流経営
第6章 頭の中の99%を占めている「営業」の面白さ
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