2017年10月27日

『5時に帰るドイツ人、5時から頑張る日本人』 熊谷徹・著 vol.4846

【日本人の生産性を上げるには?】
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本日ご紹介する一冊は、時短大国・ドイツの現状を、ドイツに27年住んでいるというフリージャーナリスト・熊谷徹さんがレポートした一冊です。

本書によると、ドイツの年平均労働時間は1371時間(日本は1719時間)と短いにもかかわらず、労働生産性は日本を約46%上回っています。

2016年のGDPを見ると、前年比1.9%増加、前年の1.7%を上回る成長率(ドイツ連邦統計局調べ)。一人当たりで比べると、ドイツが4万1902ドル=約486万円、日本が3万8917ドル=約451万円という結果になっています。

どうしてこうも生産性が違うのでしょうか?

働き方改革に燃える日本にとって見逃せないポイントを、本書はズバリ、法制度とメンタリティーの違いに求めています。

法制度に関して言うと、1日10時間を超える労働の禁止、6ヶ月間の平均労働時間1日8時間以下、日曜・祝日の労働も禁止…。

抜け穴だらけの日本の制度と違う、その徹底ぶりに驚きます。

また、仕事を個人ではなく会社につけることや、休暇中は絶対に会社のメールを読まないなど、働き方の意識の違いも明白です。

学校教育の影響や、企業サイドの意識改革の遅れなど、まだまだ日本で実践するにはハードルが高そうですが、参考になる部分はたくさんあると思います。

いくつか、ポイントを見て行きましょう。

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大前提として、ドイツでは法律で企業での労働時間に上限規制をかけている。これは残業時間の上限規制よりも厳しい。象徴的なのは、1日10時間を超える労働が禁止されていること。月平均の残業の上限ではなく、毎日10時間を超えて働いてはいけないのである。1日の労働は10時間まで許されているが、6ヶ月間の平均労働時間は1
日8時間以下にしなくてはならない

ドイツでは、駅・空港、ガソリンスタンド、一部のパン屋などの例外を除けば、日曜・祝日に店は営業していない

最低24日間の有給休暇の取得が制度化されており、業務をカバーしてくれる人がいれば、いつでも2週間以上の長期休暇が取れる

ドイツ人は世界で最も労働時間が短いにもかかわらず、多くの企業の業績は順調に伸び、消費者の購買力につながる「実質賃金」が引き上げられ、可処分所得(所得のうち税金や社会保険料などを除く、自由に使えるお金)は右肩上がりとなっている

ドイツの労働時間が短いもう1つの理由は、効率を重視し、無駄を嫌うドイツ人のメンタリティーだ。個人主義が強いこともあり、友人や恋人と過ごすプライベートの時間、家族と過ごす時間をとても重視する

日本で働き方改革を実現するための第一歩は、「労働契約書」の締結を義務付けることだ

ドイツでは「事業所監督局」(Gewerbeaufsicht)という役所が労働時間や労働環境を厳しく監視しており、抜き打ち検査も行われている。組織的に1日10時間を超えて働かせていることが判明した場合、事業所監督局から最高1万5000ユーロ(180万円)の罰金

企業が事業所監督局から罰金の支払いを命じられた場合、会社の金で罰金を払うのではなく、長時間残業をさせていた部署の管理職に払わせることがある

家庭生活をおろそかにすると離婚される

夏休みの宿題は法律で禁止

休暇中は会社のメールを読まない

日本企業では社内メールの数が、ドイツ企業よりもはるかに多い

ドイツ企業では、いくら重要な取引先からの依頼とはいえ、他の社員に残業を強いるような仕事は断るのが当たり前

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長年、ギリシャに行っていると、ドイツ人の旅行客とよく会うのですが(シュリーマンが遺跡を発掘している関係で、ギリシャはドイツ人に人気がある)、そこで気づくことは2点。

一つ目は、ドイツ人は、長期休暇を思いっ切り楽しんでいる。
(本書によると、夏休みは2週間が当たり前だそうです)

二つ目は、ドイツの老人は歳をとっても足腰が丈夫、ということです。

働き方改革と、健康革命は、今後の日本にとって一大事。

ぜひ本書を読んで、働き方から見直してみましょう。

政策担当者、マネジャーにもおすすめの内容です。

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『5時に帰るドイツ人、5時から頑張る日本人』
熊谷徹・著 SBクリエイティブ

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◆目次◆

序 章 日本の働き方は改革できるのか?
第1章 なぜドイツは残業なしでも経済大国なのか?
第2章 国による厳しい監視が必要
第3章 残業よりも早い帰宅を評価する
第4章 ドイツの仕事は個人でなく会社につく
第5章 過剰なサービスを減らして時短を実現
第6章 日本でも働き方の意識改革が必要だ

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