【金森重樹氏、絶賛!】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4894517779
本日ご紹介する一冊は、コーネル大学ジョンソンスクール経済学教授で、「ニューヨーク・タイムズ」紙のコラムニストも務める、ロバート・H・フランク氏による幸福論。
<資産は形成したが、まったく幸福感がない>という金森重樹氏が絶賛、監訳を務める内容で、確かにこれまでにない幸福へのアプローチが示されています。
「感謝すること」「幸福をかみしめること」などの心構えを説く自己啓発書はそれこそ山のようにありますが、なぜわれわれが「幸福じゃない」道に突き進んでしまうのか、その原理を説明してくれる本はありません。
本書では、われわれが購入する財を、「地位財」「非地位財」に分け、それぞれの違いを論じています。
・地位財=他人との比較優位によってはじめて価値の生まれるもの
・非地位財=他人が何を持っているかどうかとは関係なく、それ自体に価値があり喜びを得ることができるもの
われわれが不幸になってしまうのは、地位財を過剰に追い求めて、心を豊かにしてくれる非地位財にお金を配分できなくなるから。
本書では、その原理と証拠を、山のように用意しています。
さっそく、気になるポイントを見て行きましょう。
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非地位財へのお金の配分がカギ(監訳者まえがき)
非地位財を求めることこそが本質的な価値の追求につながるにもかかわらず、我々のDNAは我々に競争することや、地位財を追い求めることを強いてきます(監訳者まえがき)
余分に使ったお金のせいで生活の質を本当に高めてくれるようなものへの支出がないがしろにされてしまう
1950年には加速力に優れているとされていた車が、今日のほとんどのドライバーにとって遅く感じられるのは言うまでもありません。家のサイズについても同じで、同じ地域の他の家と比べて大きければ大きいほど、広々とした家だと見なされます。(中略)要するに、いついかなる場所においても、評価は過去との比較や他者との比較というコンテクストで決まるのです
1つ目の思考実験
実際にはほとんどの人が、絶対的なサイズは小さくても、相対的には大きな家が持てるBの世界を選ぶ
2つ目の思考実験
自分は1年に4週間、他の人は6週間の休暇がとれるCの世界、そして自分は2週間、他の人は1週間の休暇がとれるDの世界のうち、どちらか一方を選びます。この場合は、Cの世界、つまり相対的に短くても絶対的に長い休暇を選ぶ人がほとんど
住宅は地位財、休暇は非地位財
「地位獲得競争」に陥ると、資金が非地位財に回らなくなって幸福度が下がる
──幸せな被験者──の場合、対照群と比較して、見知らぬ人を手伝う可能性がきわめて高い
地位が低い人ほど早く死ぬ
格差が大きい地域では離婚率が高い
金持ちが大きい家を建てると、庶民の家まで大きくなる
豪邸や高級時計を欲しい理由が、自分の社会的立場を示したいだけなら、他の手段で評価されるように仕向ければ良いのです。どれだけの豪邸を建築できるかではなく、どれだけ貯蓄できるか、どれだけ慈善活動に寄付できるかが重要だと思わせます。そのほうが社会的にも大いに生産的です
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単に幸福/不幸の原理を説明しただけではなく、どうすれば社会全体の幸福度が増すか、税制や個人の消費行動まで踏み込んで説明した点が、本書の特長です。
読んでいて、ローマ時代は富裕層が公共施設を作った、という、『世界史を創ったビジネスモデル』の話を思い出しました。
※参考:『世界史を創ったビジネスモデル』
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今でも既に起こりつつありますが、お金持ちが本書を読んで、過度な消費を控えれば、社会全体の幸福度がアップするはずです。
自らの生き方や消費を再考する上で、ぜひ参考にしていただきたい一冊です。
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『幸せとお金の経済学』ロバート・H・フランク・著
金森重樹・監訳 フォレスト出版
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<楽天ブックスで購入する>
http://bit.ly/2lfQb4P
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◆目次◆
監訳者まえがき
本書へ寄せられたレビュー
I 収入が増えない時代の幸せとお金の研究序説
幸福にのしかかる経済的圧力の正体
無駄な消費に駆り立てる見えない因子
II 「普通の生活」でもどんどんお金が減っていく理由
1 なぜ私たちは同じ答えを選んでしまうのか?
2 所得の変化が映すいびつな世界
3 幸福の研究が明らかにしたもの
4 幸不幸を左右する見えざる手
5 私たちは身の丈以上にお金を使っているのかもしれない
6 ヒトをマウンティングに向かわせるホットシステム
7 ダーウィンの仮説で見る地位財? 非地位財?
8 より過酷になり、脱落しつづける中間所得層
9 その正しい選択が、振り返ると愚行となる
10 格差から1人抜け出し、生き残る知恵
11 公共政策を意識すると、私たちの支出も変わる
12 生き残るカギは収入と支出のバランス
最後に、日本語版読者に寄せて
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