2017年10月15日

『バカ論』ビートたけし・著 vol.4834

【悩みも吹っ飛ぶ、ビートたけしの大爆笑エッセイ】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4106107376

歳を重ねるごとに、後世に遺せる仕事がしたい、と思うようになってきましたが、「遺す」ためには合理性を捨てなければならない、ということがわかってきました。

要するに「バカ」にならなければならないということです。

吉田松陰的に言うと、「君たち狂いたまえ」という言葉になるでしょうか。

本日ご紹介する一冊は、そんな「バカ」について、ビートたけしさんが考察した、話題のベストセラー。

世間やマスコミが騒いでいる「あのニュース」や「あのトピック」を、バッサバッサと斬る内容で、じつに痛快です。(読む人によってはとても不快だと思います)

テレビならたくさん「ピー」が入るところでしょうが、ここまで書けるのが、スポンサーのない書籍の良いところですね。

「やりたい仕事が見つからない」
「老後をどう過ごせばいいか」

などというありがちな悩みに対しても、毒舌でバッサリ斬っており、その視点の斬新さが刺激的です。

芸人論、仕事論的な部分もあり、大爆笑しながらも、フムフムと頷きながら読みました。

政治、宗教、タブーなしで切り込んでいるので、コメントできないことだらけですが、いくつかかいつまんでご紹介しましょう。

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バカを見つけるには、ひとつコツがある。そいつに質問させればいい。そうすればすぐに馬脚を現す

当事者同士の問題のはずなのに、マスコミというのは集団ヒステリーを起こしたように「責任をどう考えるのか?」「社会に与えた影響は?」なんて、バカなことをいちいち聞いてくる

一方で、誰かが賞を受賞したり表彰された時の会見は、驚くほど時間も短い

離婚に限らず、最近はどんなことでも「世間の皆様にご迷惑をお掛けしたことをお詫び申し上げます」なんて言って謝るけど、世間の皆様に謝る必要があるとは思えないことばかり

バラエティ番組でも、いつからか「ケーキは番組終了後にスタッフで美味しくいただきました」というテロップが出てくるようになったけど、嘘つけ。床にぶちまけられたケーキを美味しく食べる奴がどこにいるんだ。要するに全部クレーム対策

多数決で決まることをあまり信用しなくてもいい。むしろ「お前はバカだ」と言われても、九十九人の方ではなく、残りの一人になる勇気が必要

プロ野球で言えば、今の野球選手と、長嶋さんや王さんを比べちゃいけないってこと。技術だけで言えば、今の選手や芸人の方が優れているかもしれない。だけど、その人が活躍した時代状況が何よりも重要で、その時にいかに周りより飛び抜けていたかが大事

何を盗むか、というのは、芸人として問われるべき大事なセンス(中略)そのセンスがない奴は、変な顔をするだけとか、脱いだり奇抜な格好したりだとか、ただの見世物、フリークみたいなお笑いしかできない。結局それは、「笑わせている」んじゃなくて、「笑われている」だけ

「かくし芸」を「売り芸」にしちゃダメなんだ。(中略)「裏芸」はあくまで「裏芸」の良さであって、それを「表芸」にしてしまったら、芸人としての寿命が縮むだけ

──「やりたい仕事が見つかりません」
いきなり参っちゃうね。まあ若い奴なだんだろうけど、はっきり言うと、「やりたい仕事が見つからない」ではなくて、やりたくてもそれに見合った実力がないだけ

大体、孤独じゃない死なんてあるのか。そもそも人間なんてのは、ひとりで生まれて、ひとりで死ぬものだろう

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現在の日本人は、空気を読みすぎてがんじがらめになっていますが、どうも息苦しいな、と思ったら本書を読むことをおすすめします。

『嫌われる勇気』なんて深刻な話ではなく、批判されても「それがどうした」と開き直れること、うけあいです。

※参考:『嫌われる勇気』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478025819/

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『バカ論』ビートたけし・著 新潮社

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◆目次◆

第一章 バカなことを聞くんじゃない
第二章 バカ言ってんじゃない
第三章 渡る世間はバカばかり
第四章 バカがテレビを語っている
第五章 こんなバカが好きなんだ
第六章 たまにはバカな質問に答えようか
おわりに──バカな言い訳

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