【人が動く「仕掛け」】
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昨日は出版業界、今日はファッション業界を代表する「仕掛け人」と対話してきました。
世の中には明らかに人が動く「仕組み」や「流れ」があり、デキる人はこれをうまく利用する。これが「仕掛け」です。
先日、渋谷の啓文堂書店さんに出掛けたら、ちょうどこの「仕掛け」に関する本が見つかったので、本日はそれをご紹介します。
本日ご紹介する一冊は、松村真宏さんによる、『仕掛学』。
もともと人工知能の研究者だったという著者が、ひょんなことから「仕掛け」に魅せられ、仕掛けの事例を集めているうちに、ものすごいボリュームになり、スタンフォード大学で在外研究。今回の本に結実した、という流れです。
本書には、背表紙に斜線を一本引くことでファイルボックスを順番通り並べるようになる「仕掛け」や、ついゴミを捨てたくなるゴミ
箱の仕掛け、思わず写真を撮りたくなる仕掛けなど、さまざまな「仕掛け」の事例が紹介されています。
「◯◯しろ」「××するな」というのは、「仕掛け」がうまくできていない現場の常套句ですが、本書の「仕掛け」を使えば、店頭やオフィス、工場などで、人の動きが劇的に変わるはずです。
マーケティングの視点で見ても、マネジメントの視点で見ても、じつに興味深い「仕掛学」。
さっそくそのエッセンスをピックアップしてみましょう。
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重要なのは人に気づかせることであって、そのためには「仕掛け」をデザインすればいい
ファイルボックスの背表紙に斜線を一本引くとファイルボックスが順番通りに並んでいるか一目見てわかるようになる。ラインが乱れ
ていると気になるのでつい直したくなり、結果として整理整頓が達成される
ゴミ箱の上にバスケットボールのゴールを設置すると、ついおもちゃを投げてシュートしたくなる。シュートして遊んでいるだけなのに、結果的におもちゃがゴミ箱の中に片付くことになる
左右の足を揃えた足跡を動く歩道に描いておくと左側に立てば良いことが自然と伝わり、人の流れが整理される。動く歩道の動いている早さも伝わるので、つまずき防止にもなる
フォルクスワーゲン社が行ったファン・セオリー・コンテストの入賞作品「世界一深いゴミ箱(The World’s Deepest Bin)」を紹介しよう。このゴミ箱にゴミを捨てると落下音が聞こえ始め、それが8秒ほど続いた後に衝突音が聞こえる。ゴミを捨てた人はもう一度音を聞きたくなってまたゴミを捨てたくなる(中略)この仕掛けを施したゴミ箱を公演に設置したところ、普通のゴミ箱より41キログラム多い72キログラムものゴミが集まったそうである
普通の目覚まし時計はベルを鳴らして無理やり目覚めさせるので不快だが、ホームベーカリーやコーヒーメーカーは心地よい目覚めをもたらしてくれる身近な仕掛けである
仕掛けは選択肢を魅力的に見せることで自ずとそちらの行動が選ばれるよう仕向けたもの
鳥居は神社の敷地の入口に設けられるものなので、神聖な場所を想起させ罰当たりな行動を慎ませる
振動を使った仕掛けもある。[仕掛け20]の三角トイレットペーパーを使うと、3分の1回転するたびにわずかな振動が手に伝わるフィードバックを実現できる。この三角トイレットペーパーとただのトイレットペーパーの使用量を比較したところ、三角トイレットペーパーのほうが一人当たりの使用量が約30%も少なかった
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「アフォーダンス」「挑戦」「不協和」など、仕掛けの原理がきれいに説明されており、また、事例も豊富に掲載されています。
経営者、マーケターが読めば、きっと「売れる仕組み」や、「コスト削減の仕組み」につなげられるでしょう。
これは必読の一冊です。
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『仕掛学』松村真宏・著 東洋経済新報社
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◆目次◆
序章 「ついしたくなる」には仕掛けがある
1章 仕掛けの基本
2章 仕掛けの仕組み
3章 仕掛けの発想法
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