【きゃりーぱみゅぱみゅの仕掛人】
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どんな世界にも、「仕掛人」はいるものですが、本日ご紹介する一冊は、あのきゃりーぱみゅぱみゅを始めとする原宿カワイイ文化を世界に発信したプロデューサー、中川悠介氏による一冊。
きゃりーぱみゅぱみゅ、中田ヤスタカなどのアーティストをマネジメントし、月間150万以上のアクセスを誇る情報サイト「HARAJUKU KAWAII STYLE」を運営、さらにカワイイモンスターカフェなど、原宿を拠点に次々と新たなムーブメントを仕掛ける著者が、どんなことを考えているのか、気になるところでしょう。
内容は、著者の会社・アソビシステムが何をやっているのか、どんな思想で仕事に取り組んでいるのか、ヒットの条件をどう考えているのか、など。
正直、「ヒットの条件」を期待した読者にとっては肩すかしな部分がありますが、それでも著者の思想の片鱗に触れることには意義があると思います。
特に、従来縦の「カテゴリー」でくくられていたものを横軸で刺すという思想は、今の時代のヒットの条件にかなっていると思いました。
さっそく、いくつか興味をそそられたポイントをピックアップしておきましょう。
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人もモノも街も、第二、第三ではダメなのです
第二、第三のきゃりーには興味がないし、必要もない
自分たちがいいと思うことだから、続けることができたのだと思います。やり続けるパワーは、自分たちがいいと思えるから出てくるのです
「あそこ、おいしいらしいよ」このくらいのニュアンスで言われているのがいい。「らしいよ」くらいで表現されているものに、人はドキドキするし、気になると思うのです
「この音楽、すごくいいんですよ、聴いてください」と自分で宣伝するよりも、「なんか、あのバンド、カッコ良くない?」と周囲の人が騒ぎ始めるほうが明らかに興味を持たれる。そういう時代
弱さを強さに変えていくには、絶大なる自信とまわりの評価が必要です。自信を手に入れるには、正しくまわりの評価を理解する必要がある
「原宿カルチャー」をキーワードにした際に、僕たちはモデルを起用すると人気が出ることがわかっていました。だから、モデルに関わるメディアを作ろう、モデルに関わるブランドを作ろう、モデルに関わるイベントをやろう、と広げていった
人のやりたいことを応援してあげる。そうすると、ついてきてくれる
背伸びするようなことはしない、わからないことはやらない、自分たちがわかる範囲のことをする
僕たちの考え方は違うのです。「横」なのです。原宿、青文字、クラブ、カワイイ、といったアソビシステムのキーワードを「縦」の業界に、横軸で刺しているイメージなのです
縦の社会では、誰もがまず「カテゴライズ」したがります
今の時代は、お茶の間にテレビCMを打つよりも、ウェブサイトやSNSで決まった人たちに打ったほうが情報の価値が上がる
最初からカルチャーにしようとしていたから、カルチャーになったのだと思っています。ブームじゃなく、カルチャーを創る意識が重要
一〇〇万部の雑誌はなくなるかもしれないけれど、五万部の雑誌は高く支持され、評価される。そういう時代が来ている
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重要なノウハウだけに書けない部分もあるとは思いますが、アソビを仕事にしている著者だけに、もっとサービス精神が欲しかったと思います。
「モデルを起用すると人気が出ることがわかっていました」の部分は確かにノウハウといえばノウハウなのですが、以前あるカリスマ編集者が語っていた「当事者しか知らない秘密」をもっと語っていただきたかったと思います。
次回作に期待したいところです。
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『#アソビ主義』中川悠介・著 マガジンハウス
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◆目次◆
はじめに 原宿から発信し、カルチャーを創っていく
第1章 仕事 感覚で行こう
第2章 キャリア 自由に生きてきた
第3章 経営 泥臭く、謙虚に
第4章 会社 カルチャーを創る
第5章 きゃりーぱみゅぱみゅ 日本から世界へ
第6章 インターネット SNS時代を見抜く
第7章 悩みとモヤモヤ 悲観しない
第8章 ポリシー 昭和っぽさがいい
第9章 海外 もしもしにっぽんプロジェクト
第10章 今 人を信じる
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