【ジャック・アタリによる未来予測本?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4480097511
最近、大きく時代が変わったと感じています、という話は誰もがすると思いますが、土井が変わったと思うのは、未来に対する姿勢です。
昔は、これをやっていれば明るい未来が約束されている、というある種の確信があったのが、今はその確信が持てなくなってきている。
なぜそうなったのだろうと疑問に思っていたら、明確な答えをくれる本と出合いました。
本日ご紹介する一冊は、欧州復興開発銀行の初代総裁であり、フランス大統領特別顧問も務めたジャック・アタリが、その未来予測の手法を示した一冊。
最近は、未来予測は当たらないというのが通説になってきつつありますが、それに対し、著者は未来予測は可能であるということ、また未来予測によって未来が創られるという立場をとります。
著者独自の手法である、「未来分析の5段階」には、特に注目したいところです。
◆未来分析の5段階
第一段階「懐古予測」:予測対象の根源的なアイデンティティ
第二段階「生命維持予測」:予測対象の健康状態、生活様式、自己管理法
第三段階「環境予測」:予測対象の運命に影響をおよぼすかもしれ
ない関係者の未来分析
第四段階「愛着予測」:関係者が予測対象に対し、未来においてど
のような態度を示すのか
第五段階「投影予測」:予測対象の人生のなかで、分かっている、
あるいは起きると思われる未来の出来事の分析
勉強になったのは、人々が因果関係よりも相対関係を重視するようになる、という予言。
未来予測に対し、生命保険会社やデータ管理会社が主導権を握ると説いたあたりは、特に読み応えがありました。
さっそく、気になる主張をチェックして行きましょう。
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たとえ発生確率がほぼゼロであっても、非常に稀な出来事はいつか必ず起きる
これまでの二〇〇年間、われわれは、複合的つまり直感に反するものも含めて、未来の因果関係を過去から説明しようとしてきたが、今後、われわれは因果関係を探し求めようとはしない。大多数の間に見られる相関関係という唯一の作用によって、未来の傾向を探し求めるだけで満足するのだ
統計学的に、フェイスブック幸福指数が上昇した翌日の株価は上がった。この関係は、企業の株式資本が小さければ小さいほど明確だったという
機械のメンテナンス予測は、人間の寿命を予言するのと似てきた。
なぜなら、人間は、ますます機械のようになってきたからであり、その逆も然りだからだ
権力を握るのは、もはや祭司、軍人、政治家でなく、今後は、未来を操る役割を担う企業だ。保険会社やデータ管理会社は、われわれの抱えるすべてのリスクを把握し、個人のリスクに応じた行動をとるように指導するはずだ。保険会社やデータ管理会社などの権力者たちと、彼らに奉仕するコンピュータは、人間にとって神のように
振る舞うだろう
◆未来分析の5段階
第一段階「懐古予測」:予測対象の根源的なアイデンティティ
第二段階「生命維持予測」:予測対象の健康状態、生活様式、自己管理法
第三段階「環境予測」:予測対象の運命に影響をおよぼすかもしれ
ない関係者の未来分析
第四段階「愛着予測」:関係者が予測対象に対し、未来においてど
のような態度を示すのか
第五段階「投影予測」:予測対象の人生のなかで、分かっている、
あるいは起きると思われる未来の出来事の分析
自分が現在に生きているからという理由だけで現在の重要性を過大評価したくなる誘惑は断ち切る
人生は大聖堂のようなものだ。どちらも享受する前に、それを夢見なければならない。それを享受するために、それを夢見るのだ。たとえ自分の存命中にそれを完成させる時間がなくても、われわれは最後に必ず自己の作品の中に生きる。予測することが生命をもたらすのだ
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個人の人生設計はもちろんのこと、株式市場の予測に関しても、いくつか面白い視点が示されており、良い勉強になりました。
前半部分では、人類の予測の歴史についても触れられており、読み物としても興味深い内容です。
ぜひチェックしてみてください。
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『アタリ文明論講義』ジャック・アタリ・著 筑摩書房
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http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4480097511/
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◆目次◆
はじめに 未来は予測可能か
第1章 天の予言、神々の権力
第2章 時間を操る、人間の力
第3章 偶然を制御する、マシンの威力
第4章 私の未来予測
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