2024年3月5日

『経営中毒』徳谷智史・著 vol.6430

【だから社長はやめられない。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/456985642X

本日ご紹介する一冊は、出資×コンサルティングのVCスキームで、「スタートアップ共創のエコシステム創造」を目指す、エッグフォワードの代表、徳谷智史(とくや・さとし)さんによる一冊。

オビの冨山和彦さん推薦文に、「社長をやった人にしか、この快感はわからない」と書かれていますが、まさにそんな内容です。

基本的には、社長の誤算を「疑似体験」する本であり、著者も、<「成功」を約束する本ではありません>と書いていますが、読んでみた土井から言わせれば、起業成功に必要な心構えがすべて書かれている本だと思います。

冷たいプールに入る前、体に水をかけて慣らす作業があると思いますが、本書はまさに、そんな位置付けの本。

起業直後に経験する資金繰りの問題、人の問題、組織づくりの問題、プロダクトの問題、コンプライアンス、上場、M&Aなどのトピックが、一通り網羅されており、それぞれ必要最小限の知識が説かれています。

実際に経営をしたことのある方なら、「もっと早いうちに読んでおけばよかった」と思うのではないでしょうか。

特に感銘を受けたのは、起業直後に直面する資金繰りの問題を、しっかり体系立てて述べている点。

入金タイミングと減価償却が、どう資金繰りに影響するのか、資金繰りに追われるとなぜ経営が停滞するのか、その辺りがよく書かれています。

採用やマネジメントの「あるある」話も書かれていて、身につまされる社長は多いと思います。

行き詰まってピボットする際に、「顧客」「課題」「提供価値」の一つだけ変えよというアドバイスも有用で、本書に救われる経営者は多いのではないかと推察します。

さっそく本文のなかから、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。

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ミラクルを起こせた理由の一つは、「次の打開策を考えて行動し続けた」から

創業時に自転車操業に陥らないためにも、「今どれだけお金を使っていて」「これから何にどれだけお金を使いそうか」といった視点で、先々の見通しを立てることが必要です。今を見るのではなく、少し先の未来を見てカネをマネジメントすること。先を見る期間は長いに越したことはないですが、理想を言えば短くてもまずは1年以上、少なくとも6カ月先まで見越して手を打ちたいところです

持続することばかり考えると、何もチャレンジできなくなってしまう

「キャッシュがない!」が起こる理由・帳簿上に売上や費用が計上されるタイミングと、実際に入金されるタイミングが異なるため
・機械や設備の「減価償却費」(中略)お金をいっぱい使ったのに、なぜか利益だけが残って、さらに税金も支払う必要があり、資金繰りが大変

エクイティは投資家選びを間違えると痛い目にあう

給料日や支払い日とは本来、社長にとって最も感謝すべき瞬間

社長は自分と同じぐらいコミットすることを社員に求めてしまいがち。それゆえに、社員がついてこれなくなり離職するケースも、よく見られます

社長の悪口を言う幹部を入れると、組織は崩壊する

「肩書き」にこだわる人は要注意

自分と異なる「勝ちパターン」を持つ人を採用する

会社が一定規模になったら、「給料のものさし」をつくる

独りよがりにつくらず、ユーザーの反応を見ながらつくる

お客様が欲しいと思うサービスやプロダクトかどうかは、次の三つの要素でチェックできる
・課題(ニーズやペイン)
・提供価値(競合との違い)
・価格(ビジネスモデル)

ピボットのポイントは、顧客、課題、提供価値のうち一つだけを変えること

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単にノウハウを羅列するのではなく、ほぼ100%起業家が経験し、痛い目を見るポイントを解説しているため、納得度が違います。

転ばぬ先の杖として、ぜひ、読んでみてください。

全起業家必読の一冊です。

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『経営中毒』徳谷智史・著 PHP研究所

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◆目次◆

はじめに 社長はつらい? それとも楽しい?
第1章 「資金繰り」は最初に直面する、社長共通の悩み
第2章 会社は99.9%、「人の問題」で崩壊する
第3章 営業vs.エンジニア、中途vs.古参……組織の崩壊はとつぜん起きる
第4章 最初に考えたプロダクトはなぜうまくいかないのか
第5章 「事業の売却」から新たな経営がスタートする
第6章 「24時間悩み、365日決断」難しいがクセになる経営判断
おわりに あなたは孤独な社長ではない

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