2024年2月27日

『2050年の世界』ヘイミシュ・マクレイ・著 遠藤真美・訳 vol.6425

【世界の先行きがわかる。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4296118412

本日ご紹介する一冊は、けんすう氏が「ここ数年で読んだ『未来予測系』の本で一番おもしろかった」と大絶賛した一冊。

著者は、英インディペンデント紙の経済コメンテーターであり、ガーディアン紙の金融面エディターを務めたこともある、ヘイミシュ・マクレイ氏です。

本書で書かれているのは、うわついた未来予測ではなく、詳細な地域分析。

400ページ以上に及ぶ厚さは、カバーしている地域がそれだけ多いことを意味しています。

2050年までに、アメリカやヨーロッパ、中国、インド、ロシア、中東諸国、東南アジア、アフリカがどうなるか、現状の分析と課題をもとに論じており、極めて真っ当な論考です。

「変化をもたらす五つの力」として、人口動態、資源と環境、貿易と金融、テクノロジー、政府を挙げるのは、他の書籍同様ですが、本書で注目したいのは、変化の時代を読み解くための著者独自の目線。

著者が「予測を一定の範囲にとどめるアンカー」と呼ぶ2つの要因を押さえれば、未来予測は、思っているよりグッと楽になるはずです。

■予測を一定の範囲にとどめるアンカー
・物理の法則は変わらない
・心の核にある望みと恐れはほとんど変わらない

また、「国がある場所と近隣諸国は変えられない」という指摘もその通りで、本書の詳細な地域分析と併せて考えれば、世界情勢、世界経済を読み解くのは、比較的楽になると思います。

本書の魅力は、マクロの分析だけでなく、ミクロのビジネスチャンスにも触れている点。

これから大きくなる都市や、伸びる産業、テクノロジー、エネルギーの方向性が見えれば、これから世界で稼ぐ方法が見えてくるはずです。

読者の年齢に関わらず、どこに投資や雇用、ビジネスのチャンスがあるのかが見える、じつに刺激的な一冊。

さっそく本文のなかから、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。

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2030年代末には、中国の前進は止まる。人口が高齢化して減少に転じるため、いまよりも付き合いやすい隣人になる

ロシアについては、人口が収縮して広大な国土を管理できなくなり、状況はどんどん厳しくなっていく

中間層の価値観が世界を動かすようになるのは簡単に想像がつく。その理由は、中間所得層が世界の人口の過半数を占めるようになることに尽きる。これは人類の歴史ではじめてのことだ

ドイツ経済には別の側面もある。輸出には強いが、それに比べると国内のサービス業の質は見劣りがする

世界におけるスペインの重要性はこれから下がっていく一方で、スペイン語人口、主にアメリカ大陸のスペイン語人口の重要性は上がっていく。世界が物理的な距離よりも言語と文化で深く結びつくようになるのであれば、スペインの未来は明るくなる

HSBCの予測によれば、バングラデシュが2030年まで世界最速の経済成長をとげる見通しで、インドは2位、パキスタンは4位とつづく

意外かもしれないが、1990年代頭にソ連が解体してから、ロシアはずっと人口流入国である。それどころかロシアの移民受け入れ数はアメリカについで世界で2番目に多く、移民の大部分がロシア語を話す人がたくさんいる国から来ている

あるものをつくるときのコストは、生産に関するものが減り、設計・製造チームの専門知識に関するものが増える。そこで、生産の拠点は、コストがいちばん低いところではなく、自社にとって都合のいいところ、通常は自社製品の市場に近いところにする。そして、スキルをもつ人を確保できるところに設計チームを置く

世界はどんなサービスを買いたいと思うようになるのか。その一部はすでにかなりはっきりしている。リストのトップには教育と医療がくる

新興世界では、急増する中間層が家族に最高の教育を受けさせたいと思うようになるが、西側方式の高等教育機関を複製するだけの資源はないだろう。現実を考えると、情報テクノロジーを活用して効率を上げることが、進むべき唯一の道になる

グローバル化は、モノの移動からアイデアと資金の移動へと方向転換する

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さすが英国プレスアワードの年間最優秀ビジネス・ファイナンス・ジャーナリスト賞を受賞した著者。

ひさびさに読み応えのある未来予測本に出合いました。

「日本語版への序文」も元気が出る内容で、好感が持てます。

ぜひ、読んでみてください。

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『2050年の世界』ヘイミシュ・マクレイ・著 遠藤真美・訳 日本経済新聞出版

<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4296118412

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◆目次◆

日本語版への序文
世界の現在地
序 章 2020年からの旅
第1章 わたしたちがいま生きている世界変化をもたらす五つの力
第2章 人口動態
第3章 資源と環境
第4章 貿易と金融
第5章 テクノロジーは進歩しつづける
第6章 政府、そして統治はどう変わっていくのか2050年の世界はどうなっているのか
第7章 アメリカ大陸
第8章 ヨーロッパ
第9章 アジア
第10章 アフリカ・中東
第11章 オーストラリア、ニュージーランド、太平洋
第12章 この先の世界を形づくる大きなテーマ
謝 辞
原 注

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