2023年12月12日

『パーパス経営入門』名和高司・著 vol.6376

【これでバッチリ。】
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本日ご紹介する一冊は、ベストセラー『パーパス経営』の著者であり、京都先端科学大学教授、一橋ビジネススクール客員教授の名和高司さんによる、『パーパス経営』のエッセンス本。

『パーパス経営』
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もともとは、2022年9月号から2023年3月号まで、月刊誌『THE21』に連載した記事を大幅加筆修正したもので、それだけに読みやすい。

『パーパス経営』を名著と見立てた場合、その『100分de名著』バージョンを作る感覚で編集したようで、確かにエッセンスが元本以上によくわかる内容です。

「パーパス経営」とは何か、なぜそれが重要なのか+事例なら、いろんなところで語られていますが、本書が優れているのは、ミドルへのパーパス浸透まで見通して書かれている点。

ハーバード・ビジネススクールのジョージ・セラフェイム教授の研究によると、企業のミドル層がパーパスを繰り返し口にすればするほど、ROA、つまり企業の収益性が高くなるんだそうで、本書では、そのミドル層にパーパスを浸透させる方法についてもヒントが示されています。

パーパス1on1のやり方など、興味のある方は、参考になさるといいかもしれません。

本書にはまた、パーパスを導入して成功している企業の例がいくつか載っています。

ファーストリテイリングの「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」、ソニーの「KANDO(感動)」、花王の「Kirei Lifestyle」、中川政七商店の「日本の工芸を元気にする!」など、優れたパーパスの例と、その解説が読み応えあります。

筆頭株主が従業員持株会(YKK恒友会)というYKKの「社員志本主義」なども、参考にするといいでしょう。

パーパス経営の基本から実践まで、過不足なくまとめられた良い本だと思います。

さっそく本文のなかから、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。

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パーパスは、実際にそれに関わる人々が「できる!」と確信し、行動して初めて、夢から未来の現実に変わる

パーパスに魂を込めるためには、できあがった全社パーパスを、事業部門や機能部門などの社内組織が、「パーパス浸透ワークショップ」などを通じて、自分たちを主語にして受け止め直すプロセスが不可欠

ミッションとはいわば「大義」であり、「○○をしなくてはならない」というものなのに対して、パーパスは「自分たちのやりたいことは何か」「自分たちのありたい姿とはどういうものか」から始まるもの

パーパスを仕事の中心に据えると、仕事そのものが「ワクワク」するものになります

自分らしいスタイルを見つけて、快適に過ごすことこそが、21世紀の人間らしい生き方ではないのか。ファーストリテイリングは、それを実現するものこそが「本当にいい服」だと主張する

「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」という壮大なパーパスを、「LifeWear」というわかりやすい言葉に置き換えたことが、ファーストリテイリングのユニークさ

YKKの「社員志本主義」こそ、「株主資本主義」を脱して、次に目指すべきモデルの一つ

パーパスの「三つの条件」
「ワクワク」「ならでは」「できる!」

(SDGsの)17の目標をベースに「18番目」を考えてみるというのは、自社のパーパス策定の際のヒントになる

企業のミドル層がパーパスを繰り返し口にすればするほど、ROA、つまり企業の収益性は高くなる(ハーバード・ビジネススクール ジョージ・セラフェイム教授の研究)

現代の「ホワイト企業」は、「働きやすく、力もつく企業」でなくてはならない

世界的に話題となった「賢慮のリーダー」
・「善」を判断できる
・本質を把握できる
・場をつくる
・本質を伝える
・政治力を行使する
・実践知を育む

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パーパスとは何かから始まり、優れた企業のパーパス事例、パーパスの作り方、浸透させるヒントまで、丁寧に書かれた一冊です。

氏の『パーパス経営』を読んだ方も、エッセンスをおさらいする意味で、ぜひ、読んでみてください。

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『パーパス経営入門』名和高司・著 PHP研究所

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◆目次◆

はじめに
序 章 閉塞感を抱えるビジネスパーソンへ
    ーー今こそ見直される日本型経営の力
第1章 パーパスこそが、あなたと会社の閉塞感を突破する
第2章 パーパスは「巻き込みながら」作っていく
第3章 パーパスを「自分事」にしていくために
第4章 会社のパーパスを自部門に落とし込む方法
第5章 社員が自ら挑戦したくなる「パーパス浸透のコツ」とは?
第6章 「変わることが楽しい」。そんなリーダーになるために
おわりに

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