2023年11月29日

『「今どきの若者」のリアル』山田昌弘・著 vol.6367

【Z世代の行動原理とは?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569856071

本日ご紹介する一冊は、『希望格差社会』『婚活時代』(共著)などの著書で知られる中央大学文学部教授の山田昌弘さんが、Z世代の行動原理解明に挑んだ一冊。

『希望格差社会』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4480423087

『「婚活」時代』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4887596235

とはいえ、著者のみが語るのではなく、氏を含む16名の有識者によるオムニバス形式で書かれています。

登場するのは、世代・トレンド評論家の牛窪恵さん、『先生、どうか皆の前でほめないで下さい』の著者・金間大介さん、『地方にこもる若者たち』の著者・阿部真大さん、『東京貧困女子』の著者・中村淳彦さん、Z総研でトレンド分析を担当する道満綾香さんなど。

『先生、どうか皆の前でほめないで下さい』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492224025

『地方にこもる若者たち』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4022735066

『東京貧困女子』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492261133

年上世代がZ世代を論じても、という批判はあるかもしれませんが、Z世代と交流のある論者が多く、一読の価値はあると思います。

マーケティングの面からは、第一章の<Z世代はなぜ「イミ(意味)消費」に向かうのか?>(牛窪恵)、第十四章<「推し」が出るならテレビを観る>(道満綾香)、第十五章<『古見さんは、コミュ症です。』に見る、イベント化した日常世界>(谷川嘉浩)、第十六章<地域間格差と若者の希望>(轡田竜蔵)が参考になるでしょう。

若者が見ているメディアやチャネル、行動パターンや価値観などは、マーケティング、人事、マネジメントあらゆる面で有用だと思います。

さっそく本文のなかから、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。

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消費傾向は「快感」「達成」から「没頭」「関係」「意味」へ(牛窪恵)

「周りにどう見られるか」を意識して旅行先を決める(牛窪恵)

Z世代は何かを買う前から、購入前後の「製造」や「廃棄」「交換」などにも思いを巡らし、「これを買うイミ(意味)があるか否か」を考える世代(牛窪恵)

近年、アカウンタビリティのリバイバルが生じているように思われる(山口航)

身近な人たちからの承認欲求が強い(金間大介)

「競争」も「努力」も聞かなくなった理由
1.努力と結果の関係性が薄れてきた
2.努力の推奨はハラスメントになりうる
3.努力よりも、アイデアや知識・スキルの「質の高さ」が重要(金間大介)

いまの若者は、目の前にいる先輩の過去の実績ではなく、先輩が今日何をして、明日何をするのかに興味がある(金間大介)

公的な文章は得意、私的な文章は苦手(ひきたよしあき)

直近五年間では、韓国に結婚移住した日本国籍者は男性が九七八人に対し、女性が三九七〇人である(韓国統計庁「人口動向調査」より)(安宿緑)

二〇〇四年を分岐点にして始まった日本の貧困は、ずっと見えないところで国民を蝕んできたが、Z世代の登場によって強盗、街娼と見える事象として社会に現れるようになった。世代格差が限界を超え、持つ者から奪うという局面に突入しているのだ(中村淳彦)

アプリ分析サービス「App Ape」による二〇二二年七月の推計によると、十代と二十代の定額動画配信サービスの月間利用者数上位三位はともに、(1)アマプラ、(2)Tver、(3)ネトフリの順でした(道満綾香)

作品を観るきっかけは切り抜き動画(道満綾香)

「アテンション」は、希少な資源であり、注目が集まるものほど価値があるという性質をもっている。つまり、アテンションエコノミーと呼ばれる経済のもとでは、トレンドに「居合わせる」こと、「立ち合う」ことへの価値が高まる(谷川嘉浩)

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論客たちの意見を総合すれば、きっとZ世代の行動原理が見えてくるはず。

ミドル世代、シニア世代がどうZ世代と関わればいいのか、どうやってビジネスをすればいいのか、ヒントが見えてくる一冊だと思います。

ぜひ読んでみてください。

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『「今どきの若者」のリアル』山田昌弘・著 PHP研究所

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◆目次◆

PROLOGUE
はじめに
CHAPTER0 「継続は趣味」、わたしが「続ける」ことが好きな理由
CHAPTER1 続けることへの「苦手」をなくす
CHAPTER2 続けることは「仕組み」がすべて
CHAPTER3 続けることで「やり抜く力」は身につく
CHAPTER4 続けるだけで「自分は変わる」
CHAPTER5 続けることで「夢中になれること」を見つける
CHAPTER6 続ける中で「見つけたもの」
EPILOGUE 続けることからはじめよう
あとがき

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