2023年7月20日

『世界の今がわかる地理の本』井田仁康・編著 vol.6280

【知っておきたい世界情勢・地理の視点】
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ウクライナ・ロシアをはじめ、世界情勢が目まぐるしく変わるなか、地理を学ぶ重要性が高まっています。

地理を知ることで、各国が置かれている状況や、国家運営をする上での制約条件が見えてくる。

もちろん、グローバルで活躍するビジネスパーソンにとっては、基礎教養として必須です。

本日ご紹介する一冊は、日本地理教育学会長、日本社会科教育学会長などを歴任している、筑波大学人間系長、教授の井田仁康さんによる地理の教養書。

世界を「アジア」「アフリカ」「ヨーロッパ」「アングロアメリカ」「ラテンアメリカ」「オセアニア」に分け、それぞれの国・地域の歴史や、主要産業などの統計データ、現在直面している問題、今後の方向性などをまとめています。

コンパクトにまとまっていますが、各国の情報が過不足なく押さえられており、ビジネスパーソンが知っておきたいビジネスチャンス、踏んではいけない地雷ポイントがよくわかります。

また、好奇心やプライドをくすぐるように作られており、例えば以下の内容、知らない人は思わずめくってみようと思うのではないでしょうか。

・ドイツにトルコ系、フィジーにインド系が多いのはなぜ?
・なぜシンガポールは「周りに比べて自然災害が少ない」のか?
・中央アジアに「スタン」がつく国が多いのはなぜ?
・なぜ、カカオ豆農家は豊かになれないのか?

外国の方と話す際に、ネタになるのはもちろん、相手の文化をリスペクトする上でも、押さえておきたいポイントがきっちり書かれています。

380ページと、決して薄い本ではありませんが、押さえられている国・地域の多さを考えると、むしろコンパクトといっていいと思います。

「今日はこの地域・国」といった感じで、スキマ時間に少しずつ読むこともできるので、重宝すると思います。

ご家庭で読んで、クイズを出し合うと、家族全体の地理偏差値が上がるかもしれませんね。

さっそく本文のなかから、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。

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「南アジア」は、インド、ネパール、ブータン、バングラデシュ、パキスタン、さらにインド洋にある島国スリランカとモルディブの8カ国から構成される地域である。世界の陸地全体に占める面積の割合は約3%にすぎないが、人口では約23%を占め、人口が急増しているとともに人口密度が高い

コワンチョウ(広州)は中国を代表する食の街である(中略)世界各地で活躍する中国人(華人)はこの地域の出身者が多く、アモイやスワトウは世界への出港地であった

現在では中華民国を承認している国は約10カ国にすぎない

マラッカ海峡は現在、世界の貨物量の約50%が通過する重要な航路

ロンボク海峡は、幅は狭いものの水深が深いため、現在では大型タンカーやコンテナ船が通行し、マラッカ海峡とともに重要な海上交通路にもなっている

ジャカルタの都市問題を改善するため、新しい都市をカリマンタン島東部の森林地帯に建設し、首都機能を移転することになった。新首都名は、群島国家を統合する象徴的な意味合いを込めて、ジャワ語で群島を意味する「ヌサンタラ」と決められた

多くの国名に「スタン」がつくが、かつてこれら地域に影響力を持ったペルシアの言葉で「土地」を意味している

クルドは、隣国のイラン、トルコにも居住する人口1500万を超える民族であり、「国家をもたない世界最大の民族」ともいわれる

アフリカの国境線は直線状になっているものが目立ち、大陸全体の国境線の44%が直線である。民族分布と無関係に国境線が引かれたことで、民族間のパワーバランスに不均衡が生じることになった

エチオピアは、日本の約3倍の面積に日本とほぼ同じ約1億2000万の人口を抱え、アフリカ第2位の人口大国である。1991年に市場経済へ移行して以来、経済成長率は対前年比10%に迫る年もあり、アフリカの非産油国としては最高水準の経済成長を遂げている

チリは地球上で最も南に位置する国である。世界三大岬の一つであるホーン(オルノス)岬があり、この岬を通過する経線が太平洋と大西洋の境界である。世界最南端の都市といわれるプンタアレーナスは太平洋と大西洋を結ぶ船舶の寄港地として繁栄した

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<はじめに 「地理」には、その土地の記憶がすべて詰まっている!>を読んで、著者の地理愛に感動しました。

著者が言うように、本書を読んで実際に現地を訪れる人が増えれば、きっと日本は再び世界にモノやサービスを売れる国になると思います。

異文化交流のポイントは、相手の文化を知ること。ビジネスのポイントは、相手の生活を知ること。

いずれにしろ本書が、読者の視野を広げ、可能性を拓いてくれることは間違いないでしょう。

ぜひ、読んでみてください。

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『世界の今がわかる地理の本』井田仁康・編著 三笠書房

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◆目次◆

はじめに 「地理」には、その土地の記憶がすべて詰まっている!
Part1 「アジア」の国々が面白いほどよくわかる!
Part2 「アフリカ」の国々が面白いほどよくわかる!
Part3 「ヨーロッパ」の国々が面白いほどよくわかる!
Part4 「アングロアメリカ」の国々が面白いほどよくわかる!
Part5 「ラテンアメリカ」の国々が面白いほどよくわかる!
Part6 「オセアニア」の国々が面白いほどよくわかる!

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