【波乱万丈の起業物語】
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本日ご紹介する一冊は、全米ベストセラーとなった、起業ノンフィクション。

イーロン・マスク、ピーター・ティールをはじめ、数多くの億万長者を生み、シリコンバレーの伝説となった、ペイパルの起業物語です。

「いまさらペイパルの話？」と思う方も多いと思いますが、そんな先入観を跳ねのけるエキサイティングな内容で、まるで映画を見ているように、天才たちの起業物語を擬似体験できます。

著者は、幼い頃にインドからアメリカに移住し、2014年に作家デビューしたジミーソニ氏。

２作目の『クロード・シャノン　情報時代を発明した男』で、英国数学史学会ノイマン賞、電気電子学会ミドルトン賞を受賞し、３作目の本書で全米ベストセラーを実現した、新進気鋭のノンフィクション作家です。

※参考：『クロード・シャノン　情報時代を発明した男』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4480837205

約650ページの厚さをまったく感じさせないスピード感あふれる筆致で、スティーブ・ジョブズの評伝を書いたウォルター・アイザックソン、『ライアーズ・ポーカー』のマイケル・ルイス、『フェルマーの最終定理』などで知られるサイエンスライターのサイモン・シンなどと将来、肩を並べる作家になると確信しました。

これは読んでおいて損のない一冊だと思います。

エンターテインメントとして一級なのはもちろんですが、ビジネス書として読んでも、勉強になる。

起業家はどんな人材を雇えばいいのか、卓越したチームの条件とは何か、どうすれば優れた商品やサービスを作り出せるのか、成長過程で気をつけることは何か、どんな場所に身を置けば職業人として有意義な人生を送れるのか……。

ペイパルに関わった『創始者たち』の栄光と挫折の物語を読むことで、良い人生を送るヒントが見えてくると思います。

さっそく本文のなかから、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。

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「何か大きなものの一部になったように感じた。そんな気持ちになったのは初めてだった」（オクサナ・ウートン）

ペイパルと他社との違いは、謎解きの精神が企業文化にまで浸透していた点

「世界を根本的に変えてしまうものだと思った。人類を超生命体に変える、世界の神経系のようなものだ」（インターネットに対するマスクの見方）

のちにティールは投資家や企業のアドバイザーの立場から、ベンチャーにおけるチームの「前史」、すなわち会社を立ち上げる前から存在する仕事や友情の絆がいかに重要かを強調している

グーグルのような会社に勝つには、歯車の話をするといい。グーグルでは、君は歯車でしかない。でもうちに来れば、僕らと一緒に自分一人ではできない大きなことができる、と

コンフィニティとX.comがシリコンバレーの「ゴミ箱」行きにならなかった理由はいくつかあるが、この試練の一年を乗り切れるだけの資金を持っていたことが大きい

「いつかイーロンが言っていた。『何かを成功させる前にしくじった方法を四つ挙げられない人は、おそらくそれに取り組んだ本人じゃない』」（ジャコモ・ディグリゴリ）

X.comの幹部の見るところ、成長中の組織にありがちな重大な過ちの一つは、成果を出すことより社員満足を優先するようになることだった

一騒動あったが、X.comから追放されたおかげでマスクには創造的なゆとりができた。X.comの仕事から解放され、宇宙開発と電気エネルギーという、幼少期からの情熱に立ち返った

イーベイにとって、独占禁止法訴訟よりはるかに大きな脅威は、ペイパルがイーベイユーザーとの間に築いた強い信頼関係だった

「Ｘがめざしていたのは、要するにすべてのカネが集まる場所になることだ」とマスク。「Ｘそのものが国際金融システムになるはずだった」

「どんな仕事のどんな職務についても言えることだが、トップクラスの人材とは『誰かの下で働くのはもうこれで最後にしよう』と思っている人だ。『この次は自分で起業する』と考えている人だ」とレヴチンは語る

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優れた起業ノンフィクションを読んだ時、いつも感じる幸せな瞬間が、本書の読書中、何度も訪れました。

最後はお家騒動があったり、訴訟合戦があったり、ストレスフルな部分もありますが、それも含めて起業ノンフィクションの醍醐味。

読めばきっと、何か新しいことに挑戦したくなるはずです。

ぜひ、読んでみてください。

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『創始者たち』ジミーソニ・著　櫻井祐子・訳　ダイヤモンド社

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◆目次◆

INTRODUCTION　シリコンバレーの謎
第１部　大胆不敵
第２部　孤立無援
第３部　強行突破
EPILOGUE　ペイパルマフィアの余波