2022年9月20日

『日本マクドナルド「挑戦と変革」の経営』日本マクドナルド株式会社・著 東洋経済新報社 vol.6083

【初の公式ビジネス書】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492962042

本日ご紹介する一冊は、久しぶりに読んで面白かった、ケーススタディ中心の経営書。

「日本マクドナルド株式会社 初の公式ビジネス書」ということで手にとってみたのですが、これは良い本ですね。

銀座三越で産声を上げた1号店から、外食産業の隆盛、モータリゼーションの波に乗って急成長した70年代、80年代、飽和状態を乗り越えてさらに成長した90年代と2000年代、そして関係者にとっては思い出したくもないスキャンダル続きの暗黒時代…。

公式本と言いながら、触れたくない部分にもきちんと触れていて、好感が持てました。

ビジネス書として見ても、創業者、藤田田さんの隠されたエピソード、名言、マクドナルド社内で話していたことなどが書かれており、読み応えがあります。

経営者にとっては、藤田田さんの教訓と、同社がいかにして各時代でビジネスモデルを刷新し、成長を続けてきたか、この辺りが読みどころです。

「インタビュー」で、一橋大学名誉教授の米倉誠一郎氏がシュンペーターの5つのイノベーションパターンの引用をしていますが、まさに5つのどこからでもイノベーションが起こせることを、同社の歴史が示しています。

◆5つのイノベーションパターン
1.新しい製品の導入
2.新しい生産方法の導入
3.新しい市場の創造
4.新しい原料の導入
5.新しい組織の導入

外側からは決して見えない同社の戦略と取り組みが見えてきて、じつに優れたケーススタディです。

本文のなかから、さっそく気になったところを赤ペンチェックして行きましょう。

—————————-

日本マクドナルドの1号店は銀座三越の一角に誕生しました。「新しい文化は銀座から発信される。だから、新しい食文化であるハンバーガーの1号店も銀座でなければならない」

彼の持論は『舶来文化は高いところから低いところに流れる』。アメリカの本社は郊外を主張していましたが、彼は日本では話題性を出すことが重要であり、そこから日本全国に展開するべきだと主張しました

ハンバーガー大学の開校にあたって、藤田は入学式で次のような式辞を述べました。「私は諸君に、当社が儲かるようにやれ、とはいわない。後世の審判に耐えうるようなインターナショナルな人間になってほしい。マクドナルドで仕事をしたおかげで、いろんなアングルから物事を見ることができるようになった、そういえる人間になってくれればそれでいい。自分がそこまで成長したなと思ったら、独立するなり転職するなりを考えて辞めると申し出ていただいてもいい。私は、この大学をインターナショナル・ビジネスマン養成学校だと思っている」

レジの小型化にこだわったのは、既存のレジのサイズが大きく、お客様とクルーの双方の顔が見えづらかったからです。お会計の際にもフェイス・トゥー・フェイスで、クルーが笑顔でお客様をおもてなしできるようにしたいと考えました

◆「サンキューセット」
ハンバーガー+マックフライポテトSサイズ+ドリンクというセットメニューにしたのは、過去の実績からお客様の7割がこの3点をいっしょに購入していることがわかったためです

「マックデリバリーはあまりセールスが上がらないのですが、デリバリーをしたときのお客様の感動がすごいんですよね」

「Clean As You Go あなたが行くところはすべてきれいに。マクドナルドの従業員がいるところはすべてきれいでなければならない」

—————————-

経営はイノベーションの連続なんだな、ということを改めて感じさせられた、良い経営書でした。

日本マクドナルド成長の歴史を追体験することで、みなさんの起業家精神が刺激されると思います。

ぜひ、読んでみてください。

———————————————–

『日本マクドナルド「挑戦と変革」の経営』日本マクドナルド株式会社・著 東洋経済新報社

<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492962042

<Kindleで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0B7MKQ5PN

———————————————–
◆目次◆

第1部 変化を重ねた50年の歴史編
第1章 マクドナルド・ビジネス50年の歩み
1 銀座1号店誕生物語(1970年代前半)
2 外食ビジネスの急成長とモータリゼーション到来(1970年代後半~1980年代)
3 サテライト店の積極的な出店戦略(1990年代)
4 赤字決算の連続とビジネスモデルの転換(2000年代)
5 2014、2015年の真実、そして復活へ(2010年代)
6 未来型店舗体験の向上と次世代のマーケティング(2017年~)
インタビュー この50年、成長を重ねてきたイノベーター 一橋大学 名誉教授 米倉誠一郎氏
第2部 変わらない経営理念編
第2章 日本マクドナルドの50年を支えたグローバル理念
1 お客様を第一に考える
2 QSC&V
3 ピープルビジネスーー「ハンバーガー大学」の人材育成
インタビュー エンゲージメントが高い組織をつくる「マクドナルドの教育」立教大学経営学部 教授 中原淳氏
第3章 マクドナルドを支える「3本脚の椅子」
第4章 マクドナルドが向き合う社会課題と未来
おわりに

この書評に関連度が高い書評

この書籍に関するTwitterでのコメント

同じカテゴリーで売れている書籍(Amazon.co.jp)

NEWS

RSS

お知らせはまだありません。

過去のアーカイブ

カレンダー