2022年9月2日

『「価格上昇」時代のマーケティング』小阪裕司・著 vol.6072

【小阪裕司氏、新刊】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569852734

連日、ニュースで物価上昇が叫ばれるなか、ふんばって今の価格で提供するか、思い切って値上げするか、悩んでいる経営者の方は多いのではないでしょうか。

土井は、かねてより日本の物価が安すぎると感じており、それによって良い商品・サービスが提供できなくなるのなら、到底国際競争には勝てないし、観光に来た外国人もガッカリさせてしまうと思っています。

大事なことは、「価格」ではなく、「価値」を見つめること。

お客様は、「価値」と比べて「価格」が明らかに安いなら、必ず買うからです。

本日ご紹介する一冊は、「価格上昇時代」に「価値」を謳うことの大切さを説いた、カリスマコンサルタント・小阪裕司さんによる新刊。

47都道府県と海外から1500社が参加するという、ワクワク系マーケティング実践会会員の成功事例も紹介されており、じつに勉強になります。

人気漫画『ゴールデンカムイ』に出てくる「チタタプ」を8580円で提供して成功しているティナズダイニング、重さ1.8キロの巨大どら焼きを5280円で提供して成功している山形県山形市の和菓子店「出羽の恵み かすり家本店」、たった2粒のあられを10万円で売る京西陣菓匠宗禅の「黄金亀」…。

事例を読むことで、価格上昇時代の商売のあり方がわかる、必読のマーケティング書です。

値上げを成功させるための意味づけ、コピー、値づけの理論もしっかり紹介されており、これが新書価格で読めるのは美味しいと思いました。

さっそく本文のなかから、気になったところを赤ペンチェックして行きましょう。

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デフレになろうがスタグフレーションが進もうが、人は「意味あるものにはお金を使う」

お客さんの懐を心配するのは失礼だと考えたほうがいい。自分にとって価値があると思えば、そのためにお金を使ってくれるのが現在の消費者だ。ただ、価値を伝えることに全力になればいいのだ

誰もが、「文具メーカーは文具メーカーと」「蕎麦屋さんは蕎麦屋さんと」など、同業種を基準に価格を考える。しかし、内的参照価格を他業種にまで広げることができれば、値付けの可能性はいくらでも広がる

ご存知の方も多いと思うが、世に「極端回避性」と言われるものがある。たとえば、レストランで1万円のAコース、1万2000円のBコース、1万5000円のCコースを設定すると、多くの人がBコースを選ぶというものだ。つまり、真ん中のものが売れる。「松竹梅の法則」とも呼ばれる。しかし興味深いことに、商品に「楽しさ」「体験」を付け加えると、一番高いものが売れることが多い

山形県山形市の和菓子店「出羽の恵みかすり家本店」での事例だ。その商品は「どら焼き」。価格はなんと「5280円」。(中略)

あらゆる価値をまとめて「パッケージ」として提供する

こと価格においては「顧客に直接聞く」という手法はあまり効果を発揮しないどころか、間違った判断をする恐れがある。だからこそ、あくまで「顧客を知り」「想像する」しかないのだ

マスターとして新しい世界を示すことができれば、そこに予算は存在しなくなる

「売らんかな」ではどうしても強くお勧めしにくいという人でも、「これを伝えなければお客さんに損失を与えてしまうかもしれない」と考えれば、自然と言葉に説得力が生まれ、「どのように伝えればいいのか」を考えるようにもなるだろう

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タイトルにいまいちインパクトがありませんが、事例が豊かで、読む価値のある一冊です。

価格を上げるのに抵抗がある経営者、どうしたら値上げできるか悩んでいる経営者に、ぜひおすすめしたい一冊です。

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『「価格上昇」時代のマーケティング』小阪裕司・著 PHP研究所

<Amazon.co.jpで購入する>
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◆目次◆

序 2022年、価格が崩壊した
第1章 「価格上昇時代」がやってきた
第2章 「安さこそが価値」からの脱却
第3章 「価格」は「価値」に従う
第4章 「値付け」の作法
第5章 「値上げ」の作法
第6章 今、目指すべき「マスタービジネス」への道
第7章 「値決め感性」の磨き方
終章 今こそ自分たちの「存在意義」を問い直すとき

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