2020年6月17日

『Think right』ロルフ・ドベリ・著 中村智子・訳 vol.5537

【正しい意思決定のための雑学】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4763138030

本日ご紹介する一冊は、ベストセラー『Think clearly』『Think Smart』の著者による世界的ベストセラー、待望の復刊。

オビには「わたしたちが正しい決断を下すために、知っておくべきこと」とありますが、要するに意思決定の本です。

スイス連邦鉄道の元CEO、アンドレアス・マイヤー氏が「浅薄なふるまいを防ぐ武器になる。この本があってよかった!」と推薦の辞を寄せています。

個人的にはかなり勉強したジャンルであり、BBMでも本書の引用元にあたる本をかなり紹介しているので、既視感がありありですが、これから意思決定を学ぶ人には、文章もこなれていておすすめできます。

著者のオリジナリティはないのですが、各理論において適切なエピソードを挿入しており、学者が語るよりずっと頭に入りやすいと思います。

学者は、本書を読んでベストセラーになる文章の書き方を学ぶといいかもしれませんね。

本書にはわれわれが陥りがちな思考の「ワナ」が計52紹介されています。

知的な思考法を学ぶためにも、ぜひ読んでおくといいでしょう。

さっそく、本文の中から気になったポイントを赤ペンチェックしてみましょう。

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「確証のワナ」とは、新しい情報を、自分の意見や信念に無理やり合わせて解釈する傾向のことを言う。別の言い方をすれば、自分の考えと一致しない情報(以下「反対の証拠」と呼ぶ)を、フィルターにかけて見ないようにすることだ。これはとても危険である。「目を背けても、真実はなくならない」とは、イギリスの作家、オルダス・ハクスリーの名言だ

ダーウィンは、少年時代から「確証のワナ」を克服しようと努力していた。観察記録が自分の推測と矛盾する場合には特に気をつけた。常にメモ帳を持ち歩き、自分の意見に反する観察対象を見つけたら、ただちにそれをメモした

インターネットの世界では、探している情報が真っ先に提供される。「反対意見」は自分のレーダースクリーンにまったく映らない。わたしたちはこうして情報をフィルターにかけ、ますます偏った情報ばかり集めるようになり、自分と同じ考えをもつ人々の集団の中で行動するようになってきている

結論。「希少なもの」に反応しているときには、論理的には考えられない。だから、あるものの価値を評価するときには、価格だけでなく、それがどれくらい役に立つかを基準に判断しよう

売り手の人柄で商品の価値を判断してはいけない

日常においては「成功」が「失敗」よりもはるかに目立つために、成功への見通しを甘く見て過大評価してしまう。このことを、「生き残りのワナ」と呼ぶ

自分で「決定」したことから、いつでも外れていい

一番売れているからといって一番優れているとは限らない

ものごとが起きてしまってから、あとになって、それは予測可能だったと考えてしまうからだ。これを「回想のワナ」という

目の前で起こっている出来事が、前の出来事の影響を受けているかどうか、前後につながりがあるかないか、じっくりと観察しよう

状況がはっきりしないときには「何もしない」のが賢明

「貯めること」より「手放すこと」のほうが難しい

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最近、Twitterで有名人のスキャンダルに関するコメントをよく目にするのですが、彼らは完全に本書でいう「思考のワナ」にハマっていますね。

自分たちのバイアスに気づかない時点で、知性がない。

知的態度とは、自分のことすらも疑う姿勢だと思っていて、だからこそ人は真実に迫れるのだと思っています。

結果を出すための思考法、ぜひ本書で学んでみてください。

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『Think right』ロルフ・ドベリ・著
中村智子・訳 サンマーク出版

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◆目次◆

1 なぜ、言い方を変えただけで、結果が大きく変わるのか?
 【フレーミングのワナ】
2 なぜ、「特殊なケース」には気をつけるべきなのか?
 【確証のワナ その1】
3 なぜ、「あいまいな予想」に惑わされてしまうのか?
 【確証のワナ その2】
4 なぜ、エラい人には遠慮しないほうがいいのか?
 【権威のワナ】
5 なぜ、少ししかないクッキーはおいしく感じるのか?
 【希少性の錯覚のワナ】
ほか

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