2019年4月25日

『苦しかったときの話をしようか』森岡毅・著 vol.5264

【超一流マーケターの人生設計論】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478107823

「どんなキャリアにしたいの?」
「はやく資本家になりたいっすね」

昨日、大手町で連載の打ち合わせをしたら、とても面白い27歳ビジネスウーマンに出合いました。

彼女に、将来の希望を尋ねた際、出てきたのがこのセリフ。いや、現在の若いビジネスパーソンは、世の中の構造をよくわかっています。

土井がこの理不尽な世界で富を築くための現実的な考え方を披露したところ、とても共感したらしく、この会話につながったのです。

既得権を持った大人は、決して若者に本当の話をしない。それに気づいている若者は、「真実」を語ってくれる著者(おとな)を求めています。

「好きなことをやりましょう」
「お金よりも大切なことがある」

確かにそうなのですが、資本主義の本質は、資本家が労働者を搾取するというもの。それに気づいている若者たちは、ストックオプションをもらう、株を買う、不動産を買うなど、何らかの方法で資本家の側に回ろうとしているのです。

本日ご紹介する一冊は、この理不尽な資本主義のシステムのなかで、どうすればスタートラインに立った人がキャリアを積み、最終的に資本家になれるかを説いた、森岡毅さんの注目作。

森岡さんは、かつてP&Gで北米パンテーンのブランドマネージャーを務め、ウエラジャパン副代表等を経て、USJに移ってV字回復を成し遂げた伝説のマーケターです。

USJで株を付与され、現在は、オーナーとしてマーケティングの精鋭集団「刀」を率いている著者が書いているだけに、サラリーマンから資本家への成り上がり方がじつに具体的に書かれている、人生設計の良書だと思います。

さっそく、いくつかポイントをピックアップしてみましょう。

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成功は必ず人の強みによって生み出されるのであって、決して弱みからは生まれない。その成功を生み出す強みこそが、君の「宝物」だ

同じ特徴が、「宝物」になるか、弱点になるかを決めているのは文脈である

君がコントロールできる変数は、(1)己の特徴の理解と、(2)それを磨く努力と、(3)環境の選択、最初からこの3つしかない

成功報酬として企業の株を個人として持つ

大事なことは、自分に合った苦労を選びやすくするために、できるだけパースペクティブ(本人が認識できる世界)を広く持つこと

「需要の持続性」や「競争優位を維持する構造」は、実は株式投資の判断の際にも非常に有効な視点となる

社会との関わりで気持ちよかった文脈をどんどん列挙する

今まで自分が好きだった「~すること」を実際に書き出してみよう。バッグが好きとか、ナイフが好きとか、そういう「名詞」は要らない。必要なのは「動詞」だ

避けた方が良いのは君にどんな職能が身につくのか想像がつかない会社だ

ドメインの設定は、目的と自身の経営資源に照らして、広すぎず、狭すぎずが基本となる

マーケターは、プロダクト(HOW)をデザインするずっと前に、どこの誰に向かって(WHO)、どのような本質的な価値(WHAT)を提供するのか、それを明確に定義しなければならない

自分をブランディングしていく中で、気をつけねばならないことがある。それは「オフ・エクイティー」と呼ばれる、設計図のブランド・エクイティーに矛盾する行動を取ることだ

職能を増やすコツは、“シナジー”を狙うこと

◆苦しかった経験から学んだエッセンス
1.Congruency(信念と行動の一致)の大切さ
2.結果を出さないと誰も守れない

プロの世界で最初から友情や親切を期待するのは単なる「お人よし」であり、淘汰される「負けのマインド」である(中略)プロの世界の友情とは、お互いの実力を認めた後に初めて通うリスペクトの感情

ここで逃げたら、ずっと「逃げた記憶」がつきまとう人生になる

日本人はもっと強くならなければならない。(中略)かつて世界経済の16%を占めた日本は、空白と停滞の“平成30年間”を経て、成長する世界から取り残され、今では僅か6%の存在になり果てた

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著者が娘に語る形式で書かれた本で、第5章には、タイトルでもある「苦しかったときの話をしようか」が収録されています。

華々しい経歴とはうらはらに、著者が北米で遭った強力な嫌がらせ、信じていないものを無理矢理売らされた苦痛、劣等感に苛まれ、とても苦しい思いをした話などが生々しくつづられており、一気に心を掴まれました。

なぜ働かなければならないのか、なぜ頑張らなければならないのか、苦しい現実に直面した時、どう乗り越えればいいのか。働く人の悩みに、痛快に答えてくれる、そんな一冊です。

USJを成功させ、自分のキャリアも成功させたプロマーケターならではの個人ブランディングの視点も書かれており、じつに読み応えある内容です。

読むのに多少高い知的水準が要求されますが、これがわかれば、キャリア構築はきっと上手く行くでしょう。

ぜひ、読んでみてください。

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『苦しかったときの話をしようか』森岡毅・著 ダイヤモンド社

<Amazon.co.jpで購入する>
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◆目次◆

はじめに 残酷な世界の“希望”とは何か?
第1章 やりたいことがわからなくて悩む君へ
第2章 学校では教えてくれない世界の秘密
第3章 自分の強みをどう知るか
第4章 自分をマーケティングせよ!
第5章 苦しかったときの話をしようか
第6章 自分の「弱さ」とどう向き合うのか?
おわりに あなたはもっと高く飛べる!

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