2019年1月11日

『街間格差』牧野知弘・著 vol.5193

【2020年以降、輝く街、くすむ街】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/412150643X

ニューヨークに住んだ時、相談していた不動産屋さんが、しきりに「neighborhood」という言葉を使うのが印象的でした。

つまり、ニューヨークでは、近隣の環境やどんな人が住んでいるか、文化度は高いのかなどを重視して不動産を買う、借りるということです。

一方、日本でもそのような視点があることはあるのでしょうが、どちらかというと駅から近いか、値上がりするか、家の間取りはどうかというスペックに目が行っている部分が大きい。

しかしながら、これから不動産の価値を決めるのは、間違いなく「街」の視点です。

そこで本日ご紹介したいのが、不動産事業プロデューサー、牧野知弘さんが書いた、『街間格差』。

サブタイトルに「オリンピック後に輝く街、くすむ街」と書かれており、まさに2020年以降、伸びる街とそうでない街がプロの目線から分析されています。

本書によると、これから東京の不動産を襲うのは、アフターオリンピックのショックだけではない。相続ラッシュ、農地の放出が供給圧力を高め、「街」を目利きしないと思わぬ憂き目にあってしまうのです。

なぜかつて人気だった「自由が丘」「下北沢」「たまプラーザ」がダメなのか。

オシャレだった「代官山」「田園調布」がランクを落としたのはなぜなのか。

本書の説明を読めば、今東京に起こっている変化がスッキリと理解できます。

本書の内容を知ることは、不動産投資の視点からも、これからの住まい方、働き方を考える上でも、非常に有益だと考えます。

さっそく、ポイントをチェックして行きましょう。

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夫婦共働きが当たり前となる1995年以降になると、都心部への交通利便性が家選びの最重要ポイントに変わり、大手デベロッパーが分譲する都心のタワーマンションなどが人気を博することになります。それは、夫婦共働きと郊外生活をエンジョイすることの両立が困難になったためと思われます

住まいはこれまでの、ただ「寝るだけの場所」、あるいは「投資対象」から、きちんと「住む」「暮らす」ということの効用、つまりソフトウェアを考える時代を迎えようとしています

人々が自由に働く社会が実現されれば、「通勤」という概念は世の中からなくなるかもしれません。勤労者の立場のまま、自分が「暮らす」場所で一日の大半を過ごす。その「街」で働き遊び、もっと根を下ろして生活するようになる

現在の東京23区で考えて「ブランド住宅地」と呼ぶに相応しい街とは、新宿区、千代田区、港区、文京区、世田谷区、品川区、大田区、渋谷区、北区に位置していると言えます。そしてそのほとんどが区内でも「高台」に立地していることが特徴です

公立でも私立でも、今は都心部にある学校ほど、良い生徒が集まる傾向にあると思われます。それはやはり、人が都心部に集まっているからです

都心居住の傾向がますます強まる中、「恵比寿」や「品川」「池袋」「新宿」「目黒」といった都心ターミナル駅のみならず、「横浜」や「武蔵小杉」「大宮」「浦和」といった各エリアを代表する街の周辺を人々が選び、集まっていることが明確に示されています

この営農30年の期限が最初に到来するのが2022年とされ、実際、登録されている生産緑地のおよそ8割がそこで期限切れを迎える

四谷コーポラスが建替えを成功に導けた理由、その一つはやはり立地でしょう。このマンションはブランド住宅街に立地しています。だから建替え後のマンションには十分な不動産価値があり、おそらく建替え後の分譲部分も高値で売却されるはずです(中略)二つ目が区分所有者の多くが富裕層であることです。建替えにあたっては、区分所有者が経済的に困窮していないことが絶対条件となります

都心にアクセスするのに群を抜いて便利なのは、JR山手線のターミナル駅です。東京や新宿、渋谷、池袋は住宅環境としてはそれほど整備されていませんのでとりあえず除けば、南西部がおすすめです。具体的には品川を起点に、大崎、五反田、目黒、恵比寿といった駅でしょうか。いずれも他のJRや私鉄、地下鉄と接続するター
ミナル駅です

注目しているのは日暮里です。この駅は山手線のほかJR常磐線、京成電鉄、日暮里・舎人ライナーなど複数の路線が乗り入れていて交通利便性は非常に高い(中略)西口側では「谷根千」としてご紹介した下町情緒溢れる町並みを堪能できます

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個人的には好きですが、著者の昔話がちょっと多過ぎる印象があります。

ただ、そこを除けば、明確にどの街がどういう理由で伸びるかわかりますし、プロの街を見る視点がよくわかります。

東京都に家を買おうと思っている方、既に所有している方は、ぜひ読んで参考になさってください。

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『街間格差』牧野知弘・著 中央公論新社

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◆目次◆

はじめに
第1章 2020年以前 何が東京を形作ったのか
第2章 2020年以後 「働く」「暮らす」東京の再発見
第3章 街間格差 あなたの人生は住む「街」で決まる
第4章 輝く街、くすむ街 この区ならあの「街」に住もう
第5章 東京の未来 「住まい探し」から「街探し」の時代へ
おわりに

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