2017年10月5日

『江戸の長者番付』菅野俊輔・著 vol.4824

【江戸時代の大金持ちとは?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4413045092

本日ご紹介する一冊は、江戸文化研究家であり、数多くの江戸関連の著書を持つ菅野俊輔さんによる、注目の新書。

『江戸の長者番付』というタイトルを見た瞬間に「買い」ですが、歴史ものの場合、難しいのは、中身がきちんと「歴史マニア」以外に向けて書かれているかどうか。

その点、本書は文章も読みやすく、当時の江戸を現代人の感覚に引きつけて理解できるように書いてあるので、合格です。

で、肝心の中身ですが、これも下世話に面白い。

「江戸の長者番付ベスト10」(トップは徳川吉宗)に始まり、当時の社会で誰が金持ちになったのか、どんな商売が流行ったのか、いわゆる「千両役者」や「花魁」はどんな人で、なぜ人気が出たのか、詳しく書かれています。

生活の「常識」が違う社会に触れると、新しい生き方のヒントが見えてくるものですが、本書は、新しい生き方のヒントとともに、新しい稼ぎ方のヒントも見えてくる内容です。

さっそく、いくつかポイントを見て行きましょう。

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江戸は、18世紀(江戸中期)の前半に百万都市になりました。世界史において最初のことといってよいでしょう

つまり、残り二割の地に五〇万の町人が住んでいたのです。それゆえ、住宅に工夫を施した結果、裏店とよばれる集合住宅の長屋に七割の三五万人が住んでいました

江戸っ子は“もったいない”精神により、必要なものしか持たないエコ生活をしていました

18世紀の後半は、江戸っ子にとって住みやすい大都会になります。歌舞伎(芝居)や出版、料理ブームなどいかにも江戸らしいユニークな文化がおこり、彩色の浮世絵「吾妻錦絵」も誕生しています。19世紀(江戸後期)になると全国的に旅ブームが到来し、武都の江戸は古都の京、商都の大坂とともに「三都」とよばれ、観光都市に

秀吉が没したとき、家康が筆頭の地位となり、利家が次位となります。つまり、前田家は第1位をねらえる位置にあったのです。でも、利家は翌年に六三歳で没してしまいます。一方の家康は、養生に努めた結果、六二歳のときに将軍となり、六四歳のときに子の秀忠に将軍を譲り、徳川幕府一五代の繁栄の土台を築きました

駿河町の越後屋八郎右衛門は、17世紀(江戸前期)後半に「現銀掛値なし」や「店前売」など新商法で財をなした三井高利(八郎右衛門、初代)にはじまる老舗の豪商です(中略)三大都市に呉服店を持つ越後屋八郎右衛門は、日本第一の豪商といって間違いありません(中略)三井家全体では、ほかにも両替店を経営しており、所有地からの家賃・地代収入もあります(3章で詳述)ので、総収入は幕府の老中など閣僚を超えることはまちがいありません

初代市川團十郎は“荒事”とよばれる誇張した演技が受けて江戸のヒーローに

◆江戸の長者番付ベスト10 ※一部紹介
第1位 将軍 江戸幕府八代将軍・徳川吉宗 年収1294億円
第2位 大名 加賀百万石・前田斉泰と溶姫君 年収1134億9201万円
第3位 商人 三井越後屋・三井八郎右衛門 17億5500万円
第4位 僧侶 東叡山寛永寺貫主・輪王寺宮様 7億3710万円
第6位 歌舞伎役者 三代中村歌右衛門 1億7820万円
第8位 花魁 吉原の人気花魁 1億2960万円

米や味噌・醤油以外のおかずは買いに行く必要がありません。一日中、いろいろな小商人が長屋にやってくるからです。食材だけではありません。新刊本の貸本屋やファッションの小物を商う小間物屋のほか、鍋釜や茶碗の直しをしてくれる修理の小商人など多彩な“歩くコンビニ”がやってきます

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著者が江戸を愛しているからかもしれませんが、じつにわかりやすく、ヴィヴィッドに江戸時代の生活の様子が伝わってきました。

「日本一の投資家」と謳われた故・竹田和平氏は、日本史の各時代を概観し、その時代時代の成功要因を考える習慣を持っていましたが、本書はまさにそれと同じ作業ができる本です。

これからの時代の成功法則、豊かに生きるヒントを得るために、ぜひ読んでみてください。

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『江戸の長者番付』菅野俊輔・著 青春出版社

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◆目次◆

1章 江戸の長者番付ベスト10
   年収“億”をはるかに超えるお金持ちたちがズラリ
2章 江戸時代、あの職業・この商売の意外な給料事情
   貧乏武士は年収100万円以下、町人・農民は意外にも…
3章 比べてビックリ! 江戸のおもしろ給料比較
   大岡越前と鬼平、金持ち大名と貧乏大名、千両役者と花魁…
4章 江戸っ子はなぜ、“宵越しの金”を持たなくても生活できたのか
   長屋暮らしの庶民はいくら稼いで、どう使っていた?
5章 江戸の超大金持ちたちの華麗なる(?)生活
   将軍とその妻から、百万石の大名、豪商、義賊まで
6章 じつは一番貧しかった? 武士の悲しいフトコロ具合
   傘張り、金魚飼育、朝顔づくり…欠かせぬ内職で生活費はハウマッチ?

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