2013年8月3日

『人間にとって成熟とは何か』曽野綾子・著 Vol.3301

【成熟した人間になるためのヒント】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4344983122

若い頃に許されたことが、年を取ると許されなくなる。

30代も後半になると、そんな空気を感じるわけですが、ついこの間まで『大人げない大人になれ!』なんて本を読んでいた人間が、成熟したふるまいなど、急にできるはずがありません。

※参考:『大人げない大人になれ!』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478012245

そこでご紹介したいのが、曽野綾子さんの新刊『人間にとって成熟とは何か』です。

ベストセラー『老いの才覚』で、高齢者の生き方に苦言を呈した著者が、人はどうやって成熟していくべきか、成熟した大人とは何か、持論を述べています。

※参考:『老いの才覚』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4584122954

<正しいことだけをして生きることはできない>
<一人前の大人は、必ず心に思ったことと、表現の間に意識的な落差を生じているもの>
<世間からどう思われてもいい。人間は、確実に他人を正しく評価などできないのだから、と思えることが、多分成熟の証>

このように、成熟した大人になるための考え方が示されているほか、人間関係を良くするための心構え、ノウハウも書かれており、じつに参考になる一冊です。

『老いの才覚』ほどのインパクトはありませんでしたが、こちらも新書なので、手軽に読めます。ぜひチェックしてみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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正しいことだけをして生きることはできない

アラブの人たちはこの正義という点に関してもっと大人で正直だから、彼らは格言の中で次のように言っている。
「正義はいいものだ。しかし誰も家庭ではそれを望まない」

「もっと尊敬されたい」という思いが自分も他人も不幸にする

お世話になっていいのである。他人のお世話にならずに生きていられる人などいない。しかしどれだけお世話になったかを見極められない人には、何の仕事もできない

一人前の大人は、必ず心に思ったことと、表現の間に意識的な落差を生じているものなのである

個人にとって大切でも、他人にとっては全く興味のない話というものも世間にはあるのだ。その筆頭が病気の話である。その他に、孫、ゴルフ、犬などのペットの話題もある

謙虚な人に貴重な情報を教えたくなるのが人間

人間にとって大切な一つの知恵は、諦めることでもあるのだ。諦めがつけば、人の心にはしばしば思いもしなかった平安が訪れる。しかし現代は、諦めることを道徳的にも許さないおかしな時代になった

成熟した人間になるには、お化粧やファッションのセンスがいいだけではとうてい無理である。沈黙と会話の、双方の達者な使い手になるほかはないのである

「うまみのある大人」は敵を作らない

世間からどう思われてもいい。人間は、確実に他人を正しく評価などできないのだから、と思えることが、多分成熟の証なのである

白は、すぐ汚濁に染まりやすい。人間も堕落するのは簡単である

人生は最後の一瞬までわからない

いいばかりの人もいなければ、絵に描いたような悪人もいない

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『人間にとって成熟とは何か』曽野綾子・著 幻冬舎
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◆目次◆

第一話 正しいことだけをして生きることはできない
第二話 「努力でも解決できないことがある」と知る
第三話 「もっと尊敬されたい」という思いが自分も他人も不幸にする
第四話 身内を大切にし続けることができるか
第五話 他愛のない会話に幸せはひそんでいる
第六話 「権利を使うのは当然」とは考えない
第七話 品がある人に共通すること
第八話 「問題だらけなのが人生」とわきまえる
第九話 「自分さえよければいい」という思いが未熟な大人を作る
第十話 辛くて頑張れない時は誰にでもある
第十一話 沈黙と会話を使い分ける
第十二話 「うまみのある大人」は敵を作らない
第十三話 存在感をはっきりさせるために服を着る
第十四話 自分を見失わずにいるためには
第十五話 他人を理解することはできない
第十六話 甘やかされて得することは何もない
第十七話 人はどのように自分の人生を決めるのか
第十八話 不純な人間の本質を理解する

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