2013年1月22日

『最高の人材を見いだす技術』ラスムス・アンカーセン・著 Vol.3108

【天才を育てるトップアスリート量産地の知恵】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4484121220

「千里の馬は常に有れども伯楽は常には有らず」。

あまりに有名な言葉ですが、これは、いかに才能のある人でも、それを認めてくれる人がいなければ、力を発揮できないという意味です。

では、伯楽は、どうやって才能を見極めているのか?

この謎に迫ったのが、本日紹介する『トップアスリート量産地に学ぶ 最高の人材を見いだす技術』です。

著者は、18歳にしてデンマーク屈指のサッカーのユース・チームのキャプテンに選ばれながらも、運悪く膝に大けがを負い、コーチに転身した人物。アスリートやビジネスマンの能力開発に関心を持ち、実際に世界のトップアスリート量産地を訪ね、何人もの伯楽にインタビューを敢行しています。

本書は、その伯楽たちへのインタビューと、最新の研究成果をもとに書かれた、能力開発の理論書。

原題は、「The Gold Mine Effect」で、どうやったら世界水準の「ゴールドマイン(人材の宝庫)」を築けるのか、その秘密に迫っています。

本書によると、<長距離走の世界でケニアが他を圧倒していることは周知の事実だが、国際大会でメダルを獲る選手の七〇パーセント以上がカレンジン族の出身であることはあまり知られていない>。

さらに言うと、<ジャマイカのキングストンに本拠を置くある陸上クラブは、ディーゼル燃料で除草したトラックで日々トレーニングをしているのだが、二〇〇八年の北京オリンピックでは、所属選手が短距離種目でメダルを九つも獲得するという快挙を成し遂げた(うち五つは金メダル)>。

そう、才能は特定の地域や場所に集中しているのであり、その背後には、優秀な伯楽の存在があるのです。

では、彼らはどんな風に才能を見極め、どうやって育てているのか。タレント育成、企業の人材育成、子どもの英才教育、すべてに当てはまる、じつに興味深い内容です。

<「トレーニング歴がそう充実していない選手のほうが、より大きな可能性を秘めているものだ」(スティーブン・フランシス)>

<人間はつねに上達することができるが、いつでもトップレベルまでいけるとは限らない>

なぜ、バスケットボール界の名スカウト、ボブ・ギボンズは地元レイニー高校のバスケットボールチームにも入れなかったマイケル・ジョーダンに高得点をつけたのか、なぜそのマイケル・ジョーダンはバスケットボールで大成功したのに、野球では失敗したのか、じつに興味深い論が展開されています。

<大成した子どもの親は、自己鍛錬やしっかりとした労働観といった美徳を重んじていることがわかっている>

<どんな分野においても、ゴールを目指す際に、自分よりも前に成し遂げた人がいるとわかっていれば心強い>

読めば読むほど、わが子をどんな学校に入れれば大成するのか、どんなコーチにつければ成功するのか、理解が深まってきます。

人材教育に携わる方、子どもの才能を伸ばしたい方、仕事で一流を目指す方は、ぜひ読んでみてください。

—————————————————
▼ 本日の赤ペンチェック ▼
—————————————————

「トレーニング歴がそう充実していない選手のほうが、より大きな可能性を秘めているものだ」(スティーブン・フランシス)

人間はつねに上達することができるが、いつでもトップレベルまでいけるとは限らない

テニス、ゴルフ、サッカー、陸上競技などのスポーツで世界レベルの選手になりたければ、一万時間ではなく二万時間の練習が必要

習得すべきスキルが複雑であればあるほど、早期のトレーニングが重要になる

選択しなければいけないものが増えるほど、受け入れないといけない機会費用が増えるため、もっと不幸で不安な気分に襲われる可能性が高くなる

情報や知識の氾濫は選手の力を伸ばすどころか、むしろ制限している

どんな分野においても、ゴールを目指す際に、自分よりも前に成し遂げた人がいるとわかっていれば心強い

疲労の真の原因は努力の認識ではないかという説が有力となったのだ。人間は限界に達するはるか以前に断念する

「これまでの経験では、あまりにも早い時期に競技に熟達した人間を相手にするのは非常にむずかしい。そうした人は新たなことに挑戦しないし、モチベーションを維持するのが困難だ。彼らは勝つのが当然だと思っている」(スティーブン・フランシス)

大成した子どもの親は、自己鍛錬やしっかりとした労働観といった美徳を重んじていることがわかっている

誕生日がネイサン・ジャクソンと同じになっているコピーを読んだ学生は、数学に対してより積極的な姿勢を示した。彼らは辛抱強く問題に取り組み、もう半分の学生よりも六五パーセント長く粘った

外的な要因は、私たちが考える以上に大きな役割を果たしている。競技に対する純粋な愛情の力を信じたいのは山々だが、それだけでは世界レベルの記録を達成することはできない

重要なことは、ただひとつ──誰がいちばん勝ちたいと願っているか、だ

————————————————

『最高の人材を見いだす技術』ラスムス・アンカーセン・著 阪急コミュニケーションズ
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4484121220

————————————————-

◆目次◆

1.秘密がないことが秘密
2.見た目で判断するべからず
3.人生は短い、だからすぐにはじめよう
4.あきらめのメカニズム
5.成功は設備よりも考え方
6.ゴッドファーザー
7.かわいい子には無理をさせろ
8.勝利を呼びこむ

この書評に関連度が高い書評

この書籍に関するTwitterでのコメント

同じカテゴリーで売れている書籍(Amazon.co.jp)

NEWS

RSS

お知らせはまだありません。

過去のアーカイブ

カレンダー