2011年11月3日

『自分のアタマで考えよう』 ちきりん・著 Vol.2661

【「知っている」と「考える」の違い】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478017034

本日の一冊は、月間100万ページビューを誇るカリスマブロガーであり、BBMでも紹介した『ゆるく考えよう』の著者、ちきりんさんによる新刊。

※参考:『ゆるく考えよう』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4781605176/

100万部を超えた名著、『思考の整理学』には、自主精神がなく、決められたことばかりをやる人間の比喩として、グライダー人間の話が紹介されていましたが、本書もまた、自分で考えることを推奨
する一冊。

※参考:『思考の整理学』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4480020470/

「プロ野球ファンの高齢化が進めば、日本のプロ野球の未来は暗い」というありがちな議論を否定したり、「少子化問題」を論じるのに合計特殊出生率だけを議論する愚かさを指摘したり、また自殺者が増えた理由の本質を追求したり…。

人口に膾炙している「知識」のあやふやさを指摘し、自分のアタマで考えるとはどういうことかを、具体的な事例と思考のプロセスを用いながら教えてくれます。

「将来の働き手を外国から補充すること」を、「議論する必要もない、不可避な選択」と述べたあたりは、「ビジョン」や「コスト」を視野から外した粗い議論で、残念な感じがしましたが(ほかが行き届いているだけに)、全体的には、考えるための良いトレーニングになります。

就職活動生がどうして自分に合った会社を探せなくてミスマッチに陥るのか、企業が採用した後「こんなはずじゃなかった」になってしまうのか、本書の説明で納得できました。

考えるプロセスを学びたいビジネスマンに、おすすめの一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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「ファンが高齢化している」ことと「将来の見通しが暗い」ということを自動的に結びつけることはできない

思考力のある人は、自分の専門分野においてさえ革新的で柔軟です。それは彼らが常にゼロから考えているからです。時代が変わり、世の中が変わり、新しい現象が出てきて新しい情報に触れたとき、過去の知識ではなく、目の前の情報から考えることができるかどうか。それが「考えることができる人」とできない人の分岐点です

知識とは「過去の事実の積み重ね」であり、思考とは、「未来に通用する論理の到達点」です

意思決定プロセスは情報収集をはじめる前に考えるべきことです。なぜなら、意思決定プロセスが明確になれば、それに合わせて必要な情報だけを集めればよいので、情報収集に必要な時間が大幅に短縮できるからです

「考える力をつけたい!」と言いながら、本ばかり読んで情報収集に時間を使っていても、考える力はつきません。自転車に乗れるようになりたいなら、自転車についての本を読むのではなく、実際に自転車に乗る時間を増やすのがもっとも有効です

データを見たときには、その背景(=データの前段階)を考える「なぜ?」と、そのデータをどう解釈・判断し、対応すべきか、と一歩先(=データの後段階)を考える「だからなんなの?」のふたつの問いを常に頭に浮かべましょう

少子化にはふたつの要因があるのですが、今の日本はそのうち親世代の人数減少には手を打たず、合計特殊出生率の向上だけで少子化問題を解決しようとしています

ちきりんが社会人として最初に証券会社で働きはじめたとき、先輩に「企業分析の基本は二種類の比較だ。財務データはまず競合他社と比較すること。その次に、過去と現在を時系列に比較すること。まずはそれだけでいい」と教えられました

決められないのは選択肢が多すぎるからではありません。決められないのは、「判断基準が多すぎるから」なんです

政治家も政党も個別政策ではなく、「日本は今後、どんな国を目指すのか」という「目標の姿」を掲げて政権を争うべき

数字を比較する場合に加え、議論する場合にもレベルをそろえることはとても重要

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『自分のアタマで考えよう』ちきりん・著 ダイヤモンド社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478017034

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◆目次◆

序 「知っている」と「考える」はまったく別モノ
プロ野球の未来について考えてみよう
1 最初に考えるべき「決めるプロセス」
会議を重ねてもなにも決まらないのはなぜ?
2 「なぜ?」「だからなんなの?」と問うこと
合計特殊出生率が上がっても少子化は止まらないです
3 あらゆる可能性を検討しよう
日本にも格安生活圏が必要では?
4 縦と横に比べてみよう
戦後経済の縦横比較から見える日本が進むべき道
5 判断基準はシンプルが一番
婚活女子を見習おう!
6 レベルをそろえて考えよう
生活者目線で霞ヶ関の組織図を書いてみた
7 情報ではなく「フィルター」が大事
就活のための企業研究が無意味なワケ
8 データはトコトン追い詰めよう
自殺の動機トップが「健康問題」ってホント?
9 グラフの使い方が「思考の生産性」を左右する
階段グラフで電気料金の大幅削減に成功!
終 知識は「思考の棚」に整理しよう
世界の大事件、NHK、BBC、CNNはこんなに違ってた

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