2011年11月1日

『中国ビジネスに失敗しない7つのポイント』 杉田敏・著 Vol.2659

【中国ビジネスで揉めないための基礎知識】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4048850997

本日の一冊は、プラップジャパン代表取締役社長で、中国ビジネスおよびメディア事情に詳しい杉田敏さんが、中国でPR活動をする際のポイントを示した一冊。

杉田敏さんと言えば、かれこれ20年以上続けている、NHKラジオ「実践ビジネス英語」の講師として知られる方ですが、じつは世界的PR会社として知られるバーソン・マーステラ、日本ゼネラルエレクトリックの取締役副社長も務めた人物。

タイトルに「失敗しない」とあるように、中国ビジネスで日本企業が思わずやってしまう広告・PR活動のNGをまとめ、対策を示しています。

本書に登場するのは、中国の国旗と似た模様を使ったことで回収騒ぎとなった吉野家の卓上カレンダー、台湾問題への配慮が足りず、問題となった某メーカーの携帯電話、中国人乗客を差別的に扱ったとして中国メディアに取り上げられた日本航空などの失敗例。

本書では、日本企業がこうした問題を起こさないように、PRのプロがポイントをまとめてくれています。

読んでいてまず驚いたのは、「中国における抗日記念日」が、たくさんあること。

7月7日 廬溝橋事件(七七事変)の日
8月15日 対日戦勝記念日
9月18日 満州事変(柳条湖事件、九一八事変)の日
12月13日 南京大虐殺の日(一九三七年南京陥落の日)

この4日間は、とくに重要な日ということで、記者発表などを含めたイベントを行わないようアドバイスしているようですが、ほかにも抗日記念日や、触れてはいけないタブーがたくさん紹介されています。

また、2000種類の新聞、年間発行部数28億冊とも言われる膨大な量の中国メディアにどうアプローチしていくか、PRのプロの視点が示されており、じつに参考になります。

中国に進出する企業はもちろんですが、日本で中国人客を迎えるホテルや小売業などでも知っておいた方がいい情報が満載。

ぜひチェックしてみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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中国で「広報」を指す言葉としては、Public Relationsをそのまま訳した「公共関係」が用いられます

「鬼子」とは、日本で「親に似ぬ子」についていう「鬼子」の意味ではなく、侵略者としての日本人を指します。これは中国語圏で使われる日本人に対する最大級の蔑称

三月十五日は国際消費者機構が推奨する「世界消費者権利デー」にあたりますが、日本ではまったく盛り上がりません。しかし中国ではこの日が「消費者権利維持の特定日」とされています。世界的にはあまり、この日に注目されることはないはずですが、中国では「サンヤオウー(三一五の中国語読み)」と呼ばれ、中国国民なら誰でも知っている有名な日になっています。この日、中国消費者協会は、消費者の代弁者となり、メディアを巻き込みながら消費者の権利を侵す企業を公開するなど、社会に対して大々的な問題提起を
行います

日本のあるメーカーの携帯電話で、台湾に電話をかけると「ROC」と表示されるようになっていたことがありました。ROCはRepublic of Chinaの略で台湾を意味します。中国でそうした商品を販売するのは許されることではなく、問題になりました

『中華人民共和国国旗法』には“国旗やその図柄を商標もしくは広告として使用することを禁ずる”という条項がある

中国で忌み嫌われる数字に二五〇があります

中国ではまず八、それから六が幸運の数字とされています

中国のテレビとラジオはすべて国営で、テレビ局が約二〇〇〇局、ラジオ局が約三二〇局あります

中国の口コミ媒体の最たるものの一つはBBS

旧来の報道とは一線を画す報道で急先鋒に立つメディアとしては『南方周末』などが挙げられます

中国の雑誌はいま、雑誌広告が活況にあり、こうしたボリュームのある分厚い雑誌が多く見受けられます

◆人気の高い雑誌
・『端麗』(ファッション誌 85万部)
・『中国新聞周刊』(総合誌 25万部)
・『財経』(経済誌 25万部)

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『中国ビジネスに失敗しない7つのポイント』杉田敏・著 角川書店
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4048850997

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◆目次◆

第一章 反日メッセージに敏感になれ
第二章 触れてはいけないタブーの部分
第三章 中国メディアの特質を掴め
第四章 中国人の金銭感覚を理解せよ
第五章 中国人社員の心理を掴め
第六章 中国での広報活動のルール
第七章 「危機」は必ず起こると心得よ

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