2009年9月8日

『「1秒!」で財務諸表を読む方法【実践編】』小宮一慶・著 vol.1877

【あの「1秒!」財務諸表に続編登場!】
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本日の一冊は、ふざけたタイトルながら、本質を突いた解説で話題となったベストセラー『「1秒!」で財務諸表を読む方法』の実践編。

※参考:『「1秒!」で財務諸表を読む方法』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492601716/

統計数字や会計をわかりやすく説明させたら当代ナンバーワンの経営コンサルタント、小宮一慶さんによる待望の続編です。

テーマは「財務分析」ということですが、全作でも登場したトヨタ自動車、花王などの企業を例に、各種指標を比較しながら説明しています。

実践編と銘打っているだけあって、手元流動性はどれぐらいあるのが理想か、企業の資金がボトムになるのはいつか、何が起こるとどんな指標に影響を与えるのかなど、まさに実務視点で書かれているのが特長です。

また、「どんなに『おいしい』儲け話が来ても、自社の適正な比率を割り込むような借入れや投資を行わない」「売上高が減少傾向にあるのに、たな卸資産残高が減少していない、あるいは増加している場合には注意が必要」など、経営を健全に保つためのポイントも示されており、実務上のアドバイスとしても有効です。

また、最近の上場企業の事例がもとになっているため、この不況で各社がどんな状況に陥っているのか知る上でも、貴重な情報です。

多くの会計本と異なり、経営者目線で書かれているので、読みやすく、かつ現場で使えるのが特長です。

「実践編」といっても難しくないので、経営者の方は、ぜひ一読してみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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1秒だけ財務諸表を見るとすれば、流動負債よりも流動資産が多いかどうかを見る

「貸倒引当金」は分かりますか? 貸倒引当金とは、売掛金や受取手形、あるいは短期の貸出金などの中で、先方の倒産などの理由で受取りや回収が不能になった金額です。これらの金額は、即時に貸倒引当金として売掛金や受取手形のマイナスとして計上するとともに、損益計算書上で費用として処理しなければなりません

手元流動性は、月末などで、大企業で1カ月分強、中堅企業で1・5カ月、中小企業だと1・7カ月分くらい持っていると安全です

資金がボトムになるときでも、1カ月分の手元流動性は確保しておくことも重要です

たいていの企業の場合、資金がボトムになるのは、給料日から月末までの間

キャッシュを持っていなければ、雇用の維持はできないのです。企業が使えるのは、あくまでも貸借対照表の左側の「資産」であって、それもすぐに使えるのは、「流動資産」にある現預金や有価証券です(中略)利益剰余金は、貸借対照表の資産をまかなっている資金源ではありますが、それは必ずしも現預金とは限らないのです

「貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書の各勘定科目を、原則としてすべて合算する先」を子会社と言います

関連会社は、原則「持分法」といってその持分の損益だけが損益計算書の「営業外損益」に計上されます

売掛金や受取手形がないということは、いわゆる「現金商売」をしているわけで、資金繰りが非常に楽な業種で流動比率が低くとも問題ないということになります(電鉄業は、現金商売をしている上に、定期券や「SUICA」や「PASMO」といった前払い金が入ってきます)

資産回転率の高い会社は、先ほども説明したように月々の経費が多くかかっている場合少なくありません。そして、いざという場合に売れる資産を持っていないことも多いのです

製造業などで、売れないものをたくさん作っても、それがすぐには売上原価とはならないため、大量の在庫を抱えながらも、表面的には損益計算書上の利益が出る

装置産業によくある現象で、設備投資が一段落したときから、増益率が大きくアップする

営業キャッシュフローのプラスの範囲内で、投資キャッシュフローと財務キャッシュフローのマイナスをまかなうというのが理想

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『「1秒!」で財務諸表を読む方法【実践編】』東洋経済新報社 小宮一慶・著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492601902
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◆目次◆
まえがき
第1章 貸借対照表の見方・読み方【基礎編】
第2章 貸借対照表の見方・読み方【実践編】
第3章 損益計算書の見方・読み方【基礎編】
第4章 損益計算書の見方・読み方【実践編】
第5章 キャッシュフロー計算書の見方・読み方【資金繰り分析】

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