2008年5月13日

『シャネル―最強ブランドの秘密』山田登世子・著

【シャネルに学ぶブランドビジネスの真髄】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4022732008

以前、ファッションプロデューサーとして有名なしぎはらひろこさんをインタビューした際、尊敬する人物として、ココ・シャネルの名前が出てきました。

しぎはらさんいわく、ファッション界の女性の多くはシャネルの生き方に影響を受けているとのことで、それほど大きな影響を与えたカリスマとはどんな人物なのか、気になって読んでみました。

ということで、本日の一冊は、『シャネル―最強ブランドの秘密』。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4022732008/

ポール・モラン著『シャネル』の訳者であり、大学で「ファッション・ブランド論」を教える山田登世子さんが「ブランドビジネス」の視点からシャネルを論じた一冊です。

※参考:『シャネル』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4122049172/

著者いわく、「シャネルは自分のライフスタイルをそのままそっくり商品化した初のビジネスウーマンだった」とのことですが、言われてみればなるほど、マーサ・スチュワートや栗原はるみなど、多くのカリスマたちは、このモデルを踏襲している気がします。

はじめにモノを売るのではなく、自分やスタイル、ストーリーを売ることでモノを売る。ブランドビジネスの王道とも言うべき考え方が示されており、じつに参考になります。

ほかにも、彼女が仕掛けた革命の本質や、無からブランドを創り出す秘訣、シャネル流商品開発のポイントなど、行間が読める人であれば、ビジネスのヒントがゴロゴロ転がっています。

ブランドビジネスのヒントとして、また女性の生き方のヒントとして、ぜひ読んでいただきたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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シャネルは自分のライフスタイルをそのままそっくり商品化した初
のビジネスウーマンだった

「自分の好きなものをつくるためではなかった。何よりもまず、自
分が嫌なものを流行遅れにするためだった。わたしは自分の才能を
爆弾に使ったのだ」

けばけばしい富の顕示を抑止して、内に力を秘めること。メンズの
領域にヒントを得たシャネルのモードは、素材だけでなくその美学
においてもダンディズムに通じている

シャネルが同時代のクチュリエと大きく水をあけて世界的ブランド
になった一因は、新大陸のテイストを知っていたかどうかのちがい
が大きい

それまで喪服にしか使われることのなかった黒をシャネルはあえて
シンボル・カラーに選び取ったのだ。色の禁欲。それがシャネル・
モードの核心だった

「一つの世界が終わり、別の世界が生まれようとしていた。わたし
はその二つの境にいあわせたのだ」

「いちど発見されてしまえば、創造なんて無名のなかに消えてゆくものよ」

「ファッション産業の成功のほどは、自分の後にできる破滅の大き
さによって測られる」

大量生産があってはじめて、「希少性」がいやがうえにも価値をもつ

シャネルは価値の根拠を、材料費や制作費ではなく、クチュリエで
ある自分の「名」においたのである。二〇世紀大衆社会を先取りし
たこの起業家は、「ネーム」が「バリュー」になることを知ってい
たのだ

ブランドの成立には「名」と「権威」という問題が大きくかかわっ
ているからである――ちょうど、貨幣論に権威論と信用論が不可欠
であるのと同様に

紳士ものを「エレガント」につくりなおして、まず自分が愛用する、
それがシャネルの商品開発の秘訣だった

「友達は、『ココの手が触れると、すべてが金に変わってしまう』
と言うけれど、わたしの成功の秘密は猛烈に働いたということよ」

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『シャネル―最強ブランドの秘密』山田登世子・著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4022732008
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◆目次◆

はじめに
第1章 贅沢革命1――アンチ・ゴージャス
第2章 贅沢革命2――偽物のチカラ
第3章 著作権無用論――マスの思想
第4章 起業家シャネル――ブランド・ビジネス
第5章 スタイルはライフスタイル
第6章 はたらく女
あとがき
シャネルをもっと知りたい人のための文献案内
シャネル略年譜

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