2007年8月15日

『フォーカス!』アル・ライズ・著


http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/490321205X

本日の一冊は、世界的に有名なマーケティング戦略家、アル・ライズが、製品、サービス、市場を「フォーカス」することで、企業を利益体質に変える方法を指南した注目の一冊。

著者いわく、「ライン拡大」「多角化」「シナジー(相乗効果)」などと呼ばれているものは、どれも拡大のプロセスであり、成長を目指すゆえの本能的衝動だ。しかし、これが企業のフォーカスを失わせている。

実際、本書に登場する事例を見ても、多くの企業はライン拡大や多角化を目論んで失敗しており、仮に企業規模拡大に成功しても、利益や時価総額は結果として落ち込む傾向にあります。

IBMやペプシコ、バーガーキングの失敗、かつて飛ぶ鳥を落とす勢いだったドナルド・トランプ、リチャード・ブランソンなどのカリスマ経営者の惨状を見ていると、安易な拡大路線をとる気など決して起こらなくなるに違いありません。それでは、どうすればいいのか。答えはまさに「フォーカス」することです。

本書では、どのように絞り込みを行えば、より有利な戦い方ができるのか、成功例を交えながら詳しく論じられています。

ポジショニングや言葉によるイメージ戦略、市場の変化に応じて戦略を調整する方法など、参考になる内容がてんこもり。久しぶりに読んでいてワクワクするマーケティング書に出合いました。マーケター、経営者は必読の一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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長い目で見れば、勝つ企業とは「最もよくフォーカスできている企業」であり、負ける企業とは「最もフォーカスできていない企業」だ。

「フォーカスすること」、これは経営の鉄則なのだブランドとは、大きな獲物をしとめるための狩猟許可証ではない。カットして磨いていくダイヤモンドだ「標準レベルにも達していないことを二つ手がけるより、すごくうまくいくことをひとつ手がけるべきだったんだ」(メイン・ストリート・マフィン スティーヴン・マークス)専門化は、マーケットが大きくなればなるほど進んでいく。逆に小さくなればなるほど、総合化が進む。だから世界がグローバル経済へ向かえば、企業はどんどん専門化せざるをえない同業の企業同士の合併はフォーカスを高める。

逆に共通性のない企業同士の合併はフォーカスを失わせるトイザらスの成功を詳しく見ると、五つのステップがあったことがわかる。

すなわち、1.フォーカスせよ、2.品揃えを豊富にせよ、3.安く仕入れよ 4.安く売れ 5.市場を独占せよ――であるマーケティングでは、「市場シェアトップ」に優るメッセージはない現実には、評判、すなわちイメージこそすべてだ。

ビジネス界を動かす真の推進力は品質ではない。品質に対するイメージなのだ

◆イメージを高める方法
1.「専門」効果:消費者は専門化が品質を高めることを知っている
2.「業界トップ」効果:
3.「価格」効果:高品質というイメージを広めたいなら、価格を上げること
4.「ネーミング」効果:

ポイントはより専門性を訴える商品名自分のポジションを定義するとは、自分と関わりのないものは何かを見極めることでもある客は、買うものを変えようと思うと、会社も変えがちだスピンオフは、フォーカスを促すという効果以外にも、次の三点で企業の業績を改善する。

1.経営範囲を小さくする。
2.社員の意欲をかき立てる。
3.「取引先とライバル関係になる」という問題を解消する古い企業の多くが絶滅した一因は、既存のブランドを守ろうとしてライン拡大などの延命策にすがり、若者向けの新ブランドを導入しなかったことにある

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『フォーカス!』アル・ライズ・著 海と月社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/490321205X
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◆目次◆

第1章 多くの企業がフォーカスできない理由
第2章 グローバル経済の時代に勝ち抜くために
第3章 他の経営論とフォーカス論の違い
第4章 実行して成果を出した企業に続け!
第5章 トレンド最前線の小売業で起こっていること
第6章 二つのコーラの物語
第7章 重要なのは、「よい品質」より「よいイメージ」
第8章 言葉によるイメージ戦略
第9章 「万人ウケ」をねらうな
第10章 市場の変化に合わせてフォーカスする法
第11章 「分割」で業界トップに躍り出る
第12章 「複数ステップ」という手法
第13章 IBMに見る実践上の注意点
第14章 「イノベーションの溝」を越えて急成長を!
第15章 まとめ――フォーカスを成功させる一五の秘訣

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