2006年5月3日

『国家の品格』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4106101416
本日の一冊は、遅ればせながら今話題のベストセラー『国家の品格』
をご紹介します。

本書は、作家・新田次郎さんの息子で、お茶の水女子大学理学部教
授の藤原正彦さんが、日本人が長らく忘れてきた独自の精神性を取
り戻すべく、提言したものです。

著者が説いているのは、論理力以前に求められるの情緒の力や道徳、
武士道精神など。

数学者である著者が、「論理」の持つ欠陥をズバリ指摘し、論理だ
けでは片付かない問題の解決に迫っていく展開は、じつに読み応え
があります。

なぜ今、先進国の人心が荒廃しているのか、国家としての品格を取
り戻すためにはどうすれば良いのか、歴史、政治、教育などの視点
から迫っています。

著者の意見を強く主張した内容になっており、ときおり、他国を蔑
むような表現も登場するため(ここはいただけない)、好き嫌いは
あると思いますが、昨今なかなか見られない骨太の主張です。

とくに教育に携わる方には、ぜひ読んでいただきたい一冊です。

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■ 本日の赤ペンチェック
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人間にとって最も重要なことの多くが、論理的に説明できない

本当に重要なことは、親や先生が幼いうちから押しつけないといけませ

論理は重要であるけれども、出発点を選ぶということはそれ以上に決定

一般の世の中では、長い論理というのは非常に危険なのです。すべ
てのステップは灰色だから、小数のかけ算を何度もすることとなり、
信憑性はどんどん下がっていきます

論理が通ることは脳に快いから、人々はこのようにすぐに理解でき
る論理、すなわちワンステップやツーステップの論理にとびついて
しまう。従ってことの本質に達しない。いじめ問題なんか典型です。
こみいった問題の解決を図ろうとしたら人間性に対する深い洞察が
必要になる

真のエリートというものが、民主主義であれ何であれ、国家には絶対必

真のエリートには、俗世に拘泥しない精神性が求められる

人々に十分な惻隠の情があれば差別などはなくなり、従って平等と
いうフィクションも不要

日本人が古来から持つ「情緒」、あるいは伝統に由来する「形」、
こうしたものを見直していこう

「卑怯を憎む心」をきちんと育てないといけない(中略)「法律違
反だから万引きしない」などと言う子供は、誰も見ていなければ万引き
します

情緒が真の国際人を育てる

美しい情緒や形は「人間としてのスケールを大きくする」

知識や技術は蓄積する。しかし、人間としての賢さとか情緒力は一
代限りです。したがって、論理と合理のみに頼っている限りは、歴
史的に証明されたごとく、戦争をやめることはできません

◆品格ある国家の指標
1.独立不羈 2.高い道徳 3.美しい田園 4.天才の輩出

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『国家の品格』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4106101416
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■目次■

第1章 近代的合理精神の限界
第2章 「論理」だけでは世界が破綻する
第3章 自由、平等、民主主義を疑う
第4章 「情緒」と「形」の国、日本
第5章 「武士道精神」の復活を
第6章 なぜ「情緒と形」が大事なのか
第7章 国家の品格

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