2004年12月22日

『人生の座標軸』

http://tinyurl.com/4f77w

本日の一冊は、民間No.1ビジネススクールとして知られる、グロービスの代表、堀義人さんによる一冊です。個人のことについて書かれた本は、『吾人の任務』に続き、二冊目です。

参考:『吾人の任務』
http://tinyurl.com/5zmrp

個人、家族人、組織人、日本人、アジア人、そして地球人としての座標軸から、社会や人生、仕事について論じたもので、それぞれの座標軸に対する著者の考え方が示された後で、ウェブ上で展開されていたコラムが挿入されています。

起業家の日常や、仕事上での悩み、家族とのやり取りを読みながら、自分の人生についても考えさせられる、そんな本です。

国内外に幅広い人脈を持ち、また起業家とMBAホルダーという、2つの顔を持つ著者だけに、トピックには事欠きません。韓国大統領をはじめ、国内外の有名人とのやり取りや、ハーバード・ビジネススクール時代の話、起業の話など、じつに興味深いトピックが、飾らない言葉でつづられています。

著者の日常や仕事の風景は、本書でお読みいただくとして、ここでは、本書から得られる教訓・考え方などをピックアップしてみましょう。
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■ 本日の赤ペンチェック ※本文より抜粋
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各人がそれぞれの座標軸をしっかり意識し、自らの役割を定義して、人生設計をしたうえでプライオリティをもって行動しているならば、どんどん思いきったチャレンジをすべきだと思う。

僕は、長い人生のスパンで、人生のバランスがとれていればそれでよいと思っている。つまり、学ぶ時期や社会で勝負する時期、家庭をつくり上げる時期など、なにかを成し遂げるときには、そのことに集中することが重要なのだと思う。

僕は、ものごとをフレームワーク(枠組み)で捉えることにしている。複雑なものを考えるときには、単純に構造化されたモデルを頭の中でつくったほうがわかりやすくなるからだ。

■「個人」としてのバランスを考えるときの枠組み
1.心
2.頭
3.体

頭で考えたことよりも、心で感じることを最優先する

頭の枠組みをさらに分類すると…
・考える力
・知識
・伝える力

知識、考える力、伝える力の三つの中で、最も難しいのは、この伝える力ではないかと思っている。それだけ、考えていることが伝わらないのだ。伝える力を育成するには、当然、言語処理能力が必要になる。可能ならば英語と日本語双方の言語における処理能力をもち、つねに高めつづけることが望ましい。これに加えて、受け手の感情を理解する心理学の知識、さらには詩的でアーティスティックな感性、人間力などが必要になるのだろう。

家族を考える際には、なにを尺度に競争すればいいのか。僕は、その勝ち負けの尺度を、個人のレベルだけではなく、家族全体のレベルでも考え、その判定を家族全体という「チーム」に委ねたらどうだろうかと考えている。

「忙しいのによく家族との時間がありますね」と言われることが多い。「ある」というよりも「がんばってつくる」しかないのだ。仕事をしながら、家族との時間をいかに確保するかは難しい問題だ。そうとう強い意識をもたないと、なかなか実践できない。

■著者の考える「働きたい組織」
1.よい仲間に恵まれ、
2.やりがいがある仕事ができ、
3.最大限能力を開発することに喜びを感じられ、
4.社会に貢献していることを実感でき、
5.やった分だけの成果が配分される

どういう人が幸せになっているかというと、先述した要素を備えた勝ち組組織をいっしょになってつくっている人々である。転々と一匹狼のように生きていくよりも、よい組織に所属してその組織をさらによくすることに尽力し、その成果をみなで分け合うほうがよいのではないか

「勝つ組織」=「個の爆発」×「崇高なビジョン・理念・基本戦略の確立と浸透」×「規律の精神」

個人の爆発が生み出すエネルギーが利益に結びつくように組織設計をして、ベクトルを合わせるのがマネジメントの仕事

■今後の日本に求められていること
1.政府レベル:市場原理を徹底的に導入して公正な競争を促進する
2.企業レベル:アジアナンバーワン、グローバルナンバーワン企業を目指す
3.個人レベル:グローバルに通用するビジネスリーダーへ

「一隅を照らす」――この言葉が好きだ。(中略)偉そうに黒塗りの車に乗ってなにもしない経営者、言葉だけの評論家、威張ってばかりいる役人の姿よりも、日々の生計を立てるために、汗を流して労働している姿により強い感銘を受けるのだ。(中略)個々人が成し遂げることの大小よりも、自らが与えられた環境の中で、精一杯に生きているかどうかのほうが重要なのだと思う。
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長いスパンで人生のバランスがとれていればいい、なにかを成し遂げるときには、そのことに集中することが重要、という指摘は、現在バランスが取れておらず、負い目を感じている身には、とても励みになりました。きっと著者も起業家として、同じような経験をしたのでしょうね。

というわけで、本日の一冊は、

『人生の座標軸』
http://tinyurl.com/4f77w

です。とかくバランスを崩しがちな起業家にとって、人生のバランスを取る良いきっかけを与えてくれる、そんな本です。

■目次■
はじめに
第一章 個人――起業家のフレームワーク1
第二章 家族人――起業家のフレームワーク2
第三章 組織人――起業家のフレームワーク3
第四章 日本人――起業家のフレームワーク4
第五章 アジア人、そして地球人――起業家のフレームワーク5
おわりに
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