2009年1月1日
【新年一号のBBMです】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4022732539
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本日の一冊は、キヤノンの常務取締役生産本部長を経て、99年、キヤノン電子社長に就任、環境経営の徹底で経常利益を約10倍に伸ばした著者が、その「ムダ削減」ノウハウを公開した一冊。
いわく、「環境」を軸に据えた企業経営は、企業の「社会的責任」を果たすだけではなく、「社員の意識、誇り」を高くし、その結果「企業利益が伸びる」――。
ここだけを読むと、偶然、環境への取り組みと会社の成長が重なったのではないか、と疑ってしまいますが、実際のムダ削減の取り組みを読むと、その徹底ぶりに驚かされます。
ムダな生産スペースの削減や物流対策など、抜本的なものから、事務用品費の削減、蛍光灯の切り換えといった瑣末なものまで、じつに幅広い取り組みが紹介されており、ムダの多い職場なら、どれかひとつ試すだけでもすぐに効果が期待できそうです。
立ち会議の実施、小型化装置の内製、VE教育など、社員の創造性を高め、モチベーションを高めるための仕組みも見逃せません。
そして何よりも、一冊を通して学んだのは、人間の創造性を信じる、著者の姿勢。
ダイヤモンドはカットして磨くことで輝きを増すといいますが、本書の醍醐味は、コスト削減を学ぶことにより、モノ作りの魂や本質をより深く学べること。
決して人間をあきらめない。これこそが、今年の経営に必要なことではないかと思います。
ムダを削減し、本質を極めていく。その大切さに気づくためにも、ぜひ本書を読んでみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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◆環境のためにできる対策
1.化石燃料の代替品を探す
2.リデュース(廃棄物の発生抑制)、リユース(製品・部品の再 使用)、リサイクル(再生資源の利用)
3.経済の発展スピードを落とす
この「すべてを半分に」という「TSS 1/2」活動のなかで、まず力を入れたのは、「ムダな生産スペースの削減」だった。必要以上に大きな生産スペースは、照明、冷暖房はもとより、人や物の移動でも大きなムダを生む
事務用品は値段が安く、消費や買い替えが容易なだけに、オフィスのゴミ増加の温床になりやすい
オフィスの紙対策で一番大事なことは、何といってもリデュース(発生抑制)であり、「ほんとうに必要なもの以外は紙の書類や資料を作らない」という姿勢
◆オフィスのエネルギー節減
照明:蛍光灯は「高効率インバーター方式」へ切り換える
OA機器:「省電力設定」と「電源オフ」を徹底する
空調:エネルギー効率の低い設備・機器は取り換える
ライン生産がいい、セル生産がいい、と満足した時点で、そのシステムにはアカがつきはじめる。経営は常に「現時点での最適解」を求め続ける仕事
間締めを進めて設備やスペースのムダをなくせば、そのぶん、照明や冷暖房、動力などの省エネ(=環境負荷低減)になるし、人・物の移動距離が短くなり、運搬のムダ、待ちのムダ、移動のムダなども削減できる
不良や製品事故の7割は、設計に問題がある。残りの3割は生産部門のミスだが、それもよくよく調べてみれば、そのうちの7割(全体の約2割)は設計に原因があることが多い
名機といわれるものは、どれも簡単で扱いやすい。利用者の立場に立った優しい設計がしてあるからだ。それは一言でいえば、「Simple is beautiful」。設計者としての個性や独創性というのは、それをわがものとした上に初めて築かれるのである
◆特に効果の大きかった物流対策
1.納品便の運行変更
2.工場バンニング
3.個建輸送の導入
4.積載効率の向上
5.製品梱包トレーのリユース
6.ダンボールレス輸送
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『「会社のアカスリ」で利益10倍!』朝日新聞出版 酒巻久・著
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◆目次◆
まえがき
序章 「環境経営」は一石三鳥を実現する
オフィス――まず、個人のゴミ箱をゼロにする
工場――「不良品の削減」が環境と利益に直結する
設計・調達――リデュース(発生抑制)が最も重要
物流――もっとも多く「利益」が埋まっている
社員――全社員に「当事者意識」を持たせる方法
利益率10%は、3年で到達できる――あとがきに代えて
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2009年1月1日
【今年一年はこの一冊で振り返る】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4488006515
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今年は、金融バブルの崩壊、派遣切り、企業不祥事、殺人事件など、暗いニュースが目立った年でした。
原因については諸説あると思いますが、ひとつには、行き過ぎた「自由」とそれゆえに生じた「孤独」という、人間にとって普遍のテーマがあったかと思います。
そして、この問題を扱ったエーリッヒ・フロムの名著を紹介して、今年の締めくくりとさせていただこうと思います。
ぜひお楽しみください。
フロムは本書で、「自由は近代人に独立と合理性とをあたえたが、一方個人を孤独におとしいれ、そのため個人を不安な無力なものにした」と説いています。
確かに、われわれの社会を見ると、学校を選ぶのも、仕事を選ぶのも、配偶者を選ぶのも、まったくの自由であり、その自由は行き着くところまで行った、そんな気がします。
ただその一方で、家庭の崩壊、売春の横行、うつの増大など、大きな社会的問題を抱えているのも事実です。
また、資本主義システムのもとでの疲弊感と疲労感も大きな問題のひとつですが、本書はこれに対しても、一定のヒントを与えています。
著者は、中世におけるルネッサンスと宗教改革を例に、自由を求めた個人がどのような心理状態に陥り、社会がどう変容していったのかを検証しているのですが、当時の人々を取り巻く状況が、あまりに現在に酷似していることに驚きます。
いわく、人は自由からも逃れようとするわけで、過去にその心理はナチズムを代表とする権威に利用されてきました。
自由に伴う不安から安易に逃げるのではなく、人間の独自性と個性とにもとづいた積極的な自由を実現すること。
フロムのメッセージが理想で終わるのか、それとも人間の進歩につながるのか。
いまわれわれは、その重大な岐路に立たされている気がします。
年末の一冊ということで、文句なしの名著です。
ぜひ読んでみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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衝動の満足と文化とは逆比例する。抑圧がつよいほど、より多くの文化が生まれる。(そしてまた神経症的障害の危険もより多くなる)
人間が自由となればなるほど、そしてまたかれがますます「個人」となればなるほど、人間に残された道は、愛や生産的な仕事の自発性のなかで外界と結ばれるか、でなければ、自由や個人的自我の統一性を破壊するような絆によって一種の安定感を求めるか、どちらかだということである
近代的な意味での自由はなかったが、中世の人間は孤独ではなく、孤立してはいなかった。生まれたときからすでに明確な固定した地位をもち、人間は全体の構造のなかに根をおろしていた
能率という観念がもっとも高い道徳的な価値の一つと考えられるようになった。同時に富と物質的な成功を求める欲望が、ひとびとの心をうばう情熱となった
資本が決定的に重要なものになったということは、経済が超人間的な力によって決定され、ひいては人間の運命までが、それによって決定されるということを意味した。資本は「召使いであることをやめて、主人となった
資本の蓄積のために働くという原理は、客観的には人類の進歩にたいして大きな価値をもっているが、主観的には、人間が人間をこえた目的のために働き、人間が作ったその機械の召使いとなり、ひいては個人の無意味と無力の感情を生みだすこととなった
愛は「好むこと」ではなくて、その対象の幸福、成長、自由を目指す積極的な追求であり、内面的なつながりである
人間はたんに商品を売るばかりではなく、自分自身をも売り、自分自身をあたかも商品のように感じている
マゾヒズム的努力のさまざまな形は、けっきょく一つのことをねらっている。個人的自己からのがれること、自分自身を失うこと、いいかえれば、自由の重荷からのがれることである
本来の自己とは、精神的な諸活動の創造者である自己である。にせの自己は、実際には他人から期待されている役割を代表し、自己の名のもとにそれをおこなう代理人にすぎない
若い世代が両親から尊敬するようにと教えられた権威が弱体を暴露したとき、両親もまた威信と権威とを失った
個人の最大の強さは、かれのパースナリティの一貫性の最大量にもとづくものであるが、それは自分自身にたいする理解の最大量にもとづいているということである。「汝みずからを知れ」という言葉は、人間の強さと幸福をめざす根本的な命令の一つである
近代人は自分の欲することを知っているというまぼろしのもとに生きているが、実際には欲すると予想されるものを欲しているにすぎない
有機的な成長は自分自身についてと同じく、他人の自我の特殊性にたいして、最高の尊敬をはらうばあいにおいてのみ可能である
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『自由からの逃走』東京創元社 エーリッヒ・フロム・著
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◆目次◆
第一章 自由
第二章 個人の解放と自由の多義性
第三章 宗教改革時代の自由
第四章 近代人における自由の二面性
第五章 逃避のメカニズム
第六章 ナチズムの心理
第七章 自由とデモクラシー
付 録 性格と社会過程
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