2010年9月30日
【知らない人は損をする。まさに教科書】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4828415904
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本日の一冊は、オランダTilburg大学TiasNimbas Business Schoolを首席で卒業し、長くオランダで活躍していた著者が、これからのビジネスマンに必要な、差別化のための思考法を解説した一冊。
著者には、『はじめての課長の教科書』という、10万部超の優れた著作がありますが、今回の本に限っては、前作の印象を忘れていただきたい。
※参考:『はじめての課長の教科書』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4887596146
というのは、土井が見る限り、本書は優れたビジネスマンとしての著者の横顔ではなく、父親の影響で幼い頃より本を読み続けてきた読書家であり、優れたクリエイターである著者の側面が、前面に打ち出された一冊だからです。
ロジカルシンキングからクリティカルシンキング、そしてラテラルシンキングまで、さまざまな思考法と思考ツールが紹介された、実践的な本ではありますが、もっとも感じ入ったのは、著者の知的生産への愛にあふれた姿勢です。
本書を読んで、なぜ著者がこれまでベストセラーを連発することができたのか、その理由がわかった気がしました。
著者いわく、<自社と競合の間に、入手できる「情報の格差」が期待できない現代社会においては、ロジカル・シンキングだけから斬新なアイディアを生むのは困難>。
そこで、<企業が生き残るために必要な差別化を実現するためには、直感による「ひらめき」が求められ>るのです。
自社に勝利をもたらす人材になるためにも、またライバルに一歩先んじるアイデアを生み出すためにも、ぜひ読んでいただきたい一冊。
<アイデアにあふれる毎日を送ることが、人間の幸せに関係する>という著者の言葉に賛同する方は、ぜひ読んでみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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ロジカル・シンキングに精通した人材が集まると、問題となるのは「いかなる事実があるのか」という情報のインプット
ロジカル・シンキングは漫才の「ツッコミ」に相当し、ラテラル・シンキングは「ボケ」に相当する
そもそも「皆がどうしているか」ということは、事実としての掘り下げが足りません。例えば、人間であれば「皆が食事をする」というのは一見正しいようですが、その本質は、生命維持には栄養の摂取が必要ということです。そう考えれば、「栄養さえ摂取できれば、それが食事でなくても構わない」という視点も得られるはず
◆クリティカル・シンキングで特に注意すべき4点
1.事実に曖昧なところはないか?
2.結論に具体性が欠けるところはないか?
3.ロジックに独断的なところはないか?
4.ロジックに飛躍はないか?
いかなる提案においても、その提案のネガティブな面を正直に述べることを忘れるべきではありません
◆網羅性確保のための3つの手法
・基本書の目次を参照する
・フレームワークを活用する
・1人で考えない
動的なチームワークが求められる世界では、同僚の行動から、その背後にあるロジックを正しく読むことができる人材でないと役割が務まらない
◆アブダクションの推論形式
驚くべき事実Cが観察された
しかし、もし説明仮説Hが真であれば、Cは当然の事柄であろう
よって、説明仮説Hが真であると考えるべき理由がある
対象となるテーマを抽象化することで類似の事象を見つけ出していくために重要となるのは、意外かもしれませんが「知識量」(引き出しの数)です
◆TRIZ研究者ダレル・マンが推奨する発明原理トップ8
1.分割 2.先取り作用 3.逆転の発想 4.動きを取り込む
5.周期的作用 6.ピンチをチャンスに 7.セルフサービス
8.パラメータの変更
635法という名前は、この発想支援ツールが「6」人のメンバーが、「3」つずつアイディアを紙に書いて、その紙を「5」分ごとに隣の人と交換するという方法を取るところからきています。メンバー6人が、わずか30分で、108個ものアイディアを出すという計算
ラテラル・シンキングの力は一般に若いほど優れていると言える
生きることの達人は、仕事と遊び、労働と余暇、心と身体、教育と娯楽、愛と宗教の区別をつけない。何をやるにしろ、その道で卓越していることを目指す。仕事か遊びかは周りが決めてくれる。当人にとっては、つねに仕事であり遊びでもあるのだ。(老子)
哲学者ヘーゲルが『精神現象学』の序論で述べたとおり「分けて考えることは、対象を殺してしまうこと」
古代ギリシアにおいて人間の認識メカニズムについてはじめて言及したとされる哲学者エンペドクレスは、このように分割された要素を寄せ集める行為こそ「愛」であると説いています
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『これからの思考の教科書』酒井穣・著 ビジネス社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4828415904
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◆目次◆
はじめに
第1部 ロジカル・シンキング(垂直思考)
第2部 ラテラル・シンキング(水平思考)
第3部 インテグレーティブ・シンキング(統合思考)
おわりに
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2010年9月29日
【梅棹忠夫、最期のメッセージ】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532260973
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本日の一冊は、情報産業の時代をいち早く予言した著名な民族学者、梅棹忠夫氏最期のメッセージを、国立民族学博物館名誉教授の小山修三氏が聞き役となってまとめた一冊。
日本における文化人類学のパイオニアであり、『文明の生態史観』『知的生産の技術』『情報の文明学』など、数々の名著を残した知の巨人による、最期のメッセージです。
※参考:『文明の生態史観』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4122030374
※参考:『知的生産の技術』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4004150930
※参考:『情報の文明学』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4122033985
基本的に対談モノは内容が薄くなりがちなので、普段はあまり読まないのですが、これは特別。
もう氏の新刊は読めないからという希少価値もありますが、内容的にも、いろいろと気づきがありました。
なかでも印象に残ったのは、「それ自分で確かめたか?」という言葉と、スケッチの重要性、そして未知なるものへのあこがれという視点。
われわれはどうも、学ぶということは他人の著作を読むことと思い込んでいるふしがありますが、著者はそれを、厳しく戒め、自ら確かめ、着想することの大切さを説いています。
また、記録する際、写真じゃなくてスケッチを重視するのは、スケッチは構造を確かめないと描けないから。これは大いに参考になりました。
そして、最後は、「未知なるものへのあこがれ」という視点。
知的生産において最も大切なことを、氏の言葉で直接語っていただき、思いを新たにすることができました。
上で紹介した氏の代表作と併せ、ぜひ読んでみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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自分の足で歩いて、自分の目で見て、自分の頭で考える、これが大事や。他人の書いたものを信用していない
「フロンティア」というのは間違いなく興奮する
西堀さんは、「石橋を叩いていては渡れない。とにかくやってみい」っていうタイプだった
どうして『風土』などと言っておきながら、ヨーロッパの農場に雑草がないなどと、そんなバカなことを言うのか。どうしてそんなまちがいが起こるのか。中尾流に言えば、「自分の目で見とらんから」です(和辻哲郎の『風土』への批判)
一番、あぶないなと思うのは、みなさん歴史を知らん
みんなむつかしい文章書くよな。単文の連続で書かんと
そう、ごまかしや。一番いかんのは、美的にかざることやな。それで、何かいいものができたみたいに思う
文章で一番大事なことは、わかるということ。自分もわからないくせに、そのわからない言葉を使う。それは、かざってるからや
写真では細部の構造がわからへんのや。目で見て、構造をたしかめて、その構造を図に描くんやからね、ようわかる
「分類するな、配列せよ」。機械的に配列や。それでいったらいいんや。大事なのは検索
物欲はないねん。楽しんだあとは全部捨てろって。爽快なる無所有や
思いつきこそ独創や。思いつきがないものは、要するに本の引用、ひとのまねということやないか
わたしは若い人には、本質論をやれと言いたい。まだまだみんな若いな、と。現象論に目を奪われるのは、ひとつの若さです。若さはあるが、ジャーナリズムの悪影響でもある
「論争は大いにけっこう。でも、自分が優勢なときほど相手に退路をつくっておいてやったほうがええなあ」(桑原武夫)
供給してみい、そうしたら需要がでてくる
請われれば一差し舞える人物になれ
人には逃げてはならない状況がある
わたしが、山に登り、世界の民族をたずねたのは、デジデリアム・インコグニチ、未知なるものへのあこがれだけやった
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『梅棹忠夫 語る』聞き手:小山修三 日本経済新聞出版社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532260973
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◆目次◆
第一章 君、それ自分で確かめたか?
第二章 文章は誰が読んでもわかるように書く─記録と記憶の技術(1)
第三章 メモ/スケッチと写真を使い分ける─記録と記憶の技術(2)
第四章 情報は分類せずに配列せよ─記録と記憶の技術(3)
第五章 空想こそ学問の原点
第六章 学問とは最高の道楽である
第七章 知識人のマナー
第八章 できない人間ほど権威をかざす
第九章 生きることは挫折の連続である
エピローグ つねに未知なるものにあこがれてきた
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2010年9月28日
【できる人のカネの使い方】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4794217730
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本日の一冊は、『ヤクザの実戦心理術』などで知られる作家、向谷匡史さんによる一冊。
※参考:『ヤクザの実戦心理術』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4584391726
ビジネスマンのお金の使い方については、これまでにも本が何冊か出されていますが、「稼ぐ」「増やす」をテーマにした本と比べ、売れ行きは芳しくないようです。
しかしながら、「損して得とれ」という言葉があるように、「稼ぐ」「増やす」の前には、じつは「いかにして損するか」のノウハウがある。
これはすなわち投資ということですが、ここに無頓着な人は、ビジネスで成功することはできません。
本書には、著者が実業家、実業家、ヤクザ、作家などから学んだ、粋なお金の使い方が紹介されています。
店にひいきにされるチップの払い方や、さりげなく評判を作るお金の使い方、人に感謝される金の与え方、そして受け取ってはいけないお金まで。
人生やビジネスで成功するための、ぜひ読んでおきたいお金の話が満載です。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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もの言わぬお金にどんなセリフをつけて使うかによって、価値は何倍にもなるものです
一万円でも多く収入を得ようと稼ぐことに汲々とするばかりで、同じ一万円に付加価値をつけ、「いかに高くして使うか」という発想を持つ人は少ない
◆人脈を築くコツ
1.他人から見て自分が人脈たりえること
2.人脈の本質に気づくこと(何か事を起こすためのツール)
3.人間関係に投資する
◆中堅出版社、望月デスク(仮名)のチップ術
1.おつりにジャラ銭が混じったときは、ジャラ銭はしまってお札を渡せ
2.五〇〇〇円単位のおつりにならないように気をつける
3.カードで支払うときは、チップ用の千円札を必ず用意しておく
「パリにいってきたんだ。銀座もいいけど、やっぱりシャンゼリゼだねぇ」こんな話をすれば、相づちのむこうには嫉妬が隠れているものだが、「アフリカへいってきたんだ。ホテルは水が出ないし、ひでぇんだ」この話題なら、「なんでまた」と興味津々で乗ってくる
お金は、あるように見えれば、それはあるのと同じである
金持ちに寄っていったところで自分が儲かるわけではないにもかかわらず、なんとなくお近づきになりたいと思う。ここに人間関係の本質がある
服装を劇的に変えれば、人生もまた劇的に変わるのだ。では、具体的にどうすればよいか。まとめ買いをするのだ。たとえば、季節ごとに洋服を一着ずつ買っているとするなら、思いきって一度に三着買う。出費は三倍になるからこれは痛い。だが、一度に三着を選ぶとなると、必ず一着はこれまでとガラリと変わった洋服を選ぶものだ
一万円札と五千円札×二枚は同じではない
自分を有能に見せ、高く売ることでビジネスを優位に進めたければ、「多忙」を演出すればいい
◆ホストクラブ経営・伊坂氏(仮名)の言葉
人間関係の基本はお金ですから、お金を出すほうが優位に立つ
◆ナンバーワンホスト、美咲氏のルール
「七つ甘えて、三つ返す」
いざ泳ぎはじめて波に呑まれたらどうか。助かろうと必死でもがき、ワラをもつかもうとする。このとき浮き輪を放れば“地獄で仏”になる
“ダメもと”で借金を申し込むのは、愚かな人間である。頭を下げ、懇願し、断わられたとしたら、たんにお金を借りられなかったというだけではなく、人間関係において風下に立つことになるからだ
コーヒー一杯を飲んで一万円札を出すような無神経な人間であってはならない
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『成功する人だけが知っている「一万円」の使い方』向谷匡史・著 草思社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4794217730
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◆目次◆
第1章 一万円でこれだけのことができる
第2章 一万円で「できる人」の外見と自信を手に入れる
第3章 一万円で相手の「優位」に立つ
第4章 一万円で「評判」を手に入れる
第5章 一万円で「新たな自分」に出会う
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2010年9月27日
【30歳からが女の勝負】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569792014
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本日の一冊は、ベストセラー『あたりまえだけどなかなかわからない働く女(ひと)のルール』の著者、有川真由美さんによる新刊。
※参考:『あたりまえだけどなかなかわからない働く女(ひと)のルール』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4756912095
若い頃、プライベートで大打撃を受け、以来、化粧品会社のOLや塾講師、コンパニオン、ユニクロ店長、ブライダルコーディネーターなど数多くの職業を経験、ひょんなことからカメラマン、作家として成功した著者が、30歳以降も伸びる女性の共通点を述べています。
最近は、本田健さんの『30代にしておきたい17のこと』はじめ、30代の生き方本がいくつか出ていますが、土井も実感しているように、30代の生き方というのは、20代とはちょっと違います。
※参考:『30代にしておきたい17のこと』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4479303014
人によっては管理職に登用されるのが30代だとすれば、そろそろ己を知り、適職を知り、大きく飛躍したいもの。
また、他人と連携することで、大きく伸びるのも、この時期です。
本書では、キャリアにおいて重要なこの時期を、女性がどうやって過ごすべきか、そのヒントが書かれています。
30歳以降も働き続けたい女性、そしてそんな女性を部下に持つ男性に、ぜひ読んで欲しい一冊です。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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自分に余裕のないときほど、人を喜ばせることにフォーカスすることが大事
「好きなもの」より「得意なもの」。「やりたいこと」より「やれること」
◆組織に貢献するための5つの視点
1.組織が困っていることをする(弱点)
2.組織が力を入れていることで、「さらによくなる」ということ
をする(強化点)
3.組織が「これから必要になること」をする(未来)
4.組織でだれもやっていないことをする(すき間)
5.組織の理想と現実のギャップを埋めることをする(ギャップ)
ラクな道は、“それなり”なのです。「ゆるく長く働きたい」とラクな道を選んだ人の多くは最初はよくても、数年もすれば「これでいいのかしら」と将来に不安を感じ、昇格試験を受けたり、転職や資格取得を目指したりするようになります
どんなことであれ、続けるためには、主体的に“変化”していく
自分の仕事に対する評価は、自分でなく、他人や社会が決めるものです。だから、周りから見たとき、社会から見たとき、「自分がどの程度か」意識することが大事
一流のホテル、一流の料理、一流の芸術などに触れるのもいい経験ですが、人としていちばんの刺激は、一流の仕事人に触れることではないでしょうか
プライベートまで「生活のため」「資格取得のため」「婚活のため」「人脈をつくるため」「将来のため」と、なにかのメリットや効果を求めるようになると、気持ちがガチガチになって、疲れてしまいます。やはり、人が人として生きていくためには、適度なゆるみというべき“遊び”が必要なのです
あたりまえの、小さいことをちゃんとやっている人ほど信頼され、大きな仕事やリーダーも任されるようになります。“あたりまえ”ができる人は、安心できるのです
30歳前後で、男性と女性の評価が逆転してしまうのです。それはなぜか? 30歳から伸び悩む女性は最初から“管理職”になること、人の上に立つことをイメージして働いていないからではないでしょうか
「あれもこれも」ではなく、手放すことも覚える
いちばん雇いたくないのは不満を口にして、他のスタッフのモチベーションを下げてしまう人
大人の女には、“ちがい”を受け入れる懐の深さ、柔軟さが必要
人と闘うための自己主張は、しない
30歳から伸びていく人は、必ず、貴人(クイレン)がいるものです。貴人とは、台湾でよく使われる言葉で、自分を輝かせてくれる貴い人
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『30歳から伸びる女30歳で止まる女』有川真由美・著 PHP研究所
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569792014
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◆目次◆
※多過ぎるので省略します
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2010年9月26日
【ドラッカーが賞賛した明治の経営者とは?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4396613768
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『もしドラ』の影響で、空前のドラッカーブームとなっていますが、本日の一冊も、そんなドラッカー本のなかの一冊。
日本経済に即したドラッカー研究で知られる故・望月護さんによる一冊で、もともと出されていた『ドラッカーの箴言 日本は、よみがえる』と『ドラッカーと福沢諭吉』の2冊のエッセンスを抽出し、再編したもの。
内容は、ドラッカーが認めた明治時代の「3人の重要な人物」、福沢諭吉、渋沢栄一、岩崎弥太郎とドラッカーの教えをリンクさせたもの。
ドラッカー本として読むと、内容的にギャップがあるかもしれませんが、明治期の偉人たちの物語として読むと、じつに貴重な示唆が得られる一冊です。
実際には、この3人に加え、小林一三や浅野セメントの創業者・浅野総一郎、「製紙王」藤原銀次郎、「電力の鬼」松永安左エ門など、さまざまな名経営者を取り上げ、それぞれの成功要因、ビジネスモデルなどを解説しているため、実業のヒントとしても読めます。
古いビジネスモデルが行き詰った現在、彼らがどうやって事業を展開していったのかを知ることは、きっと新たなビジネス創出の機会につながると思います。
経営者、および起業家を目指す方は、ぜひ読んでみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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渋沢(栄一)は、パリで一人の銀行家に会う。そしてこの銀行家から、「多くの人たちから集めた資金を賢い経営者に貸し、大きな事業をさせれば、儲けた利益がみんなに還元される。結果として国も豊かになり栄えるのだ」と聞いて驚く
ベルギーの製鉄所を見学した後、国王に謁見したところ、国王から、「鉄を使う国は豊かになる。将来、日本が鉄を必要とする時には、ぜひベルギーから買ってくれ」と言われた。渋沢には、国王がまるで商人のように思えた。国を豊かにすることが国王の仕事だと気がついたのは、だいぶ後になってからのことである
徳川時代は、不景気になるとみんなが「お伊勢参り」に出かけた。とくに元禄バブルが弾けた宝永年間(一七〇四年ごろ)には、お伊勢参りが大流行し、なんと二カ月の間に三六〇万人が出かけたという記録が残っている。三六〇万人と言えば当時の日本人の一割以上に当たる
岩崎と渋沢は、たんなる豊かな日本ではなく、創造力のある強い日本をつくろうとした。いずれも、経済発展の本質は、貧しい人たちを豊かにすることではなく、貧しい人たちの生産性を高めることであることを知っていた(ドラッカー『断絶の時代』)
掘った石炭は船で輸送するから、炭鉱事業と海運事業はお互いに補完し合って事業を伸ばすことができる。岩崎は西南戦争で儲けたカネにさらに借金をして、石炭鉱山を大量に買い漁った。一八八一年(明治一四年)には、長崎港外の小島にある高島炭鉱の払い下げを受けた。石炭を売るために販売部門をつくった。この販売部門(売炭部と言った)は、後に三菱商事となる
三菱が「組織の三菱」と謳われ、発展したのは、岩崎の死後、持ち株会社としてのオーナー家と、個々の事業会社の経営を分離したからである。この「組織改革」を、ドラッカーは、日本でもっとも自立的な経営管理陣をつくりあげた。(『抄訳 マネジメント』)と評価している
ドラッカーによれば、イノベーションとは単なる技術革新を指すのではなく、「儲かっていない活動を、儲かる活動につくり変えること」
小林(一三)の目に留まったのは、乗客が抱えている荷物だった。そうだ、お客にとって買い物は限りなく駅のそばが便利なのだ―。この発想から生まれたのが日本初のターミナルデパート・阪急百貨店である
「いくらよいアイデアがあっても、カネがないと惨めな思いをする」(小林一三 全国高校野球大会のお客を奪われた時の言葉)
浅野(総一郎)は、捨てられていたものをもう一度生かすことによって大儲けしたのだ
ある時、福沢(諭吉)の優れた業績に対して勲章を授与すると伝えに来た人物がいた。福沢は怒った。「誉める、誉めないとは何のことだ。学者を誉めると言うなら、隣の豆腐屋も誉めたらどうなんだ」そう言って、叙勲の話をにべもなく断わっている
生き甲斐のある環境をつくることが本来の経営の目的であるはずだ
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『ドラッカー日本への言葉』望月護・著 祥伝社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4396613768
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◆目次◆
序文 なぜ今、「明治の日本人」が重要なのか
監修者まえがき 竹村健一
著者まえがき 望月護
第1章 なぜドラッカーは日本の経営者を評価したのか
第2章 「株式会社の生みの親」渋沢栄一と、「三菱の創業者」岩崎弥太郎
第3章 日本のイノベーターたちの功績
第4章 福沢諭吉の「智」は、ドラッカーの「ナレッジ」
第5章 「利益」を正しく追求した、松下幸之助
第6章 ドラッカーと日本、そして日本人―「企業は人なり」
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2010年9月25日
【即効!販促ネタ77本!】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4827205868
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出版業界の人間にはおなじみの神保町「さぼうる」、アマゾンのある渋谷クロスタワー、北参道のとあるメキシコ料理店…。
これらの場所には、ある共通点があります。
それは、そこに落書きがある、ということ。
「さぼうる」であれば、有名人の落書き、クロスタワーであれば、尾崎豊ファンの落書き(ここは尾崎ファンのメッカとなっています)、北参道のメキシコ料理店には、カップルの落書きがあるのです。
この落書きのファンクションは何かというと、もちろん「リピートを生むこと」。これに他なりません。
ささいな仕掛けではありますが、自分の好きな作家やアーティストのぬくもりに触れたい、愛を誓った二人がまた思い出の場所に帰ってくるなどの理由で、確かな効果が見込めるのです。
本日ご紹介する一冊は、こんな些細な工夫で確実に販促につながる、そんなネタを計77本、紹介したマーケティング本。
著者は、スーパーでの勤務を経て独立し、商売支援、接客支援を手掛ける人物。
プロフィールを拝見する限り、まだ目立った実績はないようですが、いろんな商売の販促ネタをよく調べてまとめてくれています。
正直、もっと突っ込んだ分析が欲しかったところですが、経営者であれば、この程度のヒントがあれば、十分応用は可能。
即効性が見込める、という意味では、有用な一冊だと思います。
自らの商売を見直す意味で、ぜひ読んでおきたい一冊です。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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2010年のゴールデンウィーク。東京千代田区のホテルニューオータニで提供されたプランが興味深いです。それは、3泊4日でフルマラソンを完走するプラン。皇居周辺を1日15kmほど走り、専門家も伴走して助言してくれるというもの
必ずもう一度、来店しなければならない理由を用意できないか?
「全部を体験できない」「まだ体験したいことが残っている」と、次回の来店理由になる
○○ランチ 800円
ランチデザート単品 400円
○○ランチデザートセット1000円
こうすると「セットが安い」と感じませんか?
調理工程や製造風景の写真を壁に貼るだけで美味しそうに見えてくる
◆5000円と高額にもかかわらず売れる「栗焼酎 四万十 大正」の特徴
・使用する「栗の量」が多い!(通常の1.5倍の量を使用)
・40010時間貯蔵(「四万十」にかけて約4年7カ月)
・超限定(貯蔵スペースに限りがある)
大阪・大丸心斎橋店内にある「鼻専門エステ」が人気のようです。鼻は、目立ちやすいが自分ではケアが難しく、エステの費用対効果が一番高い場所だそうです。10分2100円と手ごろなのも利用しやすい
自分の必要な部分だけが小分け販売されていればありがたいですよね
「星座」「血液型」「出身地」バリエーションはお客さまが自然にアクションを起こしやすい
「速く走るため」に作られた靴下があります。商品名は『走る力』。今までとは「違う切り口」で作られた子供用の靴下です。「かかとが滑りにくい」「土踏まずのフィット感を強化」という特徴があるようです
・欲しいモノが手に入らないと、さらに欲しくなる
・無理して生産数を増やして、魂の安売りをしない
ディズニーランドは2番目の方法(変化を感じられる行列)で行列を管理しています。太短くではなく、細長い行列。曲がり角がいっぱいあったり空間の雰囲気が時折変わったりして、進んでいる実感が感じられます。だから、もし2時間並んだとしても2時間には感じません。変化があるからです
「とんがりコーン」「アポロ」「コアラのマーチ」「きのこの山」……。長い間、お菓子界を引っ張ってきたこれらの菓子には、ある一つの共通点があります。それは『オレ流の食べ方』や『食べ方の楽しみ』があることです
3種類も醤油が置いてあれば、お客さまにもお店のこだわりが伝わります
ある飲食店では、「送別会コース」を事前に予約すると、『主役の方の純金名刺』を1枚作ってプレゼントしてくれるそうです
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『お金をかけずに売上を上げる販促ネタ77』眞喜屋実行・著 ぱる出版
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492521895
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◆目次◆
第1章 お客さまが[来店したくなる理由]をつくる
第2章 お客さまの[目と耳に訴える]魅力的な演出
第3章 コンセプトを変えると[商品が生まれ変わる!]
第4章 お客さまの[心理・心情に訴える]ググッとくる商品演出
第5章 [商品の魅力]がグングン上がる方法
第6章 [使われる理由][選ばれる理由]をつくる
第7章 お客さまが[思わず振り向いてしまう]店頭の仕掛け
第8章 [心つなぐ、温かみ]を感じさせる接客
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2010年9月24日
【ケチにも優先順位がある?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492521895
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本日の一冊は、年商200億円の上場企業にして、通称「日本一のドケチ企業」、未来工業の「ドケチ戦略」を、創業者の山田昭男氏がまとめた一冊。
引きひもスイッチ式の蛍光灯や、ドアノブをはずしたドア、警備員のいない警備員室、線の切れた固定電話など、冒頭、吐き気がするほどの苛烈な「ドケチ作戦」が出てきますが、ここで疑問に思うのは、「こんな会社でなぜ社員は辞めないんだろう?」ということ。
その答えは、じつは2章以降でわかります。
2章以降では、あれほどドケチ一辺倒だった著者が一転、「意外な」太っ腹ぶりを披露するのです。
60歳ピーク時の給与が維持される定年延長制度、年間休暇140日、育児休暇3年、1日7時間15分の勤務時間…。
さらにビックリしたのは、著者が創業者利益を捨て、社員に額面で株式を売り渡したこと。
これにより、未来工業の社員には「1億円株主」がたくさん生まれ、マスコミの話題をさらったそうです。
怠惰な浪費で社員を甘やかすよりも、給与と休日できちんと報いる。高価なお中元やお歳暮を送るよりも、顧客サービスで差をつける。
自立した社員を育て、組織を成功に導いた著者らしい、骨太な「ドケチ戦略」に、最後はすっかり魅了されてしまいました。
コスト意識の高い社員を育てたい経営者に、ぜひ読んでいただきたい一冊です。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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うちの会社の蛍光灯の多くは、引きひもスイッチ式。廊下の電灯は、夜まで禁止。仕事をしている人が席をはなれるときには、自分の頭上の蛍光灯のスイッチを必ず切るためだ。ひもの先端に名前入りタグが結ばれているのは、自分の蛍光灯を管理する責任感を、社員たちにもってもらうための意識づけ。ちなみに、相談役室近くのフロアの蛍光灯のスイッチ(これは普通のスイッチ)は、それを隠すように上に白い紙が貼ってあって、「さわるな、バカ!!」と、わたしが書いた
ウチは主にローテクの電設用品メーカーで、商品単価も安い。泥棒に入られて会社がこうむる損害より、どう考えても警備員の人件費のほうが高くつく
業務課の女性社員たちに、「『お待ちください』禁止令」を出した。問い合わせの電話をかけてきてくれたお客さんに対して、「お待ちください」という言葉を使ってはならないぞ、ということ。まずは、ウチの製品機能や性能、その価格や材質などについて知識を深め、製品番号もしっかりと覚える。そのうえで、お客さんからのどんな問い合わせにも、営業マンの代わりに、すぐ的確に答えられる。彼女たちにそんなプロフェッショナルになることを求めた
会社の経費だけでなく、お客さんの通話時間と電話料金をケチること、それも立派な顧客サービスだ。それはお中元、お歳暮以上だと思っている
ドケチとは、社員にコスト意識を植えつける最良の教育
自社の売上げに見合った規模の営業チームを組織すれば、自社営業と、中小問屋へのおろしだけで、身の丈にあった商売はできる
会社のムダを本気で減らしたい、できれば一掃したいと思うのなら、経営者や幹部自身が自分たちの無駄遣いを率先して改めるべき
有給休暇40日余りを除いて、年間140日前後の休日。7時間15分という日本一短い労働時間。大手ハンバーガーチェーン店みたいな「名ばかり」管理職も、派遣社員やパートもいない。全員が正社員。そのうえ、育児休暇は3年
出張費は渡し切り方式がおススメ(中略)宿泊費なら1人1泊1万円。それ以下のホテルに泊まり、差額を自分のお小遣いにしてもかまわない(中略)頭を使えば自分の得になるから、人は一生懸命に考える。それが「常に考える」習慣づけになる
◆「3ナイ」主義
「教育しない」「管理しない」「強制しない」
他人が考えつかないアイデアを生むには、他人とは違う体験や時間の過ごし方、あるいは、誰にも真似できない着眼点や感受性が必要。いずれも、ぎちぎちな管理からは生まれにくい違う失敗は100回でもOKだが、同じ失敗は2回で降格
会社都合で社員の既得権をないがしろにしてはいけない
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『ドケチ道』山田昭男・著 東洋経済新報社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492521895
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◆目次◆
第1章 ドケチとは、社員にコスト意識を植えつけること
第2章 社員をやる気にさせる「反ドケチ」作戦
第3章 自主性と自覚をもったプロ社員の「反ドケチ」な育て方
第4章 ミライイズムは終わらない
第5章 「勘違いドケチ」をしてはいけない
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2010年9月23日
【あなたは赤字社員?黒字社員?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4766710967
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本日の一冊は、利益に厳しいベンチャー企業で取締役を務め、現在は会計顧問として、数社のベンチャー企業を支援する著者が、「赤字社員」「黒字社員」の違いを会計的に論じた画期的な一冊。
数字を曖昧にしかとらえられない「かなり君」や「俺の給与、時給にしたらマック以下!」とのたまう赤字社員、すぐにカラーコピーを使いたがる「カラフルちゃん」など、できない社員をバッサリ斬り、反対にできる社員の特徴を述べた、管理職にとっては待望の一冊です。
「給与の3倍以上の利益貢献」というのは、いろんなところで書かれていることですが、本書では、<売上をあげても「資金繰り」を考えないなら赤字社員>といったように、キャッシュフローの話や、コスト削減、「報・連・相」を怠ることによる損失など、あらゆる点に言及しています。
100冊の自己啓発書を読むより、1冊の会計書を読んだ方が、ビジネスマンとしての能力は高まると思いますが、数字が苦手な人には少々ハードルが高い。
その点本書は、最低限の会計知識を負担なく教え、かつ仕事でどう活かすかまでを丁寧に指導してくれているので、数字が苦手な方でも、いわゆるビジネスセンスを身につけることが可能です。
どうせ会社で働くなら、「赤字社員」と言われ、お荷物扱いされるよりも、「黒字社員」を目指したい。
必要最低限の会計知識と、仕事人としての心構え。
本書はその両方をコンパクトにまとめた、新入社員必読の一冊です。
部下の指導に手を焼いている管理職の方も、ぜひ読んでみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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たとえば、年間売上高が600億円規模の会社で、「今月の売上高はどれくらいだ?」と聞かれ、「¥4,875,925,332」という数字が羅列していたとします。これを2秒以内に答えられない経理の方は、残念ながら赤字社員と見なされます。経理という仕事をしているのならば、ケタ区切り(カンマ)は基本中の基本です。千円、百万円、その次は十億円です
「俺の給与、時給にしたらマック以下!」と言ったら赤字社員
給与は「他人」と比較するものではなく、会社に対する「自分の利益貢献」と比較するべき
仕事において重要な報告・連絡・相談。いわゆる「報・連・相(ホウレンソウ)」。赤字社員には、この「ホウレンソウ」が嫌いだという「お子ちゃま」的な特徴があります。この人たちは周囲が先に取りかかって欲しいと思っている業務を後回しにし、自分の気が向いた業務から取りかかってしまいます。そのため、同僚の残業コストや上司の時間コストまで追加で発生させてしまい、しかも、そのことにまったく気づいていません
たった一度のことであれば、カラーと白黒との差はたった数十円です。しかし、コピーは日常繰り返されるものであり、また人数分のコピーなど「掛け算的要素」が強いため、ここでのコスト意識の低さが、会社に大きな損失を与えてしまうのです
残念なことに、会社のビジネスモデルを理解していない、それどころか、考えたこともない赤字社員がたくさんいます
赤字社員は、あらゆる仕事の場面で最悪のケースを想定していません。したがって、自分の予測どおりに進まないことがわかると、責任回避に奔走する「言い訳くん」に変身します
コスト削減とは、現在「100」発生しているものを、やみくもに「90」にするということだけではありません。今、会社で当たり前のように発生しているけど、実はまったくのムダだった、というコストが必ずあるはずです
あなたが勤める会社内で、「収益を増やすための方策」を2分以内に5つ考えてください
あなたが勤める会社で「コストを削減するための方策」を4分以内に10個あげてください
コスト削減を考える際に重要なポイントは、まず「売上に直接関係しない費用」から先に考えるということ
売上をあげても「資金繰り」を考えないなら赤字社員
会社は利益を稼ぎ、純資産を増やせば増やすほど、健全になっていきます。つまり、あなたの仕事は、究極的には健全な貸借対照表を作ることにつながっていなければいけないのです
赤字社員は転職しても、やはり赤字社員になる人がほとんど
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『東大卒でも赤字社員中卒でも黒字社員』香川晋平・著 経済界
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4766710967
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◆目次◆
第1章 3人に1人は赤字社員 その1人は一瞬で見抜ける
第2章 会計に強い、でも利益を出せない人
第3章 この30分で赤字社員が黒字社員に変わる
第4章 ワンランク上の黒字社員はここまで考える
第5章 あなたの「活躍度」診断、「リストラ度」診断
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2010年9月22日
【口コミは実は効かない?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4887598467
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本日の一冊は、ポニーキャニオンで「チェッカーズ」や「おニャン子クラブ」、「だんご3兄弟」等のヒット作を手掛けた吉田就彦氏と、物理学の研究者である石井晃氏、デジハリ大学院のヒットコンテンツ研究室客員研究員を務める新垣久史氏が、クチコミの数理モデル化に挑んだ、画期的な一冊。
大ヒット映画を主な題材とし、『おくりびと』や『ALWAYS 三丁目の夕日』『アバター』などを数理モデルで分析、その結果、得られた洞察をまとめています。
土井はアマゾン時代、400冊ほどのベストセラーを分析し、その売れ方にどんな特徴があるのか、グラフや数値を用いながら分析しましたが、本書で示された数理モデルには、あらゆる商品に通じる「ヒットの法則」が隠されています。
なぜ「コアなファン」だけでは売れないのか、仕掛けられたクチコミが機能しないのか、商品説明だけでは売れないのか…。
理論よりも雄弁に、本書のデータがその理由を物語っています。
本書によると、大切なのはクチコミよりも人が話題にしているのを見聞きする「間接コミュニケーション」であり、また、商品説明よりも大切なのは「周辺話題性」です。
やや著者らの主観を抜けきれない記述もあり、またもっと突っ込んで欲しかった箇所もありますが、これからのネットマーケティングの参考書として、ぜひ読んでおきたい一冊です。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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人間は自分が知らないことに対する知りたい知りたい願望が強く、特にマスコミの人間ではなおさらです
人々の関心は、公開日あるいは発売日に向けて急激に高まり、そして公開あるいは発売とともに、徐々に減衰していきます
「コアなファン」だけで大ヒットになるのは不可能
「コアでない人たち」がどのようにして観る映画を決めるのかを知ること、それが映画を大ヒットにするために必要なこと
◆人が映画を観に行くのには3つの要素がある
1.広告やテレビ番組での紹介情報
2.知人から薦められる
3.街中で評判・街中の噂
人々の心に長く残る広告・宣伝を狙うなら、1つ1つは1日か2日で効果が消えてしまうので、時系列的にどのように広告・宣伝を続けていくかが宣伝戦略上重要
映画の超大ヒットなどを見ると、間接コミュニケーションが決定的な役割を果たしていて、場合によっては従来から「クチコミ」と言われている部分の効果はそれほど大きくない例もあります
売る側からクチコミを仕掛ける「クチコミマーケティング」には限界がある
売る側が仕掛けるクチコミはどうしてもソースが1つになってしまいますから、その意味では大規模な間接コミュニケーションとして盛り上がりにくい
メッセージの一貫性がヒットの鍵を握る
1つはいかに同じことを語らせるかという「共鳴性」という軸です。それともう1つは「周辺話題性」という軸です。映画作品だけを語るのではなく、その周辺にある「語りたくなる要素」をいかに発生させるかがポイント
「映画自体の評価は決して悪くないこと」と「エリカ様という強烈な個性による周辺話題性」を考慮すれば、映画を成功させるためには沢尻エリカは謝罪するべきではなかった
「言いたい病」「聞きたい病」の本質をとらえて、その病気を味方につけることがCGMマーケティング成功の必須事項
話題を切らさないマーケティング施策が重要
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『大ヒットの方程式』吉田就彦、石井晃、新垣久史・著ディスカヴァー・トゥエンティワン
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4887598467
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◆目次◆
序章 大ヒットを数式で予測する大胆な試み
第1章 ヒット現象を数理モデルで数式化する
第2章 映画の分析と予想シミュレーション
第3章 ヒットの話題共鳴分析で観客インサイトをつかむ
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2010年9月21日
【あの『ヤバい経済学』に続編登場!】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492314067
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本日の一冊は、人間の「インセンティブ」と、それが経済・社会に及ぼす影響を取り上げ、一躍ベストセラーとなった『ヤバい経済学』、待望の最新刊。
※参考:『ヤバい経済学』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492313788
アメリカにおいて中絶の合法化が犯罪を激減させたという話にはじまり、相撲の八百長をデータで証明するなど、刺激的なトピックが満載だった前作に引き続き、今回も過激なトピックがいくつも用意されています。
酔っぱらった時は、千鳥足で歩いて帰るよりも飲酒運転した方が安全、インドでHIV/AIDSの感染率が高いのは、インド人男性のペニスが小さいから、稼ぐ売春婦になる方法など、とんでもないトピックが続き、前回同様、刺激的な内容になっています。
また、社会心理学の教科書では決まって出てくる「ジェノヴェーゼ嬢殺害事件」の信憑性を疑うあたりは、さすが。
読めば、知的態度が叩き込まれる、そんな一冊に仕上がっています。
ただ、「人間理解」「洞察」という点で画期的だった前作に比べ、今回の作品は、「意外な事実」に終始している感があり、また紹介されている事例も、社会心理学の教科書などを読んでいる人には、既知の内容が多かったように思います。
とはいえ、ユーモアあふれる語り口と刺激的なトピックは、読んでみて損はありません。
ぜひ読んでみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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酔っ払って車を運転すると、しらふのときの13倍も事故を起こしやすい。それなのに、いまだに酔っ払って車に乗る人がたくさんいる。アメリカでは、死亡事故全体のうち30%以上は少なくとも1人、酔っ払い運転が絡んでいる
酔っ払い運転2万7000マイル当たり、逮捕は1件だけだ
1マイル当たりでは、酔っ払って歩くと酔っ払って運転するのに比べて死ぬ可能性は8倍もの高さになる
インド人男性の約60%はペニスが小さく、世界保健機関の規格で作られたコンドームが合わない
人が数え切れないぐらいいろんな点で非典型的である複雑な世界であっても、基本を見つけることには大きな価値がある。それに、平均的に起きることを知っておくといい出発点になる
政府はだいたい、モノやサービスを消費する人たちよりも供給する人たちを罰するのを好む。でも、供給する側を牢屋に放り込めば希少性が生じ、必然的に価格は高くなり、供給する側になろうという人がもっと市場に参入してくる
毎年の夏、7月4日の独立記念日の前後になると、ワシントンパークはピクニックやパーティに集まった親族一同やなんかの大人数のグループでいっぱいになる(中略)ワシントンパークの売春婦の需要は毎年この時期になるとロケットみたいにすっ飛ぶ。そして、売春婦たちは、いい事業家なら誰だってやることをするのだ。料金を約30%引き上げ、残業として取れるだけ客を取るのである。とても興味深いのは、そんなふうに需要が跳ね上がるせいで、特殊な種類の労働者が現れたことだ。1年の間ずっと売春とは無縁の生活を送り、この売春婦が引っ張りだこの時期だけ他の仕事をほっぽって春売りに精を出すのである
女性は男性より、受講するファイナンスの講座数が少ない。他の条件が全部同じ場合、ファイナンスの知識があるかないかは生涯賃金と強い相関を持つ
断食月にお母さんのおなかにいた赤ん坊は、発育に影響が出る可能性が高いのがわかった
ある要因一つがあればメジャーの選手になる可能性はそこらにいる男の子の800倍にもなるのを知っておいたほうがいい。こんなに強力に影響するものっていったいなんだろう? お父さんがメジャー・リーグの選手であることだ
近年、ゴミの回収代金をゴミの分量に基づいて決めるようになった政府があちこちにある。ゴミが1袋増えればその分回収代金が高くなるようにすれば、それがゴミを出さないようにするインセンティヴになるんじゃないか、そう考えたわけだ。でもこういう料金体系だと、ゴミを袋がパンパンになるだけ詰めこむとか、単純に森に捨てに行くとかといったインセンティヴも生まれる
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『超ヤバい経済学』スティーヴン・D・レヴィット、スティーヴン・J・ダブナー・著 東洋経済新報社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492314067
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◆目次◆
説明のためのノート 前の本でウソついてた件
序章 経済学が「ヤバい」とは
第1章 立ちんぼやってる売春婦、デパートのサンタ、どうしておんなじ?
第2章 自爆テロやるなら生命保険に入ったほうがいいのはどうして?
第3章 身勝手と思いやりの信じられない話
第4章 お悩み解決いたします―安く簡単に
第5章 アル・ゴアとかけてピナトゥボ火山と解く。そのこころは?
終章 サルだってヒトだもの
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