2011年7月22日
【調査でわかった「ほめ方」の秘訣】
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最近は、「エチカの鏡」に登場した「ほめ達」こと西村貴好さんや、谷口祥子さんはじめ、さまざまな方の影響で、「ほめる」ことがブームになっています。
しかし一方で、「ほめたら社員が辞めた」なんて報告も周りから受けており、ほめることと社員のモチベーションに一体どういう関係があるのか、一度学術的に知りたいと思っていました。
そんな時に見つけたのが、本日ご紹介する『承認とモチベーション』。
組織論や人的資源管理論を専門とする同志社大学政策学部教授の太田肇氏が、最新の研究成果をもとに「承認」と個人のモチベーションの関係を探った一冊です。
2008年以来、3年にわたって行ってきた、大企業の正社員、中小企業の正社員、派遣社員、私立病院の看護師、公立病院の看護師への研究結果をもとに、ほめることの効果と、効果的なほめ方について、独自の見解を示しています。
面白かったのは、35歳未満と35歳以上でほめることの結果に明らかに違いがあること、男女差があること、派遣社員には金銭的インセンティブが効くこと、プロフェッショナルはプロフェッショナルにほめられないと動機づけられないこと、など。
そして予想通りではありますが、上司の役割が非常に重要だということがわかりました。
部下がやる気をなくしたエピソードなども具体的に載っているので、管理職の方は、目を通しておくと良いと思います。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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楽しさや面白さは本人の心理状態のほか、仕事内容や職場環境といった状況に依存する。したがって、常に楽しさや面白さで動機づけることはできないという点に限界がある
長期的な成長や大きな目標の達成には、楽しさや面白さとは別の種類のモチベーションが必要
野村総合研究所が行った「生活者一万人アンケート調査」(二〇〇〇年)によると、七四%の人が「自分の能力や専門性を高めることで社会的に認められたい」と答えている。さらに二〇〇三年の同調査では、二〇代の五二%、三〇代の四四%が「出世や昇進のためには、多少つらいことでも我慢したい」と回答している
◆公益企業A社での研究
「仕事コミットメント」「昇進意欲」は女性より男性のほうが、また年齢・職歴が浅い人のほうが高い傾向がみられる
「自己効力感」や「職場における影響力の知覚」は三五歳未満でのみ効果がみられる
◆サービス業B社での研究
働くのが嫌になったことや、やる気がなくなったこととしては、上司との人間関係にまつわる体験談やエピソードが多数あげられている。とりわけその多くが、つぎのような上司からの「負の承認」、あるいは「不正確な承認」である。「時間内に仕事を終わらせるより、仕事が遅くて残業する人のほうががんばっているように上司が発言するので、集中して働くのがばからしくなった。」「周囲の人は認めていないのに、一部の力のある人に認められた人が昇進するのを目にしたとき。」「上司の気分によって評価基準が変わるので、だまされている気がする。」
◆派遣社員を対象にした研究
分析の結果、派遣社員が派遣元で承認された場合にかぎり、「評価への満足」が高まることが明らかになった
◆派遣社員の自己効力感が高まった話 ※一部紹介
「社員が困って相談してきて、それを解決できたとき。」
「社員にしか開示されていない情報を教えてもらった。」
「VIPのお客様にも自分が対応させてもらったこと。」
「職場で社員と派遣との分け隔てなく接してくれる。」
◆看護師を対象にした研究
プロフェッショナルは一般に、その能力を専門家仲間によって評価される。そのため彼らは、専門家仲間による承認を重視する
一般にプロフェッショナルの場合、サービスをする側と受ける側との間には経済学でいう「情報の非対称性」が存在する。仕事の内容が専門的であるため、サービスの受け手であるクライアントはサービスの中身を評価できないのである。そのため、患者に受けの良い看護(看護師)が患者自身に利益をもたらしているとはかぎらない
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『承認とモチベーション』太田肇・著 同文舘出版
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◆目次◆
第1章 「経済人」か、「承認人」か
第2章 日本人と承認
第3章 承認の効果
第4章 実証のための研究プロジェクト
第5章 公益企業A社での研究
第6章 サービス業B社での研究
第7章 派遣社員を対象にした研究
第8章 看護師を対象にした研究
第9章 承認の効果─研究結果のまとめ
第10章 今後のマネジメントにおける承認
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