2010年9月29日
【梅棹忠夫、最期のメッセージ】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532260973
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本日の一冊は、情報産業の時代をいち早く予言した著名な民族学者、梅棹忠夫氏最期のメッセージを、国立民族学博物館名誉教授の小山修三氏が聞き役となってまとめた一冊。
日本における文化人類学のパイオニアであり、『文明の生態史観』『知的生産の技術』『情報の文明学』など、数々の名著を残した知の巨人による、最期のメッセージです。
※参考:『文明の生態史観』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4122030374
※参考:『知的生産の技術』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4004150930
※参考:『情報の文明学』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4122033985
基本的に対談モノは内容が薄くなりがちなので、普段はあまり読まないのですが、これは特別。
もう氏の新刊は読めないからという希少価値もありますが、内容的にも、いろいろと気づきがありました。
なかでも印象に残ったのは、「それ自分で確かめたか?」という言葉と、スケッチの重要性、そして未知なるものへのあこがれという視点。
われわれはどうも、学ぶということは他人の著作を読むことと思い込んでいるふしがありますが、著者はそれを、厳しく戒め、自ら確かめ、着想することの大切さを説いています。
また、記録する際、写真じゃなくてスケッチを重視するのは、スケッチは構造を確かめないと描けないから。これは大いに参考になりました。
そして、最後は、「未知なるものへのあこがれ」という視点。
知的生産において最も大切なことを、氏の言葉で直接語っていただき、思いを新たにすることができました。
上で紹介した氏の代表作と併せ、ぜひ読んでみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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自分の足で歩いて、自分の目で見て、自分の頭で考える、これが大事や。他人の書いたものを信用していない
「フロンティア」というのは間違いなく興奮する
西堀さんは、「石橋を叩いていては渡れない。とにかくやってみい」っていうタイプだった
どうして『風土』などと言っておきながら、ヨーロッパの農場に雑草がないなどと、そんなバカなことを言うのか。どうしてそんなまちがいが起こるのか。中尾流に言えば、「自分の目で見とらんから」です(和辻哲郎の『風土』への批判)
一番、あぶないなと思うのは、みなさん歴史を知らん
みんなむつかしい文章書くよな。単文の連続で書かんと
そう、ごまかしや。一番いかんのは、美的にかざることやな。それで、何かいいものができたみたいに思う
文章で一番大事なことは、わかるということ。自分もわからないくせに、そのわからない言葉を使う。それは、かざってるからや
写真では細部の構造がわからへんのや。目で見て、構造をたしかめて、その構造を図に描くんやからね、ようわかる
「分類するな、配列せよ」。機械的に配列や。それでいったらいいんや。大事なのは検索
物欲はないねん。楽しんだあとは全部捨てろって。爽快なる無所有や
思いつきこそ独創や。思いつきがないものは、要するに本の引用、ひとのまねということやないか
わたしは若い人には、本質論をやれと言いたい。まだまだみんな若いな、と。現象論に目を奪われるのは、ひとつの若さです。若さはあるが、ジャーナリズムの悪影響でもある
「論争は大いにけっこう。でも、自分が優勢なときほど相手に退路をつくっておいてやったほうがええなあ」(桑原武夫)
供給してみい、そうしたら需要がでてくる
請われれば一差し舞える人物になれ
人には逃げてはならない状況がある
わたしが、山に登り、世界の民族をたずねたのは、デジデリアム・インコグニチ、未知なるものへのあこがれだけやった
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『梅棹忠夫 語る』聞き手:小山修三 日本経済新聞出版社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532260973
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◆目次◆
第一章 君、それ自分で確かめたか?
第二章 文章は誰が読んでもわかるように書く─記録と記憶の技術(1)
第三章 メモ/スケッチと写真を使い分ける─記録と記憶の技術(2)
第四章 情報は分類せずに配列せよ─記録と記憶の技術(3)
第五章 空想こそ学問の原点
第六章 学問とは最高の道楽である
第七章 知識人のマナー
第八章 できない人間ほど権威をかざす
第九章 生きることは挫折の連続である
エピローグ つねに未知なるものにあこがれてきた
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