2010年9月19日
【感動しました。】
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昔、メンターにこんなことを言われたことがあります。
「メディアの仕事は、光の当たらないところに光を当てることだよ」
それまでメディアに対する偏見を持っていた土井は、この言葉を聞いて、メディアの持つ潜在力と社会的意義を感じ、業界のために働きたいと思うに至りました。
書籍の世界でも、土井がお付き合いしている編集者は、こういうスピリッツを持った方ばかり。
なかでも、毎回感心させられるのは、ダイヤモンド社のヒットメーカー、寺田さんです。
1年で駅弁売上を5000万アップさせたパート主婦、日本記録量産の新走法「ポン・ピュン・ラン」など、よくこんなマニアックなものを見つけてくるなあと、嫉妬心すら感じてしまいます。
そんな寺田さんが今回目をつけたのが、仙台の山奥にある、秋保の小さなスーパー「主婦の店・さいち」。
わずか80坪の過疎地のスーパーながら、1日平均5000個、土日祝日には1万個、お彼岸の中日には2万個のおはぎを売るという、この店に、イトーヨーカ堂創業者の伊藤雅俊氏はじめ、全国600社超から視察研修依頼が殺到しているというのです。
どんなに原材料が上がっても値上げしない、当日中に食べないお客様には売らない、チラシを一切入れないという常識外れの商売スタイル。
にもかかわらずお客様が殺到しているのはなぜか。興味を持って読み進めて行くうちに、すっかり引き込まれてしまいました。
お客様の満足と安全、従業員の成長に対する責任、そして取引先に対する誠意…。
著者の経営にかける情熱が伝わってきて、不覚にも感動してしまいました。
『日本でいちばん大切にしたい会社』の坂本光司さん推薦ということで、黙っていても話題になりそうですが、ぜひ読んでいただきたい一冊です。
※参考:『日本でいちばん大切にしたい会社』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4860632486
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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さいちのお惣菜の原価率は60%。普通のお店よりずっと高いのですが、ロスゼロを実現しているので、40%は利益になります
いまでこそ「甘さ控えめ」が喜ばれますが、当時はまだそんな時代ではありません。それでも専務は、「ひとつ食べたらたくさんではなく、なんとしても2つ食べていただくようなものを」「お腹がすいているときには何個でも食べられるものを」と心に決めていた
専務はお客様にほめられたときは、「この子がつくったんですよ」と言って、そのお惣菜をつくったスタッフをお客様のもとに連れていきます。すると、その従業員はものすごい感動を受けるのです。従業員はお客様のことを頭に浮かべながら、ますます一生懸命にお惣菜をつくります。すると、またお客様がほめてくださる。「人はお客様によって育てられる」。そう確信した原点は、おはぎを始めたときにお客様にほめていただいた、あのときの感動にあるのだと思っています
おはぎはデパートや駅などいろいろなところに出していますから、万一の事故も考えなければいけません。何かあった場合は、たとえ“シロ”でも、検査のために最低3日間営業停止になってしまうからです。おはぎとお惣菜では役所の許認可が違い、おはぎは菓子関係、お惣菜は飲食関係となります。ですから、おはぎとお惣菜の調理場はドアで分離して、それぞれに許可を取っています。お惣菜をがんばることは、仮におはぎに何かあったときのリスク回避にもつながるのです
お新香は、長い物を1本買っても少人数の家庭では余ってしまうので、最初は「ひと切れ10円」で売りました。大根の漬物も長い物だと30センチくらいあるので、10切れずつ入れて100円のパックに。豆腐もひとり暮らしの人に1丁は大きすぎるので、半分とか4分の1に切って、小さな削り節としょうゆを置いておくと、ポンポン売れていきました
お惣菜の「惣」の字には「心」という字が入っています。お惣菜は「心の入ったもの」。お惣菜づくりにおいては、お客様を思う心が第一。心を忘れては絶対にダメなのです。心をこめてつくる。それが正しいことであり、それができるのが正しい従業員です。ですから、「見えない部分を大事にする従業員になってほしい」、私はいつもそう言っています
◆さいちの3つの心
1.どの家庭の味よりも、さらにおいしいこと
2.毎日食べても、飽きがこないこと
3.時間が経っても、そのおいしさが失われないこと
レシピがあると、「レシピどおりにつくって終わり」になってしまい、反省が生まれません。人は反省がなければ成長しないのです
商売はその日一日が終わったときにきちんと振り返ることが重要
私の問屋さんとのおつき合いの原則は、「価格交渉はしない」です。問屋さんに言うのは、「納得のいく商品を、おたくとの信頼関係においてお願いします」ということだけ
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『売れ続ける理由』佐藤啓二・著 ダイヤモンド社
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◆目次◆
プロローグ 人口4700人の町の小さな店に、なぜ、全国600社超
から視察研修依頼が殺到しているのか?
第1章 瀕死のどん底から、おはぎが1日2万個売れるようになった理由
第2章 同業他社でなく、「家庭の味がライバル」という非常識な商品ルール
第3章 「惣菜をつくる姿勢」をつくれ! さいち式・レシピなしの人づくり
第4章 売上・客数がぐんぐんアップする
門外不出の「アナログ閻魔帳」の秘密
第5章 チラシなしでも、家族の絆があれば、
お客様がひっきりなしに押しかけてくる
エピローグ
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