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『就活エリートの迷走』豊田義博・著 vol.2419


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【なぜ有望な新人が入社後すぐに挫折するのか?】
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―「採用したうちの8割の新人が戦力にならない」。

これは、本日の一冊のなかに登場する、リクルートマネジメントソリューションズのシニアコンサルタント、桑原正義氏のコメント。

そう、本日ご紹介するのは、深刻化する新卒社員の入社後ミスマッチに関する問題です。

著者は、就職ジャーナル、リクルートブックの編集長などを経て、現在はリクルートワークス研究所の主任研究員を務める豊田義博氏。

氏の人脈を駆使して得た、数多くの就活関係者からの話をベースに、現在の就職活動の問題を、プロの視点からあぶり出しています。

興味深かったのは、「成果が出せない新人の3つの傾向」のなかで3番目に紹介されている、「自分が思い描いた成長ルートから外れるとモチベーションが急落する」という点。

キャリアはそもそも偶然性のなかから生まれてくるものなのに、自分の中で「こうあるべき」と決めつけているわけですが、その決めつけは元々どこから生じたのか。

著者は、この原因をエントリーシート、つまり企業が学生に「やりたいこと」を問うからだと分析しています。

就活中、少ない人生経験と情報から導き出した「やりたいこと」が、いつしか思い込みに変わり、職場への柔軟な適応ができなくなってしまう。これが、早期退職や不適応を促進しているのです。

では、この現状を打破するために、就職活動はどうあるべきなのか。企業の採用活動はどうあるべきなのか。

本書の後半部分では、この点について、大胆な提言がなされます。

若い学生さんが読んだ時、どう思うかはわかりませんが、現在の就活の本質を突いた、なかなか興味深い論考だと思います。

採用担当者、就活生はもちろん、若手社員が定着せずに悩んでいる経営者も、ぜひ読んでみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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◆成果が出せない新人の3つの傾向
1.失敗を極度に恐れる
2.自分の能力を棚に上げて、要求ばかりする
3.自分が思い描いた成長ルートから外れるとモチベーションが急落する

「神奈川はいいが、茨城は困る」「なぜ大阪に配属してくれなかったのか」などなど。その多くは、生まれた場所、長く暮らしていた場所から通えるところ、という地元志向だ

「現代型うつ病」では、「あの会社が悪い」「あの仕事が悪い」「あの上司が悪い」「あの職場環境が悪い」などと、自分の内省は
さておき、自分の置かれた好ましくない現状を他者のせいだと責任転嫁する傾向があります

新人・若手である彼らが担当する仕事は、毎日伝票をチェックするとか、新規顧客開拓の電話を一日中掛けているという、いわゆる雑巾がけ仕事、下積み仕事ではなくなっている

自身の強い欲求やプライドが、すべり止めへの入社を受け入れない

インターネットは、もうひとつの強力な持ち味を発揮し始めた。インターネット上で、見ず知らずの学生同士が情報交換を始めたのだ

今や、企業の大小問わず、ほとんどの会社がエントリーシートを事前提出書類として設定し、「やりたいこと」を問うている。そんなにたくさんの会社が「やりたいこと」を問う必要があるのだろうか?自立型人材を本当に望んでいるのだろうか?

就活が歪めるキャリア観とは、ゴール志向を強く持ちすぎることだったのだ

採用とは、ほしい人を採ることである。その人が、自社に興味を持っていなかったとしても、この人間は当社で活躍できるはずだと思う人であれば、口説き落としてでも入社させる、という性格のものである。それなのに、第一志望であるかどうかを問うのはいかがなものだろうか?

「不信」の意識の高い人は「ゴール志向」も高い、という相関関係がある

求人広告は、広告ではなく狭告でなくてはならない

私は、縁故による紹介の復活を唱えたい

大学生を「お客様」扱いするのをやめよう。お客様に見せる顔ではなく、従業員に見せる顔で、大学生と接しよう

エントリーシートを廃止しよう

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『就活エリートの迷走』豊田義博・著 筑摩書房
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◆目次◆

序 章 あれから13年がたった。
第一章 優秀な若手を襲う「キャリアの危機」
第二章 就職活動は、どのようにして「就活」になったのか?
第三章 自己分析がもたらす悲劇
第四章 面接という舞台が生む錯綜
第五章 会社に“恋”をするという不幸
終 章 就活改革のシナリオ

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