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『スマートメディア』中村滋・著 vol.2396


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【マスメディアがダメになった本当の理由】
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昨年、2010年は「電子書籍元年」と言われ、多くのメディアが電子書籍端末やプラットフォームを紹介しました。

作家の村上龍さんが電子書籍ビジネスに参入したことも、大きな話題となりました。

しかし、土井はいろんなニュースを見ていても、どうも腑に落ちないのです。

そんな漠とした疑問に答えをくれたのが、本日ご紹介する一冊。

「BE-PAL」「DIME」「サライ」などの人気雑誌を次々と創刊したカリスマ編集長、中村滋さんによるメディア考です。

著者は、本書の冒頭で、「電子書籍になれば、本は売れるのでしょうか」と投げかけた上で、こう意見を述べています。

「すでに13年間も売上が落ち続けているものが、ただ紙から電子に移し変えただけで、なんとかなるとはとても思えません」

そう、本質はもっと違ったところにあるに違いないのです。

著者はこの本質を解き明かすべく、雑誌を百貨店にたとえ、現在苦しんでいる理由を説明しています。

つまり、問題は多様化と細分化に対応できていないことなのであり、対応するための打ち手は、必然的に絞られてきます。

本書では、こうした制約を受けながら、これからのメディアがどうなるべきか、どうすれば売れるのかを、著者なりの視点で示しています。

雑誌が生きのびるための4つの方法、電子雑誌のつくり方についての論考は、特に参考になりました。

出版ビジネスに携わる方はもちろん、情報化の本質を見極めたい方にとっても、役立つ一冊だと思います。

ぜひ読んでみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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かつて全国に2万店以上あった書店は、いまや1万5千店を割り込んでいます(中略)しかし、雑誌には、コンビニエンスストアという新しい販売拠点が加わりました。全国に4万数千店あるコンビニは、いまや雑誌販売の中心です

情報の価値とは、単純にいってしまえば、「意外性」です。雑誌づくりの基本は、「意外性」を編集することです。読者の知らないことにこそ価値があります。ニュースや実用情報、小説やマンガなどのフィクションでも同様です

情報格差という、マスメディアの拠って立つ大前提がフラット化によって失われつつある

調査によって、読者がケータイ・コミックに求めているのは、いつでもどこでも読める気軽さではなく、「好きなときに好きな作品だけを、少し読みたい」ということだとわかってきました

デパートは「百貨店」ともいわれるように、「百」の品揃えで顧客を満足させようとする。雑誌も「雑」多なおもしろさをとり集めて読者を楽しませようとする。「百」と「雑」のつくり方は、たしかに同じ

興味深いことに、情報環境が大きく動いていくときには、ほとんどの場合、音楽が先行します。音楽はいつでもトップランナーなのです。つまり、音楽業界の動向を見ていれば、ほかの業界の先行きもほぼ想像することができます

もはや、音楽業界はコンテンツ制作しかビジネスとして成立しにくいという時代を迎えています

脅迫情報を喜ぶ人たちは、おもに世の中に不平や不満、不安を持っている人たちです。経済成長をとげて人々の暮らしが豊かになり、成熟社会が到来すると、人間の本能にかかわる危機感はしだいに薄れ、社会や人生に対して不平、不満、不安を持つ人が少なくなっていきました

「そんな生き方をしていると、早死にしますよ」と、読者をひたすら脅迫する一般誌に対して、「こういう暮らしをすれば長生きします。こんな生活をしてみませんか」と提案するのが、ライフスタイル誌

◆雑誌が生きのびるために模索している方向
1.ニッチ化
2.ページ(情報量)の増大
3.大特集主義。あるいはムック化
4.大型付録つき

「売れるものをつくる」は、企業として当然です。しかし同時に、将来の市場を開拓していくのは、”新しいもの”です。多様化・細分化の進む成熟社会だからこそ、「自分が欲しいと思うもの」をつくらなければなりません、雑誌は本来そうでした

◆3つの次世代メディアの条件
1.個別に端末を持たない→「クラウド」
2.常時更新→「フロー」
3.個人仕様のカスタマイズ→「1to1」

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『スマートメディア』中村滋・著 デコ
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◆目次◆

1章 雑誌が売れなくなった理由を考える
2章 多様化と細分化にマスメディアは対応できない
3章 インターネットには限界がある
4章 次世代メディアの三つの条件
5章 スマートメディアのつくり方を考える

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