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『これからの「正義」の話をしよう』マイケル・サンデル・著vol.2137


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【ハーバード史上最多履修者の哲学講義とは?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4152091312

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本日の一冊は、ハーバード大学史上最多の履修者数を誇る哲学講義、「Justice(正義)」を書籍化した一冊。

履修者の数が延べ14000人を超え、あまりの人気ぶりに、ハーバードが建学以来初めて講義を一般公開。その模様がPBSで放送されたことにより、さらなる話題につながったようです。

日本ではNHK教育テレビで「ハーバード白熱教室」として放送されており、発売当初から、ものすごい話題となっています。

実際に読んでみると、内容的には政治哲学。

古今東西の思想や、昨今の社会的問題を紐解きながら、「幸福」「自由」「美徳」という3つの軸から「正義」について考えた、じつに知的な一冊です。

ハリケーン被害が起こったときの便乗値上げは正当化されるのか、金融危機後の企業救済で人々が怒ったのはなぜか、臓器売買や代理出産は間違っているのか、優秀な人間が手に入れたものをすべて自分のものにすると何が問題なのか…。

われわれが現代社会に対して漠然と思っていた不満や理不尽さに、思いっきりメスを入れた、じつに興味深い一冊です。

本書の考察は、われわれがどんな社会、組織を築くかの参考になると同時に、われわれがどう生きるべきか、その指針を示してくれています。

世間に流されることなく、自分自身の哲学を持って正しく生きていくために、ぜひ読んでおきたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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ハリケーン・チャーリーが通り過ぎた後で巻き起こった便乗値上げをめぐる論争は、道徳と法律に関する難問を提起している。商品やサービスの売り手が自然災害に乗じ、市場でつく価格であればいくらでも請求することは間違っているのだろうか。だとすれば、法律はなにをすべきだろうか

(金融危機後の企業救済に関して)怒りの源の一つは、ボーナスが強欲への褒美のように思えたことだった

ある社会が公正かどうかを問うことは、われわれが大切にするもの―収入や財産、義務や権利、権力や機会、職務や栄誉―がどう分配されるかを問うことである

あるインドの村の貧しい農夫が何とかして子供を大学に行かせたいと考えている。資金をつくるために、その農夫は片方の腎臓を移植を必要としている金持ちのアメリカ人に売る。数年後、二番目の子供が大学入学年齢に近づくと、別の買い手が村にやってきて農夫の二つ目の腎臓に高額な値段をつける。腎臓がなくなれば農夫は死ぬことになるが、二つ目の腎臓を売る自由を農夫に認めるべきだろうか

徴兵制を支持する市民の言い分は、陪審義務と同様、兵役は市民の責任であるというものだ。兵役は民主主義における市民権を表現し、深めるのである。この見方からすれば、兵役を商品扱いする―他人をお金で雇って兵役を肩代わりさせる―のは、それを支えている市民の理念を腐敗させることにほかならない

赤ん坊や女性の生殖能力をはじめ、金で買ってはいけないものがあるという点はどうだろう。具体的には、こうしたものを売り買いすることの何がいけないのだろうか。最も説得力のある答えは、赤ん坊や妊娠を商品として扱うのは、それらを貶めることになる、もしくはそれらを適切に評価しないことになる、というものだ

貶めるとは、対象となるものを扱うにあたり「正当な評価法よりも低級な方法で評価することである

他律的に行動するというのは、誰かが定めた目的のために行動することだ。そのとき、われわれは目的を定める者ではなく、目的を達成するための道具にすぎない

カントによれば、ある行動が道徳的かどうかは、その行動がもたらす結果ではなく、その行動を起こす意図で決まるという

心理学者によれば、生まれ順は本人の勤勉さや地道に努力する傾向に影響を与えると言う。ここにはハーヴァード大学に入学するための努力も含まれる。長子は第二子以下の子供よりも労働意欲が高く、稼ぎも多く、一般的な意味での成功を収める確率が高いとされる

笛を配るとしよう。最もよい笛をもらうべきなのは誰だろうか。アリストテレスの答えは、笛を最も上手に吹く人だ

功利主義的な考え方には欠点が二つある。一つ目は、正義と権利を原理ではなく計算の対象としていることだ。二つ目は、人間のあらゆる善をたった一つの統一した価値基準に当てはめ、平らにならして、個々の質的な違いを考慮しないことだ。自由に基づく理論は一つ目の問題を解決するが、二つ目の問題は解決しない

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『これからの「正義」の話をしよう』早川書房 マイケル・サンデル・著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4152091312

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◆目次◆

第1章 正しいことをする
第2章 最大幸福原理―功利主義
第3章 私は私のものか?―リバタリアニズム(自由至上主義)
第4章 雇われ助っ人―市場と倫理
第5章 重要なのは動機―イマヌエル・カント
第6章 平等をめぐる議論―ジョン・ロールズ
第7章 アファーマティブ・アクションをめぐる論争
第8章 誰が何に値するか?―アリストテレス
第9章 たがいに負うものは何か?―忠誠のジレンマ
第10章 正義と共通善
謝辞
原注

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