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『歴史の使い方』堺屋太一・編Vol.2059


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【ビジネスに役立つ、堺屋太一の歴史本】
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本日の一冊は、元経済企画庁長官で、歴史に造詣の深い堺屋太一さんが、「歴史の使い方」を論じた名著の文庫版。

土井はこれまで、数多くの著名人をインタビューしてきましたが、そのなかでも、もっとも「頭が良い」と感じたのが、この堺屋さん。

そんな堺屋さんが書いた歴史の本が、面白くないわけがありません。

冒頭で著者は、こんなことを述べています。

「歴史のアナロジーは、歴史に学ぶ警告であって、未来の予測ではない。歴史に学ぶとは、歴史を使って現実を判定することであって、歴史を真似ることではない」

では、歴史から一体何を学ぶべきか。

本書では、日本を中心とした歴史から、われわれビジネスマンが学ぶべき教訓を、著者がわかりやすく解説してくれます。

・人は大義では動かない。人を動かすのは、利害と恐怖である・治安あるいは文化が失われると、体制は崩壊する・時代が抜本的に変わっている時には、人事だけでは対処できない

また、これからの時代についても、「これからの情報は説得より共感を求めるだろう」と示唆に富んだ言葉を残しており、じつに興味深い内容です。

歴史ファンならずとも、ビジネスのヒントとして活用できる内容。

経営者、マネジャーにはぜひ読んでいただきたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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手持ち商品の不安定な商人は、草原の遊牧民でも、海洋の航海者でも、二十一世紀の知価社会でも、危険な存在である

技術の進歩を伴う経済の大成長は、西洋でも日本でも強大な軍事・政治勢力を生み、中小領主の没落を招いた

ピラミッドは自由なる民衆の自発的な勤労奉仕で造られた

古代は物質文明の時代だった。だからすべてが時代とともに大型になる。日本で栄えた古代物質文明の象徴といえば、奈良東大寺の大仏殿だろう。この大仏殿を過ぎると、規模が小さくなるが美意識は鋭敏になる。それを象徴しているのは宇治平等院だ

歴史を「練る」場合には、今はなくなったが、かつては有効だった技術やノウハウも考慮しなければならない

勝者を美化せず、敗者に同情せず

秀吉の成功には、敵の使者を見逃さず、それをすぐ中央司令部に連行した陣中規律の厳正さがあったことが挙げられる。また、京の茶人商人を手なずけていたことも勝利に繋がった

わずかな情報で大きな決断をしたことこそ、秀吉の成功を生んだ

実は総論に賛成していないから、各論に反対するのだ

「ボトムアップ」は「関ケ原」に始まる

人は大義では動かない。人を動かすのは、利害と恐怖である。それなのに人は、この世の中には「大義のある方に加担する者が多い」と考えるロマンだけは持っている。だから、大義のある側は過大評価されるのだ。非力な者が大敵を倒すには、まずは「大義」を掲げる必要がある

プロジェクト・メーキングの手順は、まずコンセプト(概念)を決める。次に大義名分を掲げる、そして、プロジェクトのスポンサーを探し、最後には世間が成功を信じるような慎重にして格式ある人物を総大将に担ぎ上げる

いつの時代、どこの組織でも業績が悪化し、運営が行き詰まると、まず人を代える。しかし、時代(経営環境)が抜本的に変わっている時には、人事だけでは対処できない

◆体制が崩壊する2つのケース
1.その体制では治安が維持できなくなった場合
2.その体制の支配階層の「文化」が信用と尊敬を失った場合

知価社会で重要な役割を果たす知価創造的産業では、主要な生産手段は働く者自身の持つ知識と経験と感性になる。このため、生産の組織はより属人的なジャズバンド型になる。組織は有能有志の人によって創られ、ポストはそこにいる個人の能力に合わせて伸縮する

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『歴史の使い方』日本経済新聞出版社 堺屋太一・編

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◆目次◆

第一章 歴史を「知る」
第二章 歴史を「楽しむ」
第三章 歴史を「練る」
第四章 歴史を「企てる」
第五章 歴史を「穿つ」
第六章 歴史を「合わせる」
第七章 歴史を「活かす」

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