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『心に響く小さな5つの物語』 藤尾秀昭・文 片岡鶴太郎・画 Vol.2053


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【涙が止まらない感動の実話】
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「ビジネスブックマラソン」を書き始めてもうすぐ6年。

手抜きと思われたら困るので、極力薄い本は避けようと思っていますが、それでも、内容が素晴らしく、思わず紹介したくなる本があります。

本日ご紹介するのは、月刊誌『致知』の編集長、藤尾秀昭さんが集めた感動のエピソードの数々を、片岡鶴太郎さんの絵とともに紹介した感動実話。

荒れた少年時代を送った作家・西村滋さんが母の愛を感じ、立ち直ったエピソードや、ひたむきな新聞配達の少年の姿を見て作家魂に火を灯したという詩人・高見順さんのエピソード。

計5つの物語は、いずれもわれわれに生きることの本質と働くことの意義を問いかけてくるもので、なかには涙なしに読めないエピソードもあります。

なかでも感動したのは、結核をうつすまいと息子に罵声を浴びせ、あえて憎まれつつ世を去った、作家・西村滋さんの母親のエピソード。

母の死後、家政婦から真実を告白されるシーンは、まさに衝撃そのものです。

「自分はこんなに愛されていたのか。涙がとめどもなくこぼれ落ちた」

氏は、真実を知ったことがきっかけで、その後更生し、著名な作家となっていきます。

人間愛の素晴らしさを、改めて教えてくれる、そんなエピソードです。

ぜひ他の4つのエピソードと併せて読んでみてください。

これはおすすめの一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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「僕が一流の選手になって試合に出られるようになったら、お世話になった人に招待券を配って応援してもらうのも夢の一つです。とにかく一番大きな夢は野球選手になることです」(イチローの作文)

「夢をみることは重荷を背負うことだ」と松下幸之助は言った

夢を持ち、その夢を実現すべく燃えることができるのは、全生物の中でも人間だけである。天から授かったこの能力をフルに発揮する人生を送りたいものである

十三歳の時だった。
少年は知多半島の少年院にいた。
もういっぱしの「札付き」だった。

ある日、少年に奇蹟の面会者が現れた。
泣いて少年に柩の中の母を見せようとしたあの家政婦のオバサンだった。

オバサンはなぜ母が鬼になったのかを話した。
死の床で母はオバサンに言ったのだ。

「私は間もなく死にます。
あの子は母親を失うのです。
幼い子が母と別れて悲しむのは、優しく愛された記憶があるからです。
憎らしい母なら死んでも悲しまないでしょう。
あの子が新しいお母さんに可愛がってもらうためは、死んだ母親なんか憎ませておいたほうがいいのです。
そのほうがあの子は幸せになれるのです」

少年は話を聞いて呆然とした。
自分はこんなに愛されていたのか。
涙がとめどもなくこぼれ落ちた。
札付きが立ち直ったのはそれからである。

作家・西村滋さんの少年期の話である。

作家で詩人の高見順の晩年の話である。
高見順は食道がんの手術を受けて病床に横たわった。
ふと窓外を見ると、激しい風雨の中を少年が新聞を配達している。
その姿に胸を揺さぶられ、高見順は一篇の詩を書いた。

なにかをおれも配達しているつもりで
今日まで生きてきたのだが
人びとの心になにかを配達するのが
おれの仕事なのだが
この少年のようにひたむきに
おれはなにを配達しているだろうか

ひたむきな新聞配達の少年の姿が晩年の作家魂に火を灯したのである

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『『心に響く小さな5つの物語』致知出版社 藤尾秀昭・文 片岡鶴太郎・画
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◆目次◆

第一話 夢を実現する
第二話 喜怒哀楽の人間学
第三話 人の心に光を灯す
第四話 人生のテーマ
第五話 縁を生かす

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