2007年8月25日
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本日の一冊は、ボーランドをはじめ、数多くの企業を成功に導いたシリコンバレーを代表するベンチャーキャピタリスト、原丈人さんによる注目の一冊。
アメリカ型資本主義に飲み込まれようとしている日本に警鐘を鳴らし、アメリカ流コーポレート・ガバナンスの問題点をズバリ、言い切っています。
本書の最大の読みどころは、ホリエモン以来、さかんに喧伝されてきた「会社は株主のもの」という主張を、明確に退けているところ。
著者によると、「この考え方をつきつめていくと、企業の目的は株
主にとっての価値を上げること、すなわち「株価を上げること」に
なってしま」う。
そのために行われる安直なリストラや資産の売却、その他さまざま
な数字のトリックは、短期的な数字を良くすることはあっても、長
期にわたって企業の繁栄に資することはない、というのです。
ROE偏重の経営や時価総額偏重の経営、そして減損会計、ストッ
クオプションの弊害…。これまであまりはっきりと語られていなか
った問題が、歯に衣着せずに語られています。
本書を読めば、世にいうヘッジファンドや「モノ言う株主」がいか
に問題のある存在か、ということがわかるに違いありません。
著者も述べているように、「本来あるべき企業の目的とは、優れた
商品をつくり、優れたサービスを提供し、社会に貢献すること」。
であれば、現在の異常な状態をどうやって変えていくべきか、そし
て今後、求められる商品・サービスをどうやって提供していけばい
いのか…。
ここに関しても、著者の個人的な見解が示されており、じつに読み
応えがあります。
現在の日本の問題点と今後のビジネスチャンスを知る上で、ぜひ読
んでおきたい一冊です。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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アメリカ流のコーポレート・ガバナンス(企業統治)の要には「企
業は株主のもの」という考え方があります。この考え方をつきつめ
ていくと、企業の目的は株主にとっての価値を上げること、すなわ
ち「株価を上げること」になってしまいます
時価総額というのは、その企業を今解散するとしたら、それが市場
でどう評価されるかを示したものにすぎません。本来あるべき企業
の目的とは、優れた商品をつくり、優れたサービスを提供し、社会
に貢献することのはずです
減損会計をはじめとする中途半端な時価会計主義の手法は、マクロ
経済の振り子の幅を大きくし、製造業をますます窮地に追い込んで
しまうもの
自らの未来に長年の蓄えを賭けるというのは、ごく当たり前の発想
なのです。また、戦争や災害といった想定外の外部要因に直面した
場合に、企業が顧客や従業員に対してもつ責任を果たしていくため
にも、内部留保は欠かせません
現在では株式の時価総額を増やすことが優秀な経営者という評価に
つながる。そのためには、有力なヘッジファンドに株式を買わせた
ほうが、他の資金も流れ込んで株価が上がります。あるいは、メデ
ィア受けする話題を常に提供して期待感を与え、人気のある株に仕
立てたほうが効率がよい。しかし、これではよい製品やサービスを
人々に提供するという本来の活動は、二の次になってしまいます
長期的な安定した発展のためには、上場企業はストックオプション
制度を取り入れるべきではありません
ヘッジファンドが狙う「資産はたくさんあるけれども収益力がよく
ない会社」はROEの低い、したがって株価の安い会社です。しか
し、遊休資産を売却すれば、簿価と売却価格の差額分は利益になり
ます。こうして得た現金を極端な増配という形で株主に配分させる
わけですが、彼らは同時に株価の値上がりによるキャピタルゲイン
を狙っているのです
誰もがサービス業を目指すようになったら、その社会は危ない
これからは「機械が人間に合わせる」ための方法を考える必要があ
ります。そうした発想が、次の新しい基幹産業を生むための原動力
となるはずだからです
人間は誰でも、クライアントだけでなく、サーバにもなりうる存在
です。人間のもつ本来のコミュニケーション形態により近づくため
には、クライアントサーバ型ネットワークでは不十分
現代のベンチャー企業は、ビジョンが資本と出会ったときに生まれます
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『21世紀の国富論』
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┃▼目次▼
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┃ はじめに
┃ 第1章 新しい資本主義のルールをつくる
┃ 第2章 新しい技術がつくる新しい産業
┃ 第3章 会社の新しいガバナンスとは?
┃ 第4章 社会を支える新しい価値観
┃ 第5章 これからの日本への提言
┃ おわりに
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