2007年8月22日
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最近、やや変化球気味のセレクションが続いていますが、今日は、とりわけ異質なジャンルからビジネスに役立ちそうな本を紹介します。
本日ご紹介するのは、『実践!パーソンセンタードケア』という本。本来は、認知症のケアをする介護職のために書かれた参考書です。
土井は以前にも、『ケアの本質』という医療・福祉分野の名著を紹介したことがありますが、これは人生において人をケアすることの本質を説いた、じつに貴重な一冊でした。
※参考:『ケアの本質』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4946509119
今回の本も、介護のために書かれてはいますが、マネジメントやビ
ジネスコミュニケーションにも通じる、普遍的な考え方が説かれています。
意思疎通の手段が限定された、極めて厳しい状況のなかで行われる
認知症介護のコミュニケーション。だからこそ、よりいっそうコミ
ュニケーションの本質が抽出されてくるのでしょう。
本書には、ケアする相手を知るために、どんなコミュニケーション
をすると有効か、相手の可能性を引き出すにどうすればいいか、ど
んな態度で接するべきかなど、示唆に富んだ話がいくつも登場します。
なかで紹介されているワークも、マネジメントの現場や研修、セミ
ナーなどで応用可能だと思います。
もちろん、本来、認知症ケアのために書かれている本ですから、ビ
ジネスパーソンにとって関係ない部分もいくつかあります。
とはいえ、経営者、教師、親など、人をケアする立場にある人なら、
きっと深い示唆を得られる一冊だと思います。
ぜひ読んでみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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自分がされたいことを人にしなさい
認知症がある人もその介護をする私たちも、病気とそれによって生
じる問題にばかり目を向けてしまう(中略)そうすると、病気にな
る前のその人、今でもそこに存在しているはずの人を見失ってしまいます
趣味よりもおそらくもっと重要なことは、その人の職業です
問題は、リスクのない環境を作ろうとして入居者の生活の質をひど
く損なってしまう場合が往々にしてあるということです
入居者の人生を描き出すとてもいい方法があります。アルバムに写
真を貼って記録を作るのです
スピリチュアル、宗教的な信条はとても深いレベルで生き続けるた
め、認知症が進行しても影響力をもち続け、命綱としてつかまるべ
き強力なロープになる
その人に必要な介護や支援を提供すると同時に、その人らしくいら
れる方法を見つけ出さなければいけません
基本的なメッセージは何なのかを考えるようにして、言われたこと
がそのまま相手の言いたいことだとは受け止めないようにしましょう
メッセージを伝える鍵となるのは、何を言うかではなく、その言い方です
よいケアワーカーであることの一つには、自分の限度を知り、いつ
立ち去るかを知り、いつ助けを求めるかを知っていることがあげられます
触ることは重要です。それは結局、人間の接触の最も原始的な形態なのです
強い感情を否定したり、主観的現実を軽視したりしない
重要なのは、認知症がある人が自分の選択権を行使できることで、
そうすることによって望むように自分の環境を形づくることなのです
通常、虐待が生じるのは強度のストレスのため
年をとると、信仰や死、人生の目的について考える時間が長くなります
代わってすべてをやってしまうことと、目的を達成するために手助
けしたり一緒にすることの間には、微妙だけれども決定的な違いがあります
◆ストレスへの対応方法
・自分らしい生活をして、身体が不快で不要なストレスにさらされ
ないようにする
・ストレスの原因を特定してそれを除去または減少させる
・ストレスによって生じる感情に対応する
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『実践!パーソンセンタードケア』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/488720535X
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┃▼目次▼
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┃ はじめに
┃ 序文
┃ 第1章 入居者のことをよく知ることからその人のためのケアが始まります
┃ 第2章 どうすればもっとうまくコミュニケーションができるのか
┃ 第3章 一歩先のコミュニケーションへと進めよう
┃ 第4章 居心地よく暮らせるように生きたケアプランを作ろう
┃ 第5章 お年寄りのメンタルヘルスについてきちんと知っておこう
┃ 第6章 よい状態を促し、虐待と不適切なケアを防ごう
┃ 第7章 日常生活の活動と地域社会との関わり
┃ 第8章 食事時間と飲食をもっと楽しいものに変えていこう!
┃ 第9章 もっと動いてもらおう!
┃ 第10章 落ち着きのなさと”徘徊”の理由を知って、入居者とも
┃ っとうまくつき合おう
┃ 第11章 身体介護をもっと楽しい時間に変えていこう!
┃ 第12章 どうすれば失禁を予防して、排泄のコントロールを維持できるのか
┃ 第13章 睡眠障害や痛みに正しく対応しよう
┃ 第14章 よりよりケアのために喪失やお別れについて知っておこう
┃ 第15章 スタッフへの挑戦的な行動にどう対応したらよいのか
┃ 第16章 お年寄りの性と性的ニーズを理解して対応しよう
┃ 第17章 家族や介護者への支援
┃ 第18章 質の高いケアとは何かを理解して実践しよう
┃ 第19章 生活や仕事のストレスに対応しよう
┃ この本を手にとってくれたあなたへ~訳者からの手紙
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