2011年12月27日
【人口から日本の未来が見えてくる】
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土井が大学時代に学んで、もっとも役に立ったと思う学問、それは「歴史人口学」でした。
歴史人口学とは、近代人口調査以前の過去の人口現象を研究する学問で、過去の人々がいつ結婚し、何人子どもを産み、どう死んでいったかを解き明かすもの。
あくまで過去のものであり、不正確な部分もありますが、それでもなぜ人口爆発が起こったか、人口減少が起こったかという、現代的な問題にも示唆を与えてくれる、貴重な学問です。
本日の一冊は、その歴史人口学の権威である鬼頭宏氏(土井の学生時代の恩師でもあります)が、日本の1万年にわたる人口変動を論じた一冊。
もともと1983年にPHP研究所から出されていた『日本二千年の人工史』を底本としたもので、人口変動のあった縄文時代、弥生時代、14・15世紀、19世紀~現代を主に論じています。
なかでも詳しいのは、江戸時代の宗門改帳をベースとした、江戸時代の話。
この時代の結婚、出産、離婚、経済や社会の動向を学ぶことで、現代のわれわれの経済・社会へのヒントも見えてくるのではないかと思います。
革命として期待されたインターネットは、結局人口増加をもたらすことなく、われわれは人口減少と社会の活力の衰退を余儀なくされていますが、そんな時代にどう生きればいいのか、著者はそのヒントも与えてくれています。
古い時代の話が多く、読みにくい部分もありますが、人口の歴史は、ビジネスマンが押さえておくべき教養の一つ。
年末、余裕のある時期に、ぜひ読んでいただきたい一冊です。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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稲作の導入は二つの面から人口を増加させた。一つは稲作の高生産力が日本列島の人口支持力を著しく上昇させたこと、そしてもう一つは水田耕作が多くの労働力投入を必要としたことである
年齢別有配偶率を見ると隷属農民と傍系親族の多くは晩婚であり、あるいは生涯を独身で過ごす者が多かった。したがって、この人々が自立ないし消滅して減少することは、社会全体の有配偶率を高め、その結果として出生率の上昇に結びつく。世帯規模の縮小が進んだ一六・一七世紀は婚姻革命の時代でもあった。こうしてだれもが生涯に一度は結婚するのが当たり前という生涯独身率の低い「皆婚社会」が成立したのである
十七世紀には年率一%にも迫る勢いで増加した人口も、十八世紀に入ると停滞局面を迎えた。それは、土地生産物にあらゆる資源を求め、しかも少なくともエネルギー資源と食料に関してみれば完全に「鎖国」体制をしいた農業社会が、必然的に直面しなければならない事態だった
初婚年齢の階層差は明瞭であり、しかも女子において著しかった。美濃国浅草中村(一七一六年以降出生で一八三一年以前に結婚した者)では、石高一八石以上の上層農民の初婚年齢は男二六・七歳、女一七・六歳だったのに対し、下層農民(四石以下)では男二八・二歳、女二二・六歳と、男子における差は僅かだったが女子では五歳もあった
平野部農村や都市部のように、就業機会に恵まれ、人々がより流動的な地域において、(結婚)持続期間が短いことも、離婚率の高さとの関連を想像させる
「貧乏人の子沢山」というのがある。いかにもありそうなことのように思われるが、江戸時代にはその反対の現象が一般的だった。農村では、土地を多く所有する家族ほど完結家族の出生数は多かったのである
一九九五年に人口密度が最も高かったのは埼玉県蕨市で一万四一〇〇人、東京特別区(二十三区)は二位で一万二八〇〇人でしかない
大都市で一度に大量の人命を奪ったのは災害と流行病であった。木造都市を度々襲う大火災と大震災。たとえば一七世紀中頃の明暦大火の死者は一〇万人余を数えると伝えられている。また安政地震は大火を伴い一三万人余の死者を出した
前近代の都市が高死亡率のゆえに人口を維持することができなかったと説明する見方を、ヨーロッパでは都市=墓場説という
低い出生率は高い死亡率とあいまって必然的に都市の人口自己再生産を困難にした。都市の労働需要を満たすためには、周辺農村から大量の人口流入が必要となったのである
工業化の進展は第一次産業就業者の割合を減少させた。第二次および第三次産業就業者の増大は都市化と結びついている。人口の都市集中、とくに七大都市圏への人口集積はそこに過密化をもたらし、農山漁村地域には人口過疎が深刻化した地域が生まれた。人口分布の状態は今後も大きく変わるとは思えない
少産傾向と核家族化は平均世帯規模を著しく縮小させた
核家族はライフ・サイクルの最終ステージでは老年の単独世帯を生む
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『人口から読む日本の歴史』鬼頭宏・著 講談社
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◆目次◆
序 章 歴史人口学の眼
第一章 縄文サイクル
第二章 稲作農耕国家の成立と人口
第三章 経済社会化と第三の波
第四章 江戸時代人の結婚と出産
第五章 江戸時代人の死亡と寿命
第六章 人口調節機能
第七章 工業化と第四の波
終 章 日本人口の二十一世紀
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