2011年12月23日
【ハーバード発、ビジネス倫理の教科書】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4903825086
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狂乱のITバブルに続く、ワールドコム、エンロンの破綻、サブプライムローン問題…。
人々が資本主義の矛盾や腐敗にうんざりした頃、東日本大震災が起こりました。
本日ご紹介する一冊は、2009年5月にハーバード・ビジネス・スクールを中心に創設されたビジネス倫理規範「MBAの誓い」を、創設者であるマックス・アンダーソン、ピーター・エッシャーが紹介した一冊。
各種の実験結果をもとに、人間がいかに不正に手を染めやすいか、人がいかに誘惑に弱いかを示しつつ、どうすれば企業が社会にとって意義ある活動をするよう促せるか、考察しています。
本書で紹介されている学務部長の例のように、誰しもレジで本来より高い値段を言われ、「待ってくれ、1.94ドルのはずだ」と言ったことがあるはずです。
そして同時に、相手が本来よりも低い値段を言った時、沈黙したことも…。
マイケル・サンデル教授のベストセラー『これからの「正義」の話をしよう』のように、本書もまた、倫理問題を読者に考えさせる、そんな内容です。
※参考:『これからの「正義」の話をしよう』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4152091312
違うのは、これが主にビジネスの問題を扱っているということ。
エリート層の読者であれば、本書で紹介されている「公正さのテスト」で、MBAと一般の回答結果に大きな乖離があることに驚くに違いありません。
値上げや商品回収、雇用やリストラ…。
経営者は日々、さまざまな決断を迫られますが、その際に本書の視点を持っておくだけで、社会的リスクを減らし、自身公正であることに誇りを持てるようになるでしょう。
さまざまなステークホルダーの利益を実現し、同時に社会に対する責務を果たすこと。
そのために、本書が大きなヒントとなるに違いありません。
ぜひ読んでみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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経営者たる自分の目的は、人々と資源を集め、一人では作り出せない価値を生み出すことによって、より大きな善のために尽くすことにある
消費者のためなら消え去るのもいとわないブランドほど、信頼できるブランドがあるだろうか。タイレノールを回収させたバークの決断は、アメリカのビジネス史における勇気ある英断の一つとして、いまなお広く賞賛されている
緊迫の時期にバークが決断をくだせたのは、価値観をあらかじめ持っていたからだ
ピーター・ドラッカーは、「人の魂が試される」逆境のときこそ、価値観が必要だと述べた
われわれ人間は創造のエネルギーを授けられている。創造するという行為そのものが、われわれに喜びや充実感を与える。今日も株主の利益のためにがんばろうと思って毎朝起きる従業員はあまりいない
何をよいと思うかが会社と消費者で一致すれば、世界はまさしくもっとすばらしい場所になる
聞いた話だが、人を雇うときは三つの特徴に注目するといい。誠実さと、知性と、エネルギーだ。そしてもし一つめが欠けていれば、残りの二つにひどい目に遭わされるだろう(ウォーレン・バフェット)
金物店が吹雪のあとにシャベルを値上げしたのは納得できるかと訊かれたとき、MBAの七五パーセントが「完全に公正である」あるいは「許容できる」と答えた。一般の人でそう答えたのは一八パーセントしかいない
自分が社長なのか、従業員なのか、株主なのか、消費者なのかを知らなければ、公正な判断をくだしやすくなる
皮肉にも、直感にしたがって行動するよりも、時間をかけて熟慮したうえで決断したほうが、人々は倫理に背くという結果が得られた
ミルグラムの実験はまた、結果を左右する要素の一つに犠牲者への近さがあることも明らかにした
強欲や野心に歯止めをかける第一歩となるのは、現在の報酬システムに組みこまれているインセンティブを見なおすことだ
一人が頂上にのぼるよりも、全員が無事に下山するほうが大事
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『MBAの誓い』マックス・アンダーソン、ピーター・エッシャー・著アメリカン・ブック&シネマ
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4903825086
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◆目次◆
1.企業はなんのために存在するか
2.人は自分が思っているほど倫理的ではない
3.株主と従業員、どちらが大切か
4.賢明な利己心は強欲とは異なる
5.法律さえ守っていればいいのか
6.透明性を高め、正直に伝える
7.学び続け、成長し続ける
8.持続可能な繁栄を生み出す
9.経営者の誓い
10.ビジネス・スクールで倫理は教えられるか
11.経営者はプロフェッションたりうるか
12.誓いに効果は期待できるのか
13.批判に対する六つの補足
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