2011年9月20日
【TPPで農業&地方経済が崩壊する?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4594063683
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毎日新聞が、こんな記事を発表していました。
<農業などあらゆる分野の関税撤廃を原則とする環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の交渉に、日本が参加するかどうかの判断を、日本政府が迫られている。米国が参加する貿易自由化協定であるため、政府与党内には「成長戦略に欠かせない」との主張がある一方、農業などへの影響を懸念する声は強い。TPP交渉参加9カ国が大筋合意を目指す11月末は目前だが、野田政権は難しい判断を迫られそうだ。【野原大輔、和田憲二】>
本日の一冊は、現在政治の焦点となっているTPPについてわかりやすくそのメリット/デメリットをまとめた一冊。
日本政府はこのTPPを進める考えのようですが、加盟すると、日本の産業に大きな影響が予想され、業界によって明暗がはっきりと分かれそうです。
たとえば、商社にとっては商圏が拡大する上、業務上の手続きが簡素化するため、メリットだらけ。小売も日本に居住する外国人が増えることによってお客が増えますが、地方自治体にとっては、政府調達開放に必要な新規コスト(資料の翻訳=税金から賄われる)が発生します。
この辺は、業界によって言うことが違ってきそうなので、情報発信者の利害関係に十分注意を払う必要がありそうです。
本書によると、TPPは農業だけの問題ではなく、公共事業や地方の中小企業に、甚大な影響を及ぼす可能性があります。
しかも、大きなリスクをはらんでいる割に、マーケットが広がるかどうかわからないということで、本書では、「もし日本にとって農業を守りつつ市場を広げたいのであれば、ペルー、コロンビアの2か国とFTA/EPAを結べばこと足りる」との見解を示しています。
もちろん、悲観派の書いた本であり、ここで示された見方がすべてとは言えませんが、巻末には実際の条文の和訳も付いており、TPPが何か、おおまかに把握するには、手頃な一冊だと思います。
ぜひ読んでみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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帝国データバンクによる全国1万社を対象としたアンケートでは「TPP参加が日本にとって必要」とする国内企業は65%にものぼる
反対側の旗印は何といっても「農業保護」でしょう。高い関税で守られている農産物の関税がゼロになってしまえば、農家にとってはまさに死活問題
TPPがFTA/EPAと決定的に違うのは、FTAはお互いの国情に合わせて譲れない分野を例外とし、残りの分野で関税撤廃などの連携を広げるのに対し、TPPはその例外を一切認めない
経済産業省はTPPに参加しなければ、2020年の時点でGDPが10兆5000億円減少するとし、内閣府も参加によってGDPが2兆~3兆円のプラスになるというデータを発表しています
農業・漁業者とその関連団体が反対するのは、コメの778%をはじめ牛肉は38.5%など輸入農水産物には関税がかかられ、もしその関税が撤廃されてしまえば、安い外国の農水産物が国内市場を席巻し一次産業が大きな痛手を負うからです。北海道の試算によると、地域経済の損失は2兆1254億円に及び、道内全体で17万3000人の雇用が失われるとしています
農林水産省もTPP参加で約4兆5000億円の生産減となり、食料自給率は40%から13%に低下し、関連産業も合わせた影響額はGDPが8兆4000億円減少、350万人の雇用が失われるという試算を出しています
TPP参加によって日本的なローカルルールが規定に抵触するということは、終身雇用や社会保障が否定されるということと同義
入札価格の基準ラインが下げられることで、市区町村レベルの公共事業でも大型案件はすべて国際競争入札の対象になる
基本的にはTPPによって貿易障壁のない「商圏」が広がります。それだけでなく、商社にとっては手続きの平準化、特に「原産地表示」と「貿易手続き」の面でその負担が軽減されるでしょう
日本経済においては景気変動における労働需要の変化に対し、建築業が事実上の安全弁として機能してきた歴史があります。またデフレが続いている現在でも、この「雇用維持機能」や「景気浮揚機能」としての公共事業は地方ではより重要な役目を果たしています。しかしTPP加盟後は海外企業が落札してしまい、今まで景気対策や雇用対策として機能していた公共事業がその機能を失ってしまうかもしれません
アメリカは自動車や工業分野などお互いの得意分野が重複しているため、日本とは「利害対立国」です。これらの利害対立国を除くと日本がFTA/EPAを結んでいない国は事実上ペルー、コロンビアのたった2か国だけになってしまうのです。もし日本にとって農業を守りつつ市場を広げたいのであれば、ペルー、コロンビアの2か国とFTA/EPAを結べばこと足りる
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『TPPが日本を壊す』廣宮孝信・著 青木文鷹・監修 扶桑社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4594063683
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◆目次◆
第一章 拙速
第二章 功罪
第三章 思惑
第四章 崩壊
第五章 選択
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2011年9月19日
【ビジネス書を書く人のための文章論】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/476313180X
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本日は、発売前から編集者がツイッターでつぶやき、関係者の間で盛り上がっている、話題の本を紹介。
累計40万部を突破したインタビュー本をはじめ、数多くのビジネス書を書いているライターの上阪徹さんが、その文章術をまとめた、『文章は「書く前」に8割決まる』です。
どんな業界にも、プロに支持されている職人がいるものですが、上阪さんはビジネス書業界にとって、まさにそんな人物。
これまでに3000人以上の経営者、有名人を取材し、広告から雑誌記事、書籍までを幅広く手掛けてきた著者ならではのノウハウが、バッチリ収められています。
すでにミシマ社から『書いて生きていくプロ文章論』を出しているのに、なぜまた文章論の本を? と思う方がいらっしゃるかもしれませんが、建前としては、こちらはビジネスパーソン向け。
※参考:『書いて生きていくプロ文章論』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4903908232/
しかしながら、読んでみた感想としては、抽象的な心構えが多く、むしろ普段、仕事で書いている人が、気づきを得るための啓発書という印象を受けました。
なかでも参考になったのは、文章を書く上で考慮しなければならない「相場観」という概念。
読み手が今、どんな状況にあるのか、社会が今、どんなムードを持っているのか、「相場観」を意識して書く、という教えです。
そして強烈に反省させられたのは、<「依頼」に必要なことは、熱意>というフレーズを見た時でした。
じつは最近、何人か著名な人物に講演依頼をして、断られたケースがあったのですが、欠けていたのはこの「熱意」だったということに気づかされたのです。
結局、それがビジネス書であれ、会社の報告書であれ、文章で大切なのは、相手への「配慮」。
本書は、この「配慮」について学べる一冊です。
読んでいて、かつて師匠から教わった文章の心得をすっかり忘れていたことに気づき、猛烈に反省させられました。
平易な文章で書かれているので、初心者からプロまで幅広く読むことができますが、個人的には、普段書いているプロにこそ、読んで欲しい一冊だと思います。
店頭に並ぶのは21日のようです。ぜひ早めにチェックしてみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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大事なことは「書き始める前」にある
「どう書くか」をいくら学んだとしても、文章を書くことはできません。文章でもっと大事なことは、「何を書くか」だからです
「誤字脱字」は相手の信用を失墜させる
書き手がちゃんと理解して書いている文章は、そうでない文章と印象がまるで違うことに気がつきました。“借り物”感がないのです
「いい文章」が定義できていないのに、「いい文章」は目指せない
「AERA」に限らず、「週刊現代」や「週刊文春」などの週刊誌もそうなのですが、大衆を相手にしつつ、クオリティも重視した雑誌ですから、文章のわかりやすさとしては相当なレベルにあります。ずばり私が、文章のお手本としてお薦めするのは、こうした週刊誌です
手垢のついた言葉は使わない
「批判的な文章というものには、落とし穴がある。なぜなら、自分がうまい文章を書いているかのように思えてくるからだ。批判的な文章というのは、実はとても書きやすい。だからこそ、安易に批判的な文章に走らないよう、注意しなければならない」
(ある大ベテランのジャーナリスト)
わずか一行でもいい。ワンフレーズでもいい。その人が相手だからこそ書ける内容を見つけて、書いてみる。その相手のためだけに書いてみる
「報告」は相手を安心させるためのもの
どうしても「お願い」「依頼」を引き受けてほしい、という気持ち。そして、この「お願い」「依頼」の相手は、あなたでなければならない、という理由です。それを熱く語って(書いて)いく
業績好調な上司に伝えるのと、業績不振の上司に伝えるのとでも異なる。文章には、さまざまな付帯状況がある、ということを認識しておく必要がある。それこそが「相場観」なのです
理解をしないといけないのは、自分自身がまわりからどう見られているのか、という「相場観」です。それによって、求められる文章は変わっていく
会社の企画書でも、レポートでも、プレゼン資料でも、大事なことは、具体的な「事実」や「話」をひとつでも多く盛り込むことです。そうすることで、読み手はぐっと興味を持ってくれます
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『文章は「書く前」に8割決まる』上阪徹・著 サンマーク出版
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/476313180X
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◆目次◆
chapter1 まずは、伝える「難しさ」をしっかり認識する
chapter2 自分の「お手本」を見つける
chapter3 書く「目的」、読む「相手」をはっきりさせる
chapter4 的を外さない「相場感」を磨く
chapter5 伝えたいことを「整理」し、「構成」を考える
chapter6 文章の「技術」は意識しない
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2011年9月18日
【デザインセンス革命?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4797367075
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本日の一冊は、広告代理店および制作会社にて、三菱電機や日清食品、服部セイコーなど、大手企業のクリエイティブを担当してきたアートディレクターが、『デザインセンスを身につける』ための考え方とプロのデザインルールをまとめた新書。
土井はこの著者のウジトモコさんと知り合いなのですが(知人だからといってえこひいきはしません、念のため)、先日お会いした時に、面と向かってこんなことを言われました。
「土井さんは今のままで満足なんですか? もっともっとご自分のビジネスをたくさんの人に広げていける可能性があるのに、どうしてデザインを疎かにするんですか?」
…疎かにしているのではなく、「まったくわからないから」というのが本音なのですが、確かにそうなんです。
アップルのスティーブ・ジョブズの例を出すまでもなく、優れたCEOはデザインの持つ戦略性を知っているし、それを生かしてもいる。
ただ、土井のようにまったく基礎を学んでいない人間にとっては、何がまずいのかさえ、見えていない。見えていないから、改善の必要性が感じられない。
これが、多くの中小企業がデザインに取り組むことができない、本当のところではないでしょうか。
本日ご紹介する一冊は、あなたの会社(個人の場合、あなた個人)のデザインの何が悪いのか、知識ゼロでもわかる一冊。
おまけに、どうすれば良くなるのかといった処方箋、さらには優れたデザインをするためのプロのルールや技も提示されています。
海外展開で苦戦する日本メーカーと成功しているグローバルブランドの広告のカメラアングルの違い、K-POPが魅力的に見える理由、プロが教える色選び、フォント選びのコツなど、うんちくとしても興味深い。
これで新書価格=たったの760円(+税)となると、これはひさびさに「買い」の一冊と言っていいでしょう。
ツイッター、フェイスブック、ブログ、HP、いずれか一つでもやっている人は、ぜひ本書を読んで自社の表現、デザインをチェックしてみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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広告の世界では「王道」とされているコミュニケーション手法の一つに「ワンキャッチワンビジュアル」というものがあります。一つの決めゼリフには、何枚もの絵をくっつけるよりも一枚の絵で勝負するという意味です
大きく近づいた顔を見せれば(これをフェイス率を上げるといいます)、対象との位置関係は近くなり、「いい放つ感じ」は強くなっていきます。悪くいえば「押し」が強まる感じです。この同じ写真をぐんと引いて、全体像を見せるようにしていくと、控えめでおだやかな物言いをしているように感じたり、もともと考え深い人であるような印象になっていきます
ツイッターのタイムラインは、上から下に流れていく設計になっていますが、上杉さんのアイコンは構造の流れに常に逆らって、斜め上に向いているのです。この動きは、とても目を引きます
グローバル展開で躍進を続けるほぼすべてのブランドは、「ローアングル」「アドバタイジング(広告向け)カット」のアングルを採用し、ブランドの価値と、デザインからの主張、「ね、ウチの製品って本当にクールでしょ? 格好いいですよね?」というような「見せ場づくり」と感情的価値の共有に集中しています
最近の例でいえば、K-POPのすらりと足の長い女性アイドルグループが出演しているプロモーションビデオなどで見かける
1.低い目線から狙うカメラ(ローアングル化)
2.V字になって整列(強い構図)
3.2の形になることによって、V字のトップすなわちセンターに
どうしても視点が集まる(1点フォーカス)などは、まさに、視覚伝達の「教科書通り」の演出
「色を選ぶこと」それ自体になりたいものに近づく強い影響力がある
トーン・アンド・マナーの中心ともなる考え方は、クラスとタイプという2軸のマトリックス
「クラス感」のあるデザインの基本は、デザインの目的にあったフォントを正しく選び、使うこと
気の利いた地図というのは、人の「誘導の技術」そのものでもあり、最終的な入場動員数と大きく関わってくることがあります
失敗するプレゼンシートに見られる問題点は、大まかにいって「期待感の欠如」「情報デザインの失敗」「インパクトへの過剰依存」「情報過多」の四つにまとめられます
「冒頭演出の技術」として、期待感のデザインはとても重要
キャラクターをつくる前に、まずはしっかり「アイデンティティ」を磨いておいた方がいい
人間の目が二つあるのは「たくさんのものを同時に見るためではない」
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『デザインセンスを身につける』ウジトモコ・著 ソフトバンククリエイティブ
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4797367075
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◆目次◆
はじめに
第一章 センスとは何か
第二章 なりたい自分をデザインする技術
第三章 プレゼンはデザインで勝負
第四章 デザインでブランドが育つ
第五章 デザインがわかると未来が見える
おわりに
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2011年9月17日
【インドの13歳が書いた投資本】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4484111136
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本日の一冊は、現在インドでベストセラーになっている、何と13歳の少年による投資本。
世界一の投資家、ウォーレン・バフェットとその師匠であるベンジャミン・グレアムの投資原則をまとめた本ですが、驚くべきは、この少年の株式投資に対する理解と洞察です。
それもそのはず、じつはこの少年の父親はインドで成功している投資家であり、著者は本書を書き上げるにあたって、インドでもっとも成功しているというプライベート・エクイティの投資家、アシシ・ダーワン氏、さらにはMBAの学生に行動ファイナンスを教えているサンジャイ・バクシ教授からそれぞれ助言をもらっているのです。
既にバフェット、グレアムの投資哲学を学んだ人には既知の内容も多いと思いますが、ここまでわかりやすく書かれた本は珍しい。
また、著者が2人の投資基準を用いてインドの有力企業を分析したくだりは、類書にない魅力であり、一読の価値があると思います。
インドの大富豪に共通している点、バフェットがいうところの「堀」を築いているインド企業の特徴など、現在インド投資を考えている人には、きっと参考になるに違いありません。
いずれにしても、バフェット、グレアムの投資をここまでわかりやすくコンパクトにまとめた本は珍しい。
これを13歳が書いたなんて、とても信じられません。
騙されたつもりで、ぜひチェックしてみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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わたしは、ビジネスマンであるがゆえに、より優秀な投資家であり、投資家であるがゆえに、より優秀なビジネスマンである
(ウォレン・バフェット)
株式を買うときは、香水を買うようにではなく、日用品を買うのと同じように買いなさい
(ベンジャミン・グレアム)
◆『賢明なる投資家』から学べること
・物事を成し遂げるには熱中することが必要だが、こと株式投資に限って言えば、ほぼまちがいなく、熱中は悲惨な結果を招く
・ビジネスの成長が明らかに期待されるからといって、投資家に確実に利益がもたらされるとは言えない
過小評価されている会社を探すことは、いつでも大切なテーマで、まさにグレアムのカギとなる教えのひとつだ
有望にみえるけれど、自分の専門外の投資の機会もたくさんあると思う。でも、このような投資案件は、絶対に避けなければならない。ぼくのお父さんは、このことを「誘惑を征服する心」と言っている
ウォレン・バフェットはこんなことを言っている。「分散は、われわれ自身の無知に対するヘッジである。自分がしていることがわかっている者にとっては、分散はまったく意味のない行為である」
「ウォール街は、お金を活発に動かして利益を得る。あなたはお金を活発に動かすことなく利益を得るのだ」(ウォレン・バフェット)
借金は、好調なときには投資リターンを引き上げる梃子の効果があるけれど、逆に不調なときには、事業を吹き飛ばしてしまう
財務諸表の脚注を読まない人が多いが、株主の利益を減らしてしまうストックオプションやワラントがあるが、不正な会計操作がなされていないかなどが脚注からわかる
「経済的なリターンで計測される経営者の成績は、ビジネスというボートをどれだけ効率的に漕ぐかよりも、どのビジネスのボートに乗り込んだかによって決まるものだ」
(ウォレン・バフェット)
◆バフェットが重視する「お堀」
1.ブランド 2.低コスト 3.独占 4.感動的なサービス
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『バフェットとグレアムとぼく』アリャマン・ダルミア・著 阪急コミュニケーションズ
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4484111136
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◆目次◆
第1話 ぼくがこの本を書いた理由
第2話 なぜ、ベンジャミン・グレアムから学ぶべきなのか?
第3話 なぜ、ウォレン・バフェットから学ぶべきなのか?
第4話 マーケットを理解する前に、なぜ自分を理解することが大切なのか?
第5話 良い投資をするための、目のつけどころはどこか?
第6話 投資を実行したあとは、どうすればいいか?
第7話 市場の非効率性を生かして、どうやって儲けるのか?
第8話 グレアムとバフェットの生き方から何を学べるのか?
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2011年9月16日
【美しく怒れ】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4041100240
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こんにちは、土井英司です。
本日の一冊は、かつてチクマ秀版社より刊行された『眼 美しく怒れ』を底本として改題し、新書化した一冊。
大阪万博「太陽の塔」や、「芸術は爆発だ!」の名言で知られる岡本太郎が書いた、自己啓発書です。
最近は、『怒らないこと』や『怒らない技術』などの「怒らない本」が軒並みベストセラーになっていますが、本書はこれらの真逆を行く思想。
※参考:『怒らないこと』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4901679201/
※参考:『怒らない技術』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/489451818X/
いわく「憤り、己れをつらぬき、表現することこそ、最も純粋な人間の証しである」。
著者はまえがきでさらに、こう説いています。
「私は今日、憤るという純粋さを失い、怒るべきときに怒らないことによって、すくみ合い、妥協し、堕落している一般的なずるさと倦怠が腹立たしい。世の中が怒りを失っていることに、憤りを感じるのだ」
確かに、最近の社会を見ていると、言うべきことを言わず人間性を失っている例がどれほどあることか。
ネットが普及し、叩かれることを恐れることで、ますます人々が萎縮し、積極的な活動が妨げられていると感じています。
それがビジネスであれ、芸術であれ、新しいことを始める時は、決まって「憤り」が原動力になっているもの。
政府への不満、現状のサービスへの不満、商品への不満…こうしたものが社会を発展させるとしたら、憤りを失った社会が勢いを失っても仕方ないのかもしれません。
仮に社会が受け入れなくても、自分だけは静かに燃えている人間になりたい。
そんな起業家精神あふれる人に、ぜひ読んでいただきたい一冊です。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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世界をこの眼で見ぬきたい。眼にふれ、手にさわる、すべてに猛烈に働きかけ、体当りする。ひろく、積極的な人間像を自分自身につかむために。純粋な衝動である。そんな情熱が激しく噴出するとき、それは憤りの相を呈する。だから、私は怒る。また大いに怒らなければならないと思っているのだ
言うべきことを言う。憤りを、生きがいとしてつき出してゆく。抵抗の火の粉を身にかぶる。楽しいではないか
はじめケチクサイ怒りでも、突っ込んで考えると、もっと広い、底の方に問題があることに気がつく。見きわめれば見きわめるほど、怒りが深くなる。すると、怒りは、自分のスケールから離れて、豊かに、透明になるのだ
あらゆる商品同様、買手は人気のある型に集中してしまう
純粋な人間は、だから猛烈な矛盾の中に生きぬかなければならない。ルールをまもる、と同時にそれをしりぞける意志によって
まことに代用時代。代用といえば、私は今日のスポーツのあり方にも文句がある(中略)スポーツがこのように、ショーとしてばかり栄えて、みんなが自分の身体を動かす方はやめてしまう。これが馬鹿馬鹿しい
代用の生きがいにうつつをぬかして、自分をごまかしてしまうのは空しい。なま身をぶち込み、賭けるのが、人生レースの本当のルールなのだ
思想というものは、まもり貫くことにおいてある。それは、ほとんど常に一般の情勢とは悲劇的に対立する。しかし、その対決によって、世界は充実するのだ
考えてみると、人生には、世渡りと、ほんとうに生きぬく道と二つあるはずだ
人間は、必ずしも成功することが喜びであり大事なのではない。戦って、後にくずれる。その絶望と憤りの中に、強烈な人生が彩られることもある
“何々のために何かをする”のではなくて、無条件、無償の生命力の輝き。凝滞なく動きながら、瞬間瞬間、よろこびがあふれる生き方
私は成熟ということを信じない。年をとって、経験や馴れによってつけ加えるものなんて、人間にとってそんなに本質的だとは思えないからだ。世馴れた人なんて、ちっとも楽しくない
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『美しく怒れ』岡本太郎・著 角川書店
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4041100240
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◆目次◆
第1章 美しい日本人として怒る
第2章 残酷な青春
第3章 子供こそ人間
第4章 人生は遊び
太郎の眼 岡本敏子
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2011年9月15日
【岡本吏郎氏が説く、本格中小企業会計】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/447800840X
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本日の一冊は、ベストセラー『会社にお金が残らない本当の理由』の著者、岡本吏郎さんによる、骨太な会計本。
※参考:『会社にお金が残らない本当の理由』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4894511576
中小企業経営における税務会計(税金を計算するための会計)の弊害は、これまでも唱えられてきましたが、どうすれば経営の実態に即した会計が実現できるのか?
実際に知る手段はあまりなかったように思います。
この『実学中小企業のパーフェクト会計』は、どうすれば税法による歪みを修正することができるのか? 思わぬキャッシュ不足の状態を避けることができるのか? 健全な経営ができるのか?
そのヒントをまとめた、じつに読み応えのある一冊です。
第一部で中小企業会計の歪みを修正する方法と資金繰りを説明し、第二部では、貸借対照表と損益計算書の構造、財務分析の問題点を指摘、第三部では、理想の中小企業の管理会計について論じています。
読んでいて最も感銘を受けたのは、「私たちの経営成績は、選んだ業種や商品である程度決まってしまう」「しかし、独自の貸借対照表の構造を時間をかけて作り上げている企業がたくさんあるのも事実」という部分。
経営には、構造に負けない知恵と工夫、努力の余地があると知って、希望が湧きました。
実際に中小企業経営に携わっていない方にはちょっと難しい内容かもしれませんが、以下の2冊と併せ、「起業家会計3点セット」ということで、起業を目指す人にはぜひ読んでいただきたい。
※参考:『資金繰らない経営』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4844371304
※参考:『起業家のための「手ガネ経営」で勝ち残る法』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4534041144
起業で成功するには、会計的な面からも、目指すところを定める必要があるということだと思います。
分厚い本ではありますが、後半はマーケティングの話などもあり、すべてが会計というわけではありません。
また管理会計を効果的に進めるにあたって、必要な指標や資料などがたくさん載っているので、資料価値も高いと思われます。
ぜひ読んでみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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最も大きな歪みは、税務が定める減価償却資産の耐用年数が原因で起きています
建物の耐用年数は20年。誰もが気づくことと思いますが、このレストランが20年という期間、この場所で続けていけるでしょうか
棚卸資産の評価基準は原価法と低価法の2つがあります。原価法とは、棚卸資産の取得価額を帳簿価額とする方法です。それに対して低価法は、取得価額よりも時価が低い場合には時価を帳簿価額とします(中略)仮に時価の選定が難しいとしても、低価法の選択をしておくべきです。なぜならば、税法には会社法で認められている強制低価法の基準がないからです
老朽化した倉庫の場合、取壊しの必要があることが多いはずです。そうすると、取壊し費用を引き当てる必要もあります。つまり、この帳簿価格200万円の倉庫は200万円の価値どころかマイナスの価値にすべきです。そこで、2010年4月より導入されたのが「資産除去債務」です
税務の規定によって企業の利益が実態よりも多めに算出されてしまう
一括償却資産に計上されている資産は、従来はすべて費用として処理がされていたものです。したがって原則は、すべて簿価をゼロとして費用化すべき
前払費用は、原則全額を費用処理します
不良在庫は処分がされていなくても、全額を経費処理すべき
業種を決めてしまえば、貸借対照表の構造はだいたい決まってしまいます。運輸会社のような貸借対照表構造を持ったドラッグストアーはありません
収益力が格段によい企業が、同業他社に対して独自の貸借対照表構造にある
損益分岐点売上高の算出をすると、生存ボーダーラインを知ることに意識が行きがちですが、そうすると、現在の収益構造を受け入れた前提での必要売上高の算出に終始することになってしまいます
決算日が休日の決算書では、売掛金や買掛金などの残高をはじめ、金融機関などの休暇により数値が異常になるものや、休日の販売増に伴い棚卸資産などの残高が通常の残高よりも少ないなど、経営分析そのものが役に立たなくなる事象が内包されています
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『実学中小企業のパーフェクト会計』岡本吏郎・著 ダイヤモンド社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/447800840X
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◆目次◆
第一部 問題提起──中小企業会計の現実
第1章 中小企業会計の歪み──無意識のうちに現実から乖離する構造を知る
第2章 中小企業会計の調整──大きな2つの歪みを正す
第3章 中小企業の資金繰り──会社にお金が残らない理由とは
第二部 会計とは──どう使うかで会社の思想が出る
第4章 貸借対照表の構造──いかに独自のものに変えていくか
第5章 損益計算書の構造──利益と残高の違いを理解する
第6章 財務分析の間違い──業界の標準や平均は意味がない
第7章 趨勢分析と一人当たり分析──理想的な構造を作るために
第三部 中小企業の管理会計──使い倒すための技術
第8章 ボトムライン(ROA)──当期純利益より有効な指標とは
第9章 売上高経常利益率を上げる
──限界利益率を上げる方策と固定費を下げる方策
第10章 総資本回転率を上げる──売上高の拡大と総資本の減少
第11章 財務指標の構造分析──ROAの全体構造を理解する
第12章 キャッシュフロー
──当期純利益、ROAと並ぶ3つ目のボトムライン
第13章 財務レバレッジ──中小企業に必要な財務戦略
第14章 営業レバレッジ──自社の収益構造を知る
第15章 顧客価値計算(EVCO)──すべての中小企業に必要な視点
第16章 税務戦略──企業としての当然のコストと捉える
第四部 中小企業会計再論──会計を知ることで会社はよくなる?
第17章 一つの家族の物語
第18章 会計における重要な真実
第19章 おわりに
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2011年9月14日
【出張の多いビジネスマンのための雑学】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4413095189
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いろいろと迷ったのですが、本日はちょっとゆるめの雑学本を紹介します。
出張の多いビジネスパーソンには、きっと重宝する、その名も『関東のしきたり関西のしきたり』です。
東京にいる方であれば、初めて大阪に行った時、「エスカレーターは右なんだ!」と驚いたことがあるはず。
大阪の方であれば、逆ですね。
(ちなみに弊社のS君によれば、広島は右左どちらもあるそうです)
本書は、こんな関東と関西の違いを、トイレットペーパーのシングルとダブル、パンの薄切り・厚切り、卵焼きの甘い・薄味など、じつにさまざまな点から比較している雑学本です。
ちなみに土井が驚いたのは、関西ではものもらいのことを「めばちこ」、月極駐車場のことを「モータープール」と呼ぶという事実。
じつは先日、関西出身の知人が「めばちこになってしまってん」というのを聞いた時、とっさに「あ~、それは大変だね」と適当に生返事をしたのですが、本書を読んで初めてその意味がわかりました。
正直、ここまで違うのかと驚いた次第です。
BBMでは珍しい、とってもゆるい雑学本ですが、関西の人も、関東の人も、読んでおいて損はない一冊だと思います。
ぜひチェックしてみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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東京を中心とした関東では二枚重ねのダブルロールタイプが主流で、一方の関西ではシングルロールの方が人気が高いようだ。クリーンネットサービス株式会社の調べでも、ダブルロールを使う人の割合は関東地方が過半数の67.1%に対して近畿地方では43.9%と、大きな開きがある
全国でトイレットペーパーを最も消費している県は「沖縄県」。1カ月のトイレットペーパーの使用量は、一人につき全国平均が3.3ロールなのだが、沖縄県ではなんと倍近くの6.19ロール
関東では食パンは6、8枚切りの薄切りタイプが、関西では5枚切りの厚切りタイプが最も人気がある
東日本タイプのどん兵衛は、カツオの香りを強めにして濃口しょうゆで仕上げている。一方、西日本では、昆布が多めのだしで薄口しょうゆを使用。実際に見比べてみると、東西タイプでつゆの色もあきらかに違うようだ。また、カップ本体とフタに、東日本タイプはEASTの「E」、西日本タイプはWESTの「W」の表示が印刷されている
関東では「豚肉」を使う家庭が主流なのに対し、関西では圧倒的に「牛肉じゃが」が多い
「肉豆腐」「肉うどん」「肉野菜炒め」等、関西人は無条件で“牛肉入り”と認識。牛ではなく豚肉が使われているなら、きちんと“豚”とメニューに入れて強調しないと関西の人間は納得せず、「何や、これ。肉野菜炒めちゃうやん。“豚野菜炒め”やんけ!」などと、クレームが寄せられてしまうことも考えられるのだ
ポールウィンナーは年間約1億本も売れる伊藤ハムの人気食品だが、その約95%が関西での消費だという
関西圏では唯一、京都だけが「保証金」ではなく、関東の「敷金・礼金」方式を採用している。ただし、その額は高めに設定されていて「敷3・礼3」が相場
石油ストーブの燃料を入れる家庭用灯油ポリタンクは、東日本では赤が、西日本では青が主流
関西人に、関東のノリで「バカ」といおうものなら本気でムッとされてしまうはず
関東では「シャベル」というと、ちょっとした庭いじり用のあの小さいタイプを指し、「スコップ」は、道路工事などでも使われる本格的で大きなものをイメージする。ところが関西では、これがまったく正反対
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『関東のしきたり関西のしきたり』話題の達人倶楽部・編集 青春出版社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4413095189
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◆目次◆
第1章 これだけはハッキリさせたい! 関東と関西の謎
第2章 うちの味が一番! おいしさ徹底対決
第3章 住んでみなくちゃわからない! 暮らしのリアル
第4章 方言だけじゃない! あっと驚く、ことばの違い
第5章 街を歩けば見えてくる! 信じられない東西ルール
第6章 同じ日本人とは思えない!? 気質の真相
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2011年9月13日
【身が引き締まる清貧の思想】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4837924166
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本日の一冊は、石川島播磨重工業社長、東芝社長、経団連会長、臨調会長、臨時行政改革推進審議会会長を歴任し、日本の戦後復興、
そして行革に全力を尽くした、「メザシの土光さん」こと土光敏夫の言葉をまとめた一冊。
著者は、テレビ朝日「報道ステーション」のニュースデスク、出町譲さんです。
冒頭、著者自身の足で取材した「清貧と改革」の聖地、横浜市鶴見区の土光邸の話から始まり、いかにして土光敏夫が立身出世していったか、そして晩年、行革のシンボルとして尊敬されるに至ったか、その経緯を綴っています。
本書によると、2011年3月11日に起こった東日本大震災の時、被災したIHI(旧石川島播磨重工業)の相馬工場は、当初「一年もしくは半年かかる」と言われていたところ、わずか二カ月で復旧。
その背景には、土光氏が掲げた「人間尊重」の思想があったといいます。
相馬工場では、なんと家が流された従業員全員(パート含む)に、社宅を提供。その結果生まれた団結力で、同工場は、奇跡の復旧を成し遂げたというのです。
本書はこの脈々と引き継がれるDNAの源を明らかにしようとする試みで、偉大な技術者、経営者、そして人格者だった土光敏夫の言葉が計100個、文献を中心に紐解かれています。
<いつも自分を最低の線、つまり社会の底辺に置いておけば、何が起こったって怖くはない>
<一回かぎりの成功は、まだほんものの成功とはいえない>
<自分の火種には、自分で火をつけて燃えあがらせよう>
自己啓発書として読んでも第一級ですが、リーダーシップの本としても、秀逸な内容です。
<現場には、銀座通りもあれば、裏通りもある。幹部は裏通りも歩くべきだ。成績の悪い職場や陽の当たらない職場こそ、見るべきだ>
徹底した現場主義で、次々と改革を成功させていった信念の人、土光敏夫。
本書は、その思想に触れることのできる、貴重な文献です。
経営者をはじめ、人の上に立つ人はぜひ、読んでいただきたい一冊です。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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地力をつけるには、苦労を体験するのが必須条件だ。苦労を知らぬ人間は、端から見れば一にしかみえぬ打撃が一〇にも二〇にも感じられ、そのショックひとつで潰れてしまうことがある
(『土光敏夫大事典』)
いつも自分を最低の線、つまり社会の底辺に置いておけば、何が起こったって怖くはない(『土光敏夫大事典』)
人間は失敗してはいかんと思うと、元気がなくなる。失敗してもいいんだ、すぐそいつを取り返せばいいんだ。しくじってよろしい。しくじったとき、うまくいかなかったとき、投げ出してはいけない。大いにそいつを盛り返してやろう。ボクはそういうふうに考えて、今までやって来た(『土光敏夫 21世紀への遺産』)
一回かぎりの成功は、まだほんものの成功とはいえない。第一の成功が呼び水となって、第二第三の成功を生みだしてこそ、企業の成長、個人の成長がある。それゆえ「成功は成功の母」である
(『経営の行動指針』)
「人の評価は、その時点、時点で見直せ。人は変わるものである」(土光敏夫)
誰にも皆、火種はある。必ずある。他の人から、もらい火するようではなさけない。自分の火種には、自分で火をつけて燃えあがらせよう(『土光敏夫 信念の言葉』)
エジソンもナポレオンも、信長や家康も、どんなに偉かった人でも今日の日の出をみることはできない。僕らはそれを享受できる幸せに恵まれているのだ(『土光敏夫大事典』)
「個人は質素に、社会は豊かに」(土光の母、登美の教え)
人は、すぐあれはこの点が駄目だと欠点をいうじゃないですか。神様はそんなことしませんね。誰だって長所があるもんだ。長所をみないで人事をやるなんておかしいですよ
沈まない船はない。つぶれない企業はない。すべては人間次第だ。一般社員は、これまでより三倍働け、重役は一〇倍働く、僕はそれ以上に働く(東芝社長に就任した時の言葉)
現場には、銀座通りもあれば、裏通りもある。幹部は裏通りも歩くべきだ。成績の悪い職場や陽の当たらない職場こそ、見るべきだ(『土光敏夫 21世紀への遺産』)
研究開発費は、不景気で経費節減だからといって惜しんではならない。会社の将来に必要な研究であれば、銀行から借金しても捻出すべきだ。不景気だからといって、研究をストップしたら優秀な研究者の頭が錆びてしまう(『土光敏夫 21世紀への遺産』)
「信念を貫きとおそうとする者の行方には重い十字架が待っている」(土光が尊敬した石坂泰三の言葉)
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『清貧と復興 土光敏夫100の言葉』出町譲・著 文藝春秋
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4163744509
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◆目次◆
序 章 「清貧と改革」の“聖地”取り壊し
第1章 底辺からの出発
第2章 復興と企業再生への執念
第3章 原発と日本の技術力
第4章 田中角栄との「決闘」
第5章 清貧と臨調
第6章 わが師、石坂泰三の教え
第7章 城山三郎と語る
終 章 「土光敏夫」のDNA
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2011年9月12日
【会社が必要とする人材の条件】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4837924166
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本日の一冊は、トリンプを19期連続増収増益に導いた吉越浩一郎氏が、できる社員の条件を語った一冊。
多作な著者ですし、テーマもありふれたものではあるのですが、この本、何といっても内容がいい。
いまどきのビジネス書ではなかなか言われない競争主義の考え方や、<ビジネスマンであれば「独立」を志すべき>という骨太な主張、著者しか知りえないエピソードが、読ませてくれます。
また、「人の上に立つこと」を前提に書かれているため、いざ上に立った時に何をすべきか、という考え方もしっかりと書き込まれているのが特長です。
プレイヤーとしては一流でも、マネジャー、リーダーとしてはまだまだという人に、耳の痛い内容となっています。
・「結果がすべて」と考える人
・「損な役回りを」買って出る人
・いつか独立したいと考えている人
・敵を敵のままにしておかない人
・常に先手必勝で動く人
これらは、氏が説くできる人の条件ですが、本文にはその意味するところと、具体的な仕事のTipsがびっしり書き込まれています。
正直、氏の本はやや食傷気味だったのですが、この本は良くできた一冊だと思います。
ぜひ読んでみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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仕事ができる社員は、「早く失敗に気づく」ことの重要性をわかっています
仕事ができる社員は、あらゆる仕事に「デッドライン」を設定します
「もっともっと」と上を目指す気持ちを持つことが、仕事ができる社員になるための前提条件
あなたは後れを取っていないでしょうか。自分を取り巻く狭い社会で生きることだけ考えていると、大局を見失います
「努力」に満足する二流、「成果」に満足する一流
千葉県柏市にある名戸ヶ谷病院は、「救急患者の受け入れを拒否しない」という姿勢を、開院以来二五年間、守り続けています。この病院には法の規定を超える医師の数がそろえられ、医師は必ず各科に一人、病院から車で五分圏内に住むことが決められているそうです。当直医は二人ですが、手が足りない場合はいつでも医師の呼び出しが可能だといいます(中略)「患者を拒否しないためにはどうすればいいか?」という問題に真正面から取り組んだからこそ、それを実現できているのです
敗者の“しんがり”は、実力者にしか務まらない
ビジネスマンであれば、「独立」を志すべきです。特に若い人には、そうあってほしいと願います
パクることができるのは「アイデア」のみです。パクったものを自分のものにするには、そのアイデアを自分の組織に合致するようにつくり上げる「プロセス」が重要
自分の実力より少し上のレベルの面白そうと思える内容が書いてある本を読みなさい
机の上が整理されている人は、一つのことに集中できる人です
段取りが得意な人は、食事をつくり終えたときには台所もきれいに片づいている
会社のレベルは、すべて「徹底度」で決まります
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『仕事ができる社員、できない社員』吉越浩一郎・著 三笠書房
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4837924166
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◆目次◆
はじめに 私が経営者として、絶対に手放せなかった社員とは?
1章 こんな「考え方」ができる人
2章 こんな「習慣」がある人
3章 この「能力」を持っている人
4章 この「仕事の基本」を守る人
5章 この「要領」をつかんでいる人
6章 こんな「性格」をしている人
7章 こんな「価値観」で動く人
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2011年9月11日
【知識人をあざ笑う392の箴言】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478015406
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本日の一冊は、全米250万部の大ベストセラー『ブラック・スワン』の著者、ナシーム・ニコラス・タレブによる箴言集。
『ブラック・スワン(上)(下)』
<上巻>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478001251
<下巻>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478008884
まだ読んでいない方のために説明すると、この「ブラック・スワン」とは、黒い白鳥のことで、私たち人間が「あり得ない」と思い込んでいるものの象徴。
タイタニック号の沈没や、9.11同時多発テロ、サブプライムローン問題、東日本大震災など、優秀とされている専門家やエリートにも予測できない、異常でかつインパクトがあるものを指しています。
著者のナシーム・ニコラス・タレブは、全米を代表するビジネススクール、ウォートン・スクールでMBAを取得後、トレーダーとして、また不確実性科学の研究家として活躍する人物で、その現実的なものの見方とシニカルな物言いは、知識人の間で大人気となっています。
本日ご紹介する一冊は、そんなナシーム・ニコラス・タレブの、箴言だけを抜き出してまとめた一冊。
予測や投資、ビジネス、人生におけるさまざまな教訓が入っており、知性を刺激されます。
通常の名言集と比べると、スパイスが効き過ぎな感はありますが、それも著者の個性でしょう。
名言好きな方、投資や予測のビジネスに身を置いている方は、ぜひ読んでみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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製薬会社は、すでにある病気に合った薬を発明するより、すでにある薬に合った病気を発明するほうが得意だ
バカを破産させたかったら情報をくれてやればいい
アイディアが独自かどうかを測る尺度は、先駆者が一人もいないかどうかではなく、先駆者が何人もいて、しかも彼らと相容れないかどうかである
嘘つきに仕返しをする一番いい手は、自分はそいつの言ったことを信じているとそいつに思い込ませることだ
人に読んでほしい本があるなら、あの本は高く評価されすぎだと言えばいい
人が褒め言葉を使うのは自分のプライドを脅かさない相手だけである。それ以外の相手を褒めるときはだいたい、「えらそうに」なんて言葉を使う
終わりのある友情は友情ではない。そういう間柄なら少なくとも一人はカモだ
嘘を真で置き換えることはできる。しかし、俗説を排除できるのは物語だけだ
歴史上、悲劇が起きるのは、他の人にとって無条件であるものごとを条件付きであるものごとと取り違えたり、その逆をやったりするからだ
バカが「時間の無駄だ」と言ったら、それはだいたい最高の投資対象だ
お金持ちになる一番の早道は貧乏人と付き合うことだ。貧乏人になる一番の早道はお金持ちと付き合うことだ
二〇世紀には社会主義の理想が崩れ去った。二一世紀には科学技術の理想が崩れ去る
テクノロジーはカモに、自分の生活はいっそう「効率よく」なったと思い込ませながら、彼らの生活をあらゆる面で劣化させ(そして危ういものにす)る
もっとも優れたテクノロジーは人に気づかれないものだ
収入が必要な人間は信用するな。必要なのが最低賃金なら話は別
何かを賭けずに予測を口にしたり意見を述べたりする人は、誰だろうとある意味詐欺師である
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『ブラック・スワンの箴言』ナシーム・ニコラス・タレブ・著 ダイヤモンド社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478015406
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◆目次◆
プロクルーステース
序幕
逆説の一言
実在
聖なるものと卑なるもの
偶然、成功、幸せ、そして理性主義
カモの問題、かわいらしいのとそうでもないの
テーセウス、あるいは古の暮らしを生きる
哲学界
普遍なものと特殊なもの
まぐれ
美学
道徳
強さと脆さ
お遊びの誤りと領域依存
認識論と引き算の知識
予測のスキャンダル
哲学者になること、哲学者であり続けること
経済的生活、その他の卑しい題材
賢きもの、弱きもの、気高きもの
陰陽
愛なるものと愛ならざるもののいろいろ
終幕
あとがき
謝辞
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