2011年9月10日
【経営の神様、松下幸之助を支えた女性】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478013993
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「松下幸之助の奥さんって、そんなにすごい人だったんですか?」
「何を言ってるんですか。松下は実質、むめのが仕切っていたんですよ。幸之助を動かして、経営をしていたのはむめのなんですから」
数年前、こんな話を、松下家の執事をしていた方に聞いたことがあります。
以来、何とかしてこのむめのさんの話をまとめて読むことができないか、と思っていたのですが、ついにその夢が実現しました。
本日の一冊は、「経営の神様」と呼ばれた松下幸之助の奥さん、松下むめのさんの物語。
書いたのは何と、土井にむめのさんの話をしてくれた元執事、髙橋誠之助さんです。
陰の創業者として松下幸之助を支え、営業から経理、従業員の教育までを取り仕切ったたくましい女性。
取引先に深々と頭を下げ、金策に奔走し、貧しい生活に文句ひとつ言わなかった彼女こそが、今日のパナソニックを作ったのです。
「経営者の奥さんの話なんて読みたくない」なんて言っている方は、この女性の細やかな感性と礼儀正しさ、そして商売に対する嗅覚の鋭さに、舌を巻くに違いありません。
経営者はもちろんですが、経営者の奥さんには、爪の垢を煎じて、千回くらい飲ませたい、そんな内容です。
先日ご紹介した『ジョブズ・ウェイ』もそうでしたが、やはり側近が書いた本というのは、客観的で面白い。
※参考:『ジョブズ・ウェイ』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4797362286
本書も、側で見ていた執事ならではの視点にあふれ、じつに読み応えある作品に仕上がっています。
ぜひ読んでみてください。
※2011年10月1日から全3回、本書を原作にしたドラマが始まるらしいので、こちらも期待したいところです。(主演:常盤貴子、筒井道隆)
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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幸之助を選んだ理由は、はっきりしていた。幸之助の条件が、誰よりも一番悪く、厳しいものだったからである。<だからこそ、人からもろうた人生ではなく、自分自身で人生を作っていくことができるんや>むめのは若い頃に奉公した船場の商家の女主人の言葉を思い出していた。あんな人みたいになりたい。だからこそ、自分もその言葉を貫いてみたい。そう思っていたのである
むめのは、相手に尽くす生き方を母こまつに教わる。人生で一番うれしいことは、相手に喜んでもらうこと。それが、むめのが学んだ教えだった
<運針はたしかにスピードの勝負になる。でも、その初めは、誰でも針の穴に糸を通すことから始まる。まずは、静の一点で相手に先んじたら、ええんやないか>(むめのが技芸学校時代、競技会で負けた悔しさから気づいたこと)
「こう言いましたら、向こうの方がこうおっしゃったので、私はこう申しました。そこまでちゃんと報告するんやで」ここまで終わって、やっと、「ほな、よろしい。ご苦労さん」となるが、子どもたちにとっては、「ご苦労さん」と言われるまではひと苦労だった(むめのを育てた母、こまつのしつけ)
「できません、ではいけません。私はよういたしません、と言って教えを請うようにしないと」
それは、後にむめのが、よく若い者に伝えた言葉となる
<このお人には、なんや運がついているみたいや>
練物の製造方法がわかったことに続いて、一〇〇円ほど足りなくなっていた資金についても、友人に貯金のある人がおり、林と二人で
説得の末、一〇〇円を借り入れすることができた。
「事業をする、ということは、人の支援が不可欠になる、いうことやな」
<お母さん……>
淡路島から持ってきてくれた新しい着物の上に、紙包みがそっと置かれていた。開いてみると、お金が入っていた。むめのはその包みをおし抱いて深々と頭を下げた。
<何もかも、お見通しやったんやな>
「なんや、おまんは商売に口はさむんか」
「幸之助さん、これは商売の話やおまへん。人間の話や。人間としての筋が通ってない話は、どんなに商売がうまいこといったかて、そんだけのこと。幸之助さんがしたいのは、そんな商売でっか」
喧嘩が終わったら、先に話しかけるのは女でないとあかん
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『神様の女房』髙橋誠之助・著 ダイヤモンド社
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◆目次◆
プロローグ 奥さん、ほんまにありがとう
第1章 なにも、そんな人を選らばなんでも
第2章 おしるこ屋でも始めてみよか
第3章 ほんまにむさんこなお人や
第4章 幸之助さんの夢は、この程度やない
第5章 松下幸之助君に清き一票を
第6章 妻も、主人と一緒に成長せなあかん
第7章 夫婦喧嘩の後は、妻から話しかけな
第8章 この人が女王はんでしたんか
第9章 よくもまあ、ここまで
第10章 もっとゆっくり歩いとくなはれ
エピローグ
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