2011年9月15日
『実学中小企業のパーフェクト会計』岡本吏郎・著 Vol.2612
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【岡本吏郎氏が説く、本格中小企業会計】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/447800840X
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本日の一冊は、ベストセラー『会社にお金が残らない本当の理由』の著者、岡本吏郎さんによる、骨太な会計本。
※参考:『会社にお金が残らない本当の理由』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4894511576
中小企業経営における税務会計(税金を計算するための会計)の弊害は、これまでも唱えられてきましたが、どうすれば経営の実態に即した会計が実現できるのか?
実際に知る手段はあまりなかったように思います。
この『実学中小企業のパーフェクト会計』は、どうすれば税法による歪みを修正することができるのか? 思わぬキャッシュ不足の状態を避けることができるのか? 健全な経営ができるのか?
そのヒントをまとめた、じつに読み応えのある一冊です。
第一部で中小企業会計の歪みを修正する方法と資金繰りを説明し、第二部では、貸借対照表と損益計算書の構造、財務分析の問題点を指摘、第三部では、理想の中小企業の管理会計について論じています。
読んでいて最も感銘を受けたのは、「私たちの経営成績は、選んだ業種や商品である程度決まってしまう」「しかし、独自の貸借対照表の構造を時間をかけて作り上げている企業がたくさんあるのも事実」という部分。
経営には、構造に負けない知恵と工夫、努力の余地があると知って、希望が湧きました。
実際に中小企業経営に携わっていない方にはちょっと難しい内容かもしれませんが、以下の2冊と併せ、「起業家会計3点セット」ということで、起業を目指す人にはぜひ読んでいただきたい。
※参考:『資金繰らない経営』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4844371304
※参考:『起業家のための「手ガネ経営」で勝ち残る法』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4534041144
起業で成功するには、会計的な面からも、目指すところを定める必要があるということだと思います。
分厚い本ではありますが、後半はマーケティングの話などもあり、すべてが会計というわけではありません。
また管理会計を効果的に進めるにあたって、必要な指標や資料などがたくさん載っているので、資料価値も高いと思われます。
ぜひ読んでみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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最も大きな歪みは、税務が定める減価償却資産の耐用年数が原因で起きています
建物の耐用年数は20年。誰もが気づくことと思いますが、このレストランが20年という期間、この場所で続けていけるでしょうか
棚卸資産の評価基準は原価法と低価法の2つがあります。原価法とは、棚卸資産の取得価額を帳簿価額とする方法です。それに対して低価法は、取得価額よりも時価が低い場合には時価を帳簿価額とします(中略)仮に時価の選定が難しいとしても、低価法の選択をしておくべきです。なぜならば、税法には会社法で認められている強制低価法の基準がないからです
老朽化した倉庫の場合、取壊しの必要があることが多いはずです。そうすると、取壊し費用を引き当てる必要もあります。つまり、この帳簿価格200万円の倉庫は200万円の価値どころかマイナスの価値にすべきです。そこで、2010年4月より導入されたのが「資産除去債務」です
税務の規定によって企業の利益が実態よりも多めに算出されてしまう
一括償却資産に計上されている資産は、従来はすべて費用として処理がされていたものです。したがって原則は、すべて簿価をゼロとして費用化すべき
前払費用は、原則全額を費用処理します
不良在庫は処分がされていなくても、全額を経費処理すべき
業種を決めてしまえば、貸借対照表の構造はだいたい決まってしまいます。運輸会社のような貸借対照表構造を持ったドラッグストアーはありません
収益力が格段によい企業が、同業他社に対して独自の貸借対照表構造にある
損益分岐点売上高の算出をすると、生存ボーダーラインを知ることに意識が行きがちですが、そうすると、現在の収益構造を受け入れた前提での必要売上高の算出に終始することになってしまいます
決算日が休日の決算書では、売掛金や買掛金などの残高をはじめ、金融機関などの休暇により数値が異常になるものや、休日の販売増に伴い棚卸資産などの残高が通常の残高よりも少ないなど、経営分析そのものが役に立たなくなる事象が内包されています
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『実学中小企業のパーフェクト会計』岡本吏郎・著 ダイヤモンド社
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◆目次◆
第一部 問題提起──中小企業会計の現実
第1章 中小企業会計の歪み──無意識のうちに現実から乖離する構造を知る
第2章 中小企業会計の調整──大きな2つの歪みを正す
第3章 中小企業の資金繰り──会社にお金が残らない理由とは
第二部 会計とは──どう使うかで会社の思想が出る
第4章 貸借対照表の構造──いかに独自のものに変えていくか
第5章 損益計算書の構造──利益と残高の違いを理解する
第6章 財務分析の間違い──業界の標準や平均は意味がない
第7章 趨勢分析と一人当たり分析──理想的な構造を作るために
第三部 中小企業の管理会計──使い倒すための技術
第8章 ボトムライン(ROA)──当期純利益より有効な指標とは
第9章 売上高経常利益率を上げる
──限界利益率を上げる方策と固定費を下げる方策
第10章 総資本回転率を上げる──売上高の拡大と総資本の減少
第11章 財務指標の構造分析──ROAの全体構造を理解する
第12章 キャッシュフロー
──当期純利益、ROAと並ぶ3つ目のボトムライン
第13章 財務レバレッジ──中小企業に必要な財務戦略
第14章 営業レバレッジ──自社の収益構造を知る
第15章 顧客価値計算(EVCO)──すべての中小企業に必要な視点
第16章 税務戦略──企業としての当然のコストと捉える
第四部 中小企業会計再論──会計を知ることで会社はよくなる?
第17章 一つの家族の物語
第18章 会計における重要な真実
第19章 おわりに
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