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『文は一行目から書かなくていい』藤原智美・著 vol.2504


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【視点が変わる。芥川賞作家の文章術】
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たくさん文章術に関する本を読んでいると、「文章を磨く」という本来の目的を忘れて、ありがたい教訓を得ることが目的になってしまうことがあります。

まして、書き手がいわゆる文豪だったり、芥川賞作家だったり、朝日新聞の「天声人語」の担当だったりすると、なおさら考えもせずにその主張を受け入れてしまう。

本当にその文章術を活かそうとするなら、自らのことに置き換えて読む必要があると思うのですが、そこまで実際に書く時のことを連想させてくれる文章指南書は、なかなかないように思います。

その点、本日の一冊『文は一行目から書かなくていい』は、元々ライターだった藤原智美さんが書いただけあって、書き手が迷うポイントがよくわかっている。

ノンフィクションでどこまで演出を加えるべきか、という問題や、個性的な視点をどう獲得するかという問題、句読点の打ち方や風景描写の実際まで、書き手にとって、まさに知りたかったノウハウがしっかり書き込まれています。

なかでも、「川辺にある一軒の小屋」の描写の比較では、主人公をどう使って視覚を変化させるか、具体的に文例が示されているので、参考になりました。

人を魅了する文章とは何か、本書にはその詳細が書かれています。

本書を読んで、芥川賞作家の視点を、盗んでみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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先生を喜ばせるために、何をどう書けばいいのか、そう考えて架空のストーリーをひねり出した瞬間、私は初めて「書き手」になったのです

ありのままに描写した文章など存在しないのに、それを追い求めるのは無茶な話です。文章の本質は創作であり、その本質から目を背けて耳に心地よいアドバイスに飛びついても、文章はうまくはならない

書く前にカメラの位置を決める

「カズオはドアをノックした。しかし、彼はドアの向こうに人生を変える何かがいるとは、まだ気づいていなかった」いっけん客観的な描写に見えます。ただ、これはいってみれば「神視点」であり、客観的な視点を装った演出方法の一つといえます

私がエッセイを書くために「カリブの海賊」のボートに乗るとしたら、前のほうで大砲がドカンと鳴ってお客さんの視線が前方に集まる瞬間、あえて後ろを振り返ります

ポイントは自分一人の主観ではなく、多くの人と共有できる客観的な物差しを使うこと

完成図を考えるより先にやるべきなのは、頭のなかの言葉のピースを目に見える形にすること、つまり思考の断片の文章化です

接続詞の「そして」「また」「だから」を省いただけで、文章がシャープになることがあります。構成のしっかりした、よく練られた文章には接続詞は少ないものです

「余談だが」「ちなみに」は使わない

見たままを説明的に描くだけの描写は、どこか退屈な印象を与えるものです。しかし上手な書き手は、時間の経過や動きを同時に描いて、そこに何があるかという事実だけでなく、その場の空気感も一緒に伝える

著者の顔が見えるのは、つまりはダメな作品

正論を振りかざした文章からは、中身の薄さや底の浅さを感じる

文章が人の心を打つのは、それが誰かに向かって書かれたものだからです

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『文は一行目から書かなくていい』藤原智美・著 プレジデント社
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◆目次◆

第1章 あなたは9歳の作文力を忘れている
第2章 プロ作家の文章テクニック
第3章 名文の条件とは何か
第4章 日常生活で文章力を磨く
第5章 検索、コピペ時代の文章術
第6章 書くために「考える」ということ

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