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『トマトが切れれば、メシ屋はできる 栓が抜ければ、飲み屋ができる』 宇野隆史・著 vol.2481


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【凄本】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/482223343X
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昔、下北沢に住んでいた知人に、「取っておきの店があるから」といって連れて行かれたお店がありました。

そのお店は、土井好みのスタイルのお店ではありませんでしたが、確実にファンをつかんでおり、店内はものすごい活気にあふれていました。

食事も美味しく、とても気持ちよく帰った記憶があります。

そのお店は、「くいものや楽」。かつて一世を風靡した居酒屋です。

この伝説のお店「くいものや楽」や「汁べゑ」を手掛けたのが、「居酒屋の神様」と呼ばれる、宇野隆史氏。本日ご紹介する本の著者です。

著者は、これまでに100人以上の若者を経営者に育て上げ、尊敬を集めているという、飲食業界では有名な方で、本書には、独立のアイデア、アドバイスも数多く書かれています。

先日ご紹介した、『繁盛店をつくる立地選び』同様、この本も、独立を考える人には必読の一冊となるでしょう。

※参考:『繁盛店をつくる立地選び』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4534048076

本書の白眉は、この宇野氏が考える、お店を繁盛させるための具体的アイデアの数々。

こんな接客、食事提案をされたら、一発でファンになってしまうというアイデアがてんこ盛りなのです。

豚足を食べているお客さんがハサミを要求したら、先回りして切って差し上げる、今日は真っ直ぐ家に帰る、というお客さんがいたらおでんをいくつか渡して差し上げる、残ったカツをお持ち帰りいただく際は、薄いパンを二枚サービスして差し上げる…。

あまりのサービス精神に、思わずやられてしまう、そんなアイデアばかりなのです。

もちろん、100人以上の居酒屋経営者を育てた百戦錬磨の著者だけあって、集客やメニュー作り、料理のネーミングなども、見逃せないノウハウです。

・開業資金は「遊び心」を出す余裕を残して使う
・皿が二〇枚必要だったら、一気に必要な枚数を買わずに四回に分けて
・最初に出す店は「手段の店」

など、本気で開業を考える人には、珠玉のアドバイスがぎっしり。

この本自体のサービス精神にも、すっかりやられてしまいました。

巻末に書かれた、かつての弟子、ベイシックス代表・岩澤さんからの感謝コメントも感動的。

起業家を目指す人、サービスに携わる人には、ぜひ読んでいただきたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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一生誰かの下で愚痴を言いながら働くよりも、店を持て! そして商売を楽しめ! オレはそう思うんだ

店に「遊び心」を出す余裕がなくなるような無理な投資はしちゃいけない。これが、オレたちの商売が成功する秘けつだと思うんだ

メニューにはそのときどきの流行りをうまく取り入れていく必要がある。でも、例えば一時期ジンギスカンの店がちまたを席巻したように、店全体で流行りを追っちゃダメだ

「独立したら、こんな店を持つんだ」という明確なイメージを思い描ける力を持っていなければ店長にはできない。店長や経営者に絶対欠かせないのは、「イメージする力」なんだ

この間、独立した子の店に行ってみたときのことなんだけどね。その店には、メニューに豚足の煮込みがあってさ。あるお客さんがオーダーしたんだけど食べにくかったらしく、「ハサミ貸してもらえる?」って言ったの。すると、その子はただ、「はい、どうぞ」ってハサミを渡したんだよ。それってお客さんに親切だと思う? オレは、そんな接客はあり得ないって思った。こんなときには、「食べにくかったですか? こっちで切りますね」と言って、切ってあげなきゃダメ

いつの時代にも強いのはさ。本当の意味でお客さんに得をさせている店だよね

例えば、皿が二〇枚必要だったら、一気に必要な枚数を買わずに四回に分けて五枚ずつ買う。そうしたら、何度も店に行くことになって、店の人は絶対、声をかけてくれるようになる。こうなれば、しめたもの。「今度近くに居酒屋をオープンするんで来てください」って、自然に話ができる。地域の人たちの口コミにもつながるよね

逆に、店の周りでは絶対にやらないこともある。例えば、サングラスはプライベートでは掛けるけど、店に関係する場所では絶対に掛けない。タバコも吸わない。ある有名な寿司屋の板前さんが、休憩時間にタバコを吸っているのを見たことがあるんだけどね。その手で握った寿司なんて食べたくないと思った

残ったカツを、キャベツやからしソースと一緒にお客さんに持ち帰ってもらうんだ。そうすれば、翌日もお店のことを思い出してもらえるでしょ。もちろん、この程度であれば既にやっている店もあるだろう。でも、オレは、これに薄いパンを二枚サービスで付けてあげるの。そうしておけば、これだけで次の日の朝食やお弁当にできるでしょ

昔やっていた小さな店で、常連の女の子が帰ろうとして出入口の扉に手をかけたときに、近くにあったみかんを「みち子ちゃん!」と名前を呼んでカウンターからポーンと投げたことがある。女の子がパッと取ったら、そこにいたほとんどのお客さんが「ナイスキャッチ!」と言って笑顔になった(中略)忙しくてわざわざ入り口まで見送りに行けなくても、お客さんに喜んでもらう方法はいくらでもあるんだ

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『トマトが切れれば、メシ屋はできる 栓が抜ければ、飲み屋ができる』宇野隆史・著 日経BP社
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◆目次◆

1.儲からない店なんて、絶対にない
2.人通りのない場所にこそ店を作れ
3.料理ができなくても、人気メニューはできる
4.お客さんを喜ばせるのは簡単だ
5.「売ろう!」と思えば、モノはじゃんじゃん売れる
楽コーポレーションで育った経営者が見た宇野隆史という人

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