2011年5月3日
【森の生活者、ソローが教える人生の知恵】
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本日の一冊は、アメリカ文学の古典的名著『森の生活』の著者であり、作家・思想家として知られるヘンリー・ディヴィッド・ソローの思想をまとめた一冊。
※参考:『森の生活』
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ソローは、弱冠16歳で奨学金を得てハーバード大学に入り、エマソンなどとも交流のあった優秀な人物ですが、ある時、自然の魅力に取り憑かれ、ウォールデン湖のほとりで自給自足の生活を始めます。
生活に追われる時間を可能な限り切り詰め、時間の大半を思索にあてたという著者が、その果てにつかんだ人生の真理とは何か。
文明人として生きているはずのわれわれが、お金や世間体に振り回され、いかに精神的に貧しい生活をしているか、著者は指摘します。
震災後の生活でわれわれがつかみかけている、シンプルな生活のあり方。
ソローは、シンプルに生きることでわれわれがどれほど労働から解放されるか、自然に学ぶことでいかに豊かになれるか、教えてくれています。
『森の生活』『市民の反抗』から引用した内容を編集・再構成したもののようですが、出典が明確だともっと良かったと思います。
昨日、盛岡を訪れた時も思ったことですが、地方に暮らして初めて価値がわかる本もある。
本書は、まさにそういう本だと思います。
静かな時間を持ちたいと考える人、仕事に追われる現状を改善したいと思う人に、ぜひおすすめしたい一冊です。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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さて、いまから徒歩で出発すれば、夜までにはフィッチバーグに着くだろう。以前このペースで、一週間歩いて旅をしたことがある。きみはその間働いて汽車賃を稼ぎ、明日、あるいは幸運にもかき入れどきですぐ仕事が見つかれば今夜にも、そこへ着くだろう。フィッチバーグを目指して歩く代わりに、きみは一日の大半をここで働いて過ごすわけだ。ということは、鉄道が世界を一周したとしても、僕は常にきみより先を行っていることになる。さらに、その地方を見物し、いろんな体験ができることを考えると、とてもきみのやり方につきあう気にはなれないね
衣服にせよ友人にせよ、新しいものを手に入れようとあくせくするのはやめたほうがいい。古いものを裏返して使えばいい。古いものに立ち返るのだ。ものが変わるのではなく、僕たちが変わるのだ。衣服は売り払っても、思想は守ろう
生きていくのに必要なものが手に入ったら、余分なものはいらない。人間にはそれ以外にも選択肢がある。つつましい骨折り仕事を終えて休暇が始まったいまこそ、人生の冒険に乗り出すのだ
虎を飼いならすのも、羊を獰猛にするのも、真の文化がすべきことではない
慈善家はあまりにしばしば、自分が脱ぎ捨てた悲嘆の記憶で人類を大気のように取り巻き、それを共感と呼ぶ。僕たちは、絶望ではなく勇気を、病気ではなく健康と安息を与えあうべきで、病気が伝染しないように気をつけなければならない
生きていくのに必要な食料は、信じられないほどわずかな労働で手に入れることができる
もし人間がみな、簡素な暮らしをしたなら、盗みや略奪はなくなるに違いない。こうしたことは、必要以上にものを持っている人間がいる一方で、必要なものにも事欠く人間がいる社会でしか起こらない
余分な富で買えるのは、余分なものだけだ
有能で役に立つ人間は、地域社会がじゅうぶんな報酬を払おうと払うまいと関係なく、自分の仕事をきちんとやりとげる。しかし、無能な人間は、一番高く買ってくれる人に自分の無能さを売りこみ、採用されるのをいつまでも待っている
経済的に豊かなとき、向上するためにできる最善のことは、貧しかったときに心に抱いていた計画を実行に移す努力をすることだ
ギリシア人は世界を「美」あるいは「秩序」を意味する「コスモス」という言葉で呼んでいた
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『孤独の愉しみ方』ヘンリー・ディヴィッド・ソロー・著 イースト・プレス
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◆目次◆
I 孤独が一番の贅沢
II 簡素に生きる大切さ
III 心を豊かにする働き方
IV 持たない喜び
V 自然の教え
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